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大賢者と16人の落ちこぼれ弟子  作者: 伝説の男前
第一部 賢者塾開校編

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11/38

第11話 「誰も殺さない戦い」

一


出発の、二日前。


塾の大部屋に、十六人が集まっていた。


テーブルの上には、一枚の地図が広げられている。


東街道の地図だ。


「では」


大賢者は言った。


「作戦を立てなさい」


十六人は、顔を見合わせた。


「……先生が、立てるのでは」


トムが、聞いた。


「いや」


大賢者は、あっさりと答えた。


「私は、作戦を立てない。指揮もしない。戦いにも、参加しない」


「え!?」


リナが、叫んだ。


「じゃあ、先生、何するんですか!?」


「見ている」


大賢者は答えた。


「そして、君たちが死にそうになったら、助ける。それだけだ」


十六人は、絶句した。


三十人の盗賊団。


元傭兵。


それを、十六人だけで。


「無茶です」


ドグが、言った。


「俺たち、まだ、人と戦ったこと、ありません」


「そうだ」


大賢者は、頷いた。


「だから、今回が、初めてになる」


「でも……」


「聞きなさい」


大賢者は、静かに言った。


その静けさに、十六人は、口を閉じた。


「私が指揮をすれば、君たちは勝つ。間違いなく勝つ」


大賢者は、続けた。


「しかし、それでは、君たちは何も学ばない。次に私がいないとき、君たちは死ぬ」


「……」


「私は、いつか、君たちの前からいなくなる」


大賢者は、十六人を見渡した。


「そのとき、君たちが生き残れるようにする。それが、私の仕事だ」


十六人は、その言葉を、重く受け止めた。


「では」


大賢者は、言った。


「指揮官を、決めなさい」


二


沈黙。


誰も、手を上げなかった。


指揮官。


十六人の命を預かる役目。


「……レオンが、いいんじゃないか」


ガルドが、言った。


「一番、強いし」


「いや」


レオンは、首を振った。


「俺、無理だ。全体を見るとか、できない。俺、目の前の敵しか見えない」


「じゃあ、トムは」


ミアが、言った。


「トムさんは、何でもできますし……」


「いや」


トムも、首を振った。


「僕は、何でも『できる』けど、何も『抜きん出てない』。指揮ってのは、たぶん、抜きん出た判断力が要る」


また、沈黙。


そして、大賢者が、口を開いた。


「バルド」


部屋の隅に座っていた少年が、飛び上がった。


バルド・アワアワ。


十七歳。


小柄で、気弱そうな顔。


「は、はいっ!?」


「君が、指揮官だ」


部屋が、静まり返った。


そして、バルド自身が、真っ先に叫んだ。


「無理です無理です無理です!!」


彼は、両手を振り回した。


「僕、緊張すると、頭が真っ白になるんです! 前に、村の祭りで、子供の遊戯の指揮を任されたことがあるんですけど、僕、『全員、右へ! いや左! いや、なんとなく!』って言って、子供たちが全員ぶつかって、大惨事に――」


「知っている」


大賢者は、静かに言った。


「え?」


「その話は、君の村で聞いた」


大賢者は、続けた。


「そして、それを聞いたとき、私は、君を弟子にすると決めた」


バルドは、混乱した。


「な、なんでですか!? 大惨事ですよ!?」


「子供たちは、怪我をしたか」


「……え?」


「その大惨事で、誰か、怪我をしたか」


バルドは、考えた。


そして、答えた。


「……いえ。みんな、笑ってました」


「なぜだ」


「……なんか、面白かったみたいで。……ぶつかっても、みんな、ゲラゲラ笑って……」


「それが、答えだ」


大賢者は言った。


「君の指揮は、混乱を生む。しかし、その混乱は、誰も傷つけない混乱だ」


バルドは、その言葉の意味が、わからなかった。


「いいか、バルド」


大賢者は、続けた。


「戦場において、最も恐ろしいのは、『読まれる指揮』だ」


大賢者は、地図を指した。


「相手は、元傭兵だ。戦い方を、知っている。定石を、知っている。だから、こちらが定石通りに動けば、必ず読まれる」


「……はい」


「しかし、君の指揮は、読めない」


大賢者は、言った。


「なぜなら、君自身が、次に何を言うか、わかっていないからだ」


部屋に、微妙な空気が流れた。


それは、褒めているのか。


けなしているのか。


しかし、大賢者の目は、真剣だった。


「バルド。君は、混乱する。しかし、君の混乱は、無秩序ではない」


大賢者は、続けた。


「君は、緊張すると、頭で考えることをやめる。そして、直感で指示を出す。その直感は――」


大賢者は、少し間を置いた。


「――極めて、正確だ」


三


バルドは、その夜、眠れなかった。


自分の部屋の、ベッドの上。


天井を、見つめていた。


指揮官。


自分が。


十六人の命を。


「……無理だ」


彼は、呟いた。


「絶対、無理だ」


ドアが、ノックされた。


「……はい?」


「僕だよ」


トムの声だった。


「入っていい?」


「……どうぞ」


トムが、入ってきた。


そして、床に、座った。


「眠れないだろ」


「……はい」


「だろうな」


トムは、笑った。


「僕も、眠れない」


「トムさんも?」


「うん」


トムは、答えた。


「怖いよ。人と戦うんだから」


バルドは、少し驚いた。


トムは、いつも、落ち着いている。


何でもできるし、何にも動じない。


そう思っていた。


「トムさんでも、怖いんですか」


「怖いよ」


トムは、あっさりと答えた。


「僕、何でも『普通』にできるだろ。剣も、魔法も、体術も」


「はい」


「でも、それって、逆に言えば、『何をやっても、そこそこ』ってことなんだ」


トムは、続けた。


「レオンみたいに、絶対に当たらない回避もできない。ガルドみたいに、一撃で倒せもしない。ミアみたいな、精密な魔法も使えない」


「……」


「だから、僕、たぶん、一番、死にやすい」


バルドは、その言葉に、はっとした。


「そんなこと……」


「いや、事実だよ」


トムは、笑った。


「でも、僕、行くって決めた」


「なんで、ですか」


トムは、少し考えてから、答えた。


「たぶん、僕は、『普通』であることに、意味を見つけたいんだ」


「……意味」


「うん」


トムは、続けた。


「僕は、十五人の誰にもなれない。でも、十五人全員のことが、少しずつ、わかる」


トムは、自分の手を見つめた。


「レオンの剣も、少しはわかる。ミアの魔法も、少しはわかる。ノアの観察も、少しはわかる」


「……」


「だから、僕は、翻訳できる」


「翻訳?」


「うん」


トムは、答えた。


「レオンの言ってることを、ミアにわかる言葉で伝えられる。ミアの言ってることを、ガルドにわかる言葉で伝えられる」


トムは、バルドを見た。


「バルド。君の指揮も、たぶん、僕が翻訳できる」


バルドは、驚いた。


「……え?」


「君、混乱すると、変なこと言うだろ。『なんとなく右』とか」


「……はい」


「でも、それ、意味があるはずなんだ」


トムは、続けた。


「先生が言ってた。君の直感は、正確だって。つまり、君の『なんとなく』には、理由がある。君が、それを言葉にできないだけで」


「……」


「だから、僕が、翻訳する」


トムは、言った。


「君が『なんとなく右』って言ったら、僕が『右翼の敵の密度が薄いから、右から突破しろ』って、みんなに伝える」


バルドは、その言葉に、涙が出そうになった。


「……いいんですか」


「いいよ」


トムは、笑った。


「僕、それしか、できないから」


「そんなこと……」


「バルド」


トムは、真剣な顔になった。


「僕たち、二人とも、『中途半端』って言われて育った」


「……はい」


「僕は、何でもできるけど、何もできない。君は、指揮できるけど、混乱する」


トムは、続けた。


「でも、二人合わせたら、たぶん、一人前になる」


バルドは、頷いた。


そして、涙を拭いた。


「……ありがとうございます」


「明日、作戦会議だろ」


トムは、立ち上がった。


「寝よう。頭、使うんだから」


四


翌日。


作戦会議。


バルドは、地図の前に立った。


十五人が、彼を見ていた。


その視線に、バルドの手が、震えた。


「あ、あの……」


彼は、言った。


「え、えっと……」


沈黙。


十五人が、待っている。


その沈黙が、バルドを、追い詰めた。


「す、すみません、僕……」


「バルド」


トムが、声をかけた。


「地図、見て」


「……え?」


「みんなじゃなくて、地図を見て」


バルドは、その言葉に従った。


十五人の顔から、視線を外し。


地図だけを、見た。


そして、その瞬間。


彼の頭の中の、緊張が、少しだけ、緩んだ。


「……ここ」


彼は、地図の一点を指した。


「東街道の、この、峠のところ」


「うん」


「……ここ、たぶん、盗賊たちが、待ち伏せする場所です」


「なんで、わかるの」


ミアが、聞いた。


バルドは、答えようとした。


しかし、言葉が、出てこない。


「……なんとなく」


彼は、答えた。


十五人が、微妙な顔をした。


しかし、トムが、口を開いた。


「バルド。その峠、地形はどうなってる」


「……両側が、崖です」


「道幅は」


「……狭いです。……馬車が、一台、通れるくらい」


「逃げ場は」


「……ありません」


トムは、頷いた。


そして、十五人に向かって、言った。


「聞いた? 両側が崖で、道幅が狭くて、逃げ場がない。待ち伏せに、最適の地形だよ」


十五人は、納得した。


「なるほど……」


レオンが、呟いた。


「バルド、それ、ちゃんと理由あるじゃん」


バルドは、驚いた。


自分は、「なんとなく」としか、思っていなかった。


しかし、トムが聞いてくれると、理由が、出てきた。


「……そう、ですね」


彼は、答えた。


「……たぶん、そういう、理由です」


「続けて」


トムは、言った。


「次は、どうする」


バルドは、地図を、見つめた。


そして、考えた。


いや、考えるというより。


感じた。


「……ここ」


彼は、峠の手前の、森を指した。


「……ここから、入ります」


「森から?」


ガルドが、聞いた。


「街道じゃなくて?」


「……はい」


「なんで」


「……なんとなく」


トムが、すかさず、聞いた。


「バルド。その森、峠とどう繋がってる」


バルドは、地図を見た。


「……崖の、上に、繋がってます」


「つまり?」


「……上から、見下ろせます」


トムは、十五人に向かって、言った。


「待ち伏せしてる敵を、逆に、上から見下ろす。奇襲の逆襲だよ」


十五人が、どよめいた。


「それ、いいじゃん!」


リナが、叫んだ。


「上から、爆弾落とせる!」


「……あ」


バルドが、呟いた。


「……それ、いいですね」


「バルド」


トムが、笑った。


「君が思いついたんだよ」


五


作戦会議は、三時間、続いた。


バルドが、地図を見て、「なんとなく」を言う。


トムが、それを、言葉に翻訳する。


そして、十四人が、意見を出す。


その繰り返しだった。


最初は、ぎこちなかった。


しかし、一時間もすると、リズムが生まれた。


バルドの「なんとなく」が、次第に、鋭くなっていった。


「……ここに、ドグさんとレンさんを」


「なんで」


「……盗賊が逃げるとしたら、こっちだから。……塞ぎたいです」


「じゃあ、僕とレンで、簡易の柵を作るか」


ドグが、言った。


「一晩あれば、作れる」


「……お願いします」


「……ポチさんは、犬を」


「犬を、どうする?」


「……森に、放してください。……敵が、どこにいるか、知りたいです」


「わかった!」


ポチは、元気よく答えた。


「犬なら、任せろ! 匂いで、全部わかる!」


「……ニナさんは」


「うん?」


「……森の道を、探してください。……僕たちが、通れる道を」


「任せて!」


ニナは、笑った。


「迷子になるのは、得意だから!」


「……いや、迷子は困ります」


「あ、そっか」


会議室に、笑いが起きた。


そして、バルドは、気づいた。


自分が、指揮をしている。


十五人が、自分の言葉を、聞いている。


その事実に、彼は、震えた。


恐怖ではなく。


高揚で。


六


会議の最後。


バルドは、一つの問題に、突き当たった。


「……あの」


彼は、言った。


「……一つ、決めなきゃいけないことが、あります」


「なんだ」


レオンが、聞いた。


バルドは、しばらく、黙っていた。


そして、言った。


「……敵を、殺すか、殺さないか」


部屋が、凍りついた。


十六人。


誰も、その問題に、触れていなかった。


いや。


触れないようにしていた。


「……」


沈黙。


長い沈黙。


そして、ガルドが、口を開いた。


「殺すしか、ないだろ」


「……」


「相手は、盗賊だぞ。人を殺してる。俺たちが手加減したら、俺たちが死ぬ」


「……でも」


エマが、小さく言った。


「……私、人を、殺したく、ないです」


「エマ」


「……ごめんなさい。……でも、私、医者になりたくて」


エマは、震えていた。


「……人を、治すために、学んでるのに。……人を、殺すのは……」


「じゃあ、お前は、後ろにいろ」


ガルドが、言った。


「俺が、殺す」


「ガルド!」


ミアが、叫んだ。


「そんな、簡単に言わないで!」


「簡単じゃねえよ!」


ガルドが、叫び返した。


部屋の空気が、張り詰めた。


「俺だって、殺したくねえよ! でも、殺さなきゃ、誰かが死ぬんだよ!」


「……」


「レオンが死ぬかもしれねえ。ミアが死ぬかもしれねえ。エマが死ぬかもしれねえ!」


ガルドの声が、震えていた。


「俺は、それが嫌なんだよ!」


沈黙。


誰も、何も言えなかった。


そして、大賢者が、口を開いた。


「バルド」


「……はい」


「決めなさい」


「……え」


「指揮官は、君だ」


大賢者は、言った。


「この決断は、君がする」


バルドは、青ざめた。


「……そんな」


「これが、指揮官の仕事だ」


大賢者は、続けた。


「誰も答えを持っていない問いに、答えを出す。それが、指揮官だ」


バルドは、震えた。


十五人が、彼を見ていた。


その視線が、重かった。


耐えられないほど、重かった。


「……あの」


彼は、言った。


「……ちょっと、考えさせてください」


七


その夜。


バルドは、塾の裏の、小さな丘に座っていた。


星が、出ていた。


三月の星。


「……」


彼は、膝を抱えていた。


殺すか。


殺さないか。


どちらを選んでも、誰かが傷つく。


殺せば、十六人の心が傷つく。


殺さなければ、十六人の体が傷つく。


「……どうすれば」


彼は、呟いた。


「……どうすれば、いいんだ」


足音が、聞こえた。


「隣、いいか」


シオンだった。


「……あ、はい」


シオンは、隣に座った。


そして、何も言わなかった。


十分。


二十分。


ただ、星を見ていた。


バルドは、その沈黙が、不思議と、心地よかった。


何か言われるより。


ずっと、楽だった。


そして、三十分後。


バルドが、自分から、口を開いた。


「……シオンさん」


「……」


「……僕、怖いです」


「……」


「……決めるのが、怖い」


「……」


シオンは、答えなかった。


ただ、聞いていた。


「……もし、僕が『殺せ』って言って、みんなが人を殺したら。……みんな、僕を、恨むと思うんです」


「……」


「……でも、『殺すな』って言って、誰かが死んだら。……僕、絶対、自分を、許せない」


「……」


「……どっちも、嫌なんです」


バルドは、膝に、顔を埋めた。


「……僕、指揮官なんて、無理です」


長い沈黙。


そして、シオンが、口を開いた。


「……第三の道」


「……え?」


バルドは、顔を上げた。


「……二つしか、ないのか」


シオンは、聞いた。


バルドは、驚いた。


「……え?」


「……殺すか、殺さないか」


シオンは、続けた。


「……それ以外は」


バルドは、その言葉を、考えた。


殺すか、殺さないか。


その二つ以外。


「……戦わない?」


「……」


「……いや、それは、無理です。……盗賊は、襲ってきます」


「……」


シオンは、また、黙った。


そして、しばらくして、言った。


「……戦意」


「……戦意?」


「……人は、死ぬ前に、諦める」


シオンは、続けた。


「……体を、壊さなくていい。……心を、折ればいい」


バルドは、その言葉に、雷に打たれたような衝撃を受けた。


「……心を、折る」


「……」


「……そうか」


バルドは、立ち上がった。


「……そうです。……戦意を、折ればいい」


彼の頭の中で、断片が、繋がり始めた。


ノアとシオンの、無言交渉。


リナの、爆発。


ポチの、犬の群れ。


ココの、料理。


レンの、建築。


すべてが、繋がった。


「……シオンさん!」


バルドは、叫んだ。


「……ありがとうございます!」


そして、走り出した。


塾に向かって。


シオンは、その背中を、見送った。


そして、微かに、笑った。


「……」


一言も、答えを言っていない。


ただ、問いを、返しただけだ。


それが、シオンの、交渉術だった。


八


翌朝。


作戦会議、再開。


バルドは、地図の前に立った。


そして、十五人を見た。


今度は、顔を、逸らさなかった。


「……決めました」


彼は、言った。


「……敵は、殺しません」


ガルドが、口を開こうとした。


しかし、バルドは、続けた。


「……でも、逃がしもしません」


「……どういうことだ」


ガルドが、聞いた。


「……戦意を、折ります」


バルドは、答えた。


「……人は、死ぬ前に、諦めます。……だから、諦めさせます」


「どうやって」


「……恐怖で」


バルドは、地図を指した。


「……盗賊たちに、こう思わせます。『こいつらには、勝てない』と」


バルドの目が、輝いていた。


「……そのために、僕たちの、全員の力を使います」


九


バルドの作戦は、こうだった。


第一段階。


ポチの犬を、森中に放つ。


百匹。


夜、峠を包囲し、一晩中、遠吠えさせる。


「……犬の遠吠えは、狼に、聞こえます」


バルドは、説明した。


「……盗賊たちは、狼の群れに囲まれたと、思います」


「なるほど!」


ポチが、叫んだ。


「それなら、できる!」


第二段階。


モモが、森の植物を使い、煙を作る。


「……モモさん。……眠らせる煙は、作れますか」


「……えっと」


モモは、考えた。


「……眠らせるのは、無理です。……でも、目が痛くなる煙なら」


「……それで、十分です」


第三段階。


リナとミアの、爆発。


ただし、人には当てない。


「……崖を、崩してください」


バルドは、言った。


「……盗賊たちの、周りを」


「周りを?」


リナが、聞いた。


「当てないの?」


「……はい」


バルドは、答えた。


「……当てたら、死にます。……でも、周りが崩れたら」


「……怖い」


ミアが、呟いた。


「……そうです」


バルドは、頷いた。


「……次は、自分の番だと、思います」


第四段階。


ドグとレンの、柵。


峠の出口を、塞ぐ。


「……逃げ場を、なくします」


「なるほど」


ドグが、頷いた。


「追い詰めるわけか」


「……いえ」


バルドは、首を振った。


「……逃げ場を、なくして。……それから、一つだけ、開けます」


「……一つだけ?」


「……はい」


バルドは、言った。


「……人は、完全に逃げ場がないと、死ぬ気で戦います。……でも、一つだけ道があると、そこに逃げます」


十五人は、その説明に、感嘆した。


第五段階。


そして、最後。


「……ノアさんと、シオンさん」


「……はい」


「……頭領と、交渉してください」


「……交渉」


ノアが、聞いた。


「……はい」


バルドは、答えた。


「……全部が終わった後。……盗賊たちが、完全に怯えた後」


バルドは、続けた。


「……『武器を捨てれば、命は取らない』と」


「……」


「……たぶん、そのときには、向こうから、捨てます」


十


作戦説明が、終わった。


十五人は、沈黙していた。


そして、レオンが、口を開いた。


「バルド」


「……はい」


「お前、天才か?」


部屋に、笑いが起きた。


「い、いえ、そんな」


バルドは、慌てた。


「僕、ただ、なんとなく……」


「なんとなくで、そこまで考えられるかよ」


ガルドが、笑った。


そして、バルドの肩を、叩いた。


「悪かったな。昨日、怒鳴って」


「……いえ」


「お前の作戦、いいと思う」


ガルドは、言った。


「殺さないで、勝つ。それが、一番いい」


エマも、頷いた。


「……ありがとうございます、バルドさん」


「……いえ」


バルドは、俯いた。


しかし、その顔は、赤かった。


大賢者は、その様子を、黙って見ていた。


そして、初めて、口を開いた。


「バルド」


「……はい」


「一つ、聞きたい」


「……なんでしょう」


「もし、この作戦が、失敗したら。どうする」


部屋が、静まり返った。


バルドは、しばらく、考えた。


そして、答えた。


「……そのときは」


「……」


「……そのときは、僕が、なんとかします」


「どうやって」


「……わかりません」


バルドは、正直に答えた。


「……でも、なんとかします」


大賢者は、微かに、笑った。


「よろしい」


大賢者は、言った。


「それが、指揮官の答えだ」


十一


出発の朝。


三月十五日。


十六人は、塾の前に、集まっていた。


装備は、それぞれ。


レオンは、剣。


シルフィは、弓。


ミアは、魔法陣の道具。


リナは、爆弾の入った鞄。


ガルドは、手甲。


エマは、医療器具。


ノアは、記録用の帳面。


ココは、大鍋。


ドグは、ハンマー。


シオンは、何も持っていない。


ポチは、犬笛。


トムは、剣と、杖と、その他いろいろ。


ニナは、地図。


バルドは、地図と、旗。


レンは、工具。


モモは、種と、薬草の袋。


「では」


大賢者は言った。


「出発する」


「はい!」


十六人が、答えた。


そして、歩き出した。


東街道へ。


初めての、対人戦へ。


十二


行軍は、二日かかった。


その二日間、バルドは、ずっと緊張していた。


食事も、喉を通らない。


夜も、眠れない。


「バルド」


二日目の夜。


野営地で、ココが、彼に、器を差し出した。


「食べて」


「……ありがとうございます」


バルドは、その器を、受け取った。


中身は、スープだった。


色は、緑。


いや、緑と、紫と、黄色が、混ざっている。


「……これ、なんですか」


「わからない」


ココは、あっさりと答えた。


「え!?」


「でも、味見した。たぶん、大丈夫」


「たぶん!?」


バルドは、恐る恐る、一口、飲んだ。


そして、目を見開いた。


「……美味しい」


「でしょ!」


ココは、嬉しそうに笑った。


「それ、緊張してるときに、いい材料、入れたから」


「……緊張?」


「うん」


ココは、頷いた。


「モモに、教えてもらったの。心を落ち着かせる薬草があるって。それと、体を温める根っこと、あと、なんか苦いやつ」


「なんか苦いやつ……」


バルドは、笑った。


そして、気づいた。


自分が、笑っている。


二日ぶりに。


「……ありがとうございます、ココさん」


「いいよ」


ココは、答えた。


「バルド、明日、大変でしょ。指揮官だし」


「……はい」


「だから、これ、食べて」


ココは、続けた。


「あたし、戦えないから。料理しかできないから」


「……そんなこと」


「ううん」


ココは、首を振った。


「でも、それでいいって、先生が言ってた」


ココは、笑った。


「『軍隊は、腹で動く』って」


バルドは、その言葉に、頷いた。


そして、スープを、全部、飲んだ。


体が、温かくなった。


そして、少しだけ、眠れそうな気がした。


十三


三日目の朝。


峠の、手前。


十六人は、森の中にいた。


「……ポチさん」


バルドが、言った。


「……犬を、放してください」


「わかった!」


ポチは、犬笛を吹いた。


その音は、人間には、ほとんど聞こえない。


しかし、次の瞬間。


森の中から、犬が、現れた。


十匹。


二十匹。


五十匹。


百匹。


大小様々な犬たちが、ポチの周りに、集まってきた。


「うわ」


レオンが、呟いた。


「こんなに、いたのか」


「うん!」


ポチは、笑った。


「ずっと、修行で、増やしてたんだ」


彼は、犬たちに、指示を出した。


言葉ではない。


犬笛の、音の組み合わせ。


犬たちは、その音を聞いて、森の中へ、散っていった。


峠を、包囲するために。


「……ニナさん」


バルドが、次に言った。


「……崖の上への道を、教えてください」


「任せて!」


ニナは、笑った。


そして、歩き出した。


しかし。


「……ニナさん」


「なに?」


「……そっち、逆です」


「あれ?」


森に、笑いが起きた。


緊張が、少しだけ、緩んだ。


十四


崖の上。


十六人は、そこに、身を潜めていた。


眼下には、峠の道。


そして――


盗賊団の、野営地。


三十人。


いや、もう少し、多いかもしれない。


天幕が、五つ。


焚き火が、三つ。


見張りが、四人。


「……多い」


ミアが、呟いた。


「……三十五人くらい、いますね」


ノアが、小さく言った。


「……え?」


「……天幕の大きさと、焚き火の数から。……あと、干してある服の枚数」


ノアは、続けた。


「……三十五、前後だと思います」


「五人、増えてる」


トムが、言った。


「バルド。どうする」


バルドは、下を見つめた。


三十五人。


想定より、多い。


作戦を、変えるべきか。


「……」


彼の頭が、真っ白になりかけた。


しかし。


「バルド」


トムが、声をかけた。


「みんなじゃなくて、下を見て」


その言葉に、バルドは、我に返った。


そして、下を、見つめた。


野営地。


天幕。


焚き火。


見張り。


そして――


「……あれ」


彼は、呟いた。


「……あの、天幕」


「どれ?」


「……一番、奥の」


バルドは、指差した。


「……あれだけ、他と離れてます」


「頭領の天幕だな」


レオンが、言った。


「……はい」


バルドは、頷いた。


そして、続けた。


「……で、あの天幕の前に、荷物が、積んであります」


「……盗んだ品だろ」


「……はい」


バルドは、言った。


「……でも、その荷物、天幕の入口を、塞いでます」


十五人は、その意味が、わからなかった。


「それが、どうしたんだ」


ガルドが、聞いた。


「……頭領は」


バルドは、答えた。


「……逃げるとき、あの荷物を、持っていきます」


「……なんで、わかる」


「……なんとなく」


「バルド」


トムが、聞いた。


「その荷物、頭領が自分で並べたと思う? それとも、部下が?」


バルドは、考えた。


「……頭領、です」


「なんで」


「……自分の天幕の前に、自分で積んだんです。……誰にも、触らせないように」


トムは、頷いた。


そして、十五人に向かって、言った。


「頭領は、金に執着してる。ってことは――」


「……逃げるとき」


バルドが、続けた。


「……荷物を、置いていけません」


彼の目が、輝いた。


「……つまり、遅くなります」


十五


作戦が、修正された。


「……ドグさん、レンさん」


バルドは、言った。


「……柵は、予定通り。……でも、一つだけ開ける道を、変えます」


「どこに?」


「……頭領の天幕の、反対側に」


バルドは、答えた。


「……頭領が、荷物を取りに戻る間に。……部下たちだけ、逃げます」


「……なるほど」


レンが、呟いた。


「頭領と部下を、分断するのか」


「……はい」


バルドは、頷いた。


「……頭領一人になれば」


彼は、ノアとシオンを、見た。


「……交渉が、簡単になります」


ノアは、頷いた。


シオンも、頷いた。


一言も、話さずに。


十六


日が、暮れた。


峠は、闇に包まれた。


そして――


作戦が、開始された。


最初に動いたのは、犬たちだった。


百匹の犬が、峠を囲み、一斉に、遠吠えを始めた。


「ウォオオオオオン」


その声は、闇の中で、反響した。


崖に跳ね返り、増幅され、まるで、何百頭もの狼がいるように、聞こえた。


盗賊たちが、飛び起きた。


「な、なんだ!?」


「狼だ! 狼の群れだ!」


「こんな数、聞いたことねえぞ!」


野営地が、混乱した。


見張りが、松明を掲げ、周囲を照らした。


しかし、闇の中には、光る目が、いくつも、いくつも、見えるだけだった。


「囲まれてる!」


「何百頭いるんだ!?」


恐怖が、広がった。


そして、次の段階。


モモの、煙が、流れ込んだ。


森の植物を燃やした、白い煙。


それは、風に乗って、野営地を、覆った。


「うっ! 目が!」


「なんだこの煙!」


「毒か!?」


盗賊たちは、目を押さえ、咳き込んだ。


視界が、奪われた。


そして、第三段階。


「……ミアさん、リナさん」


バルドが、合図した。


「はい!」


ミアが、魔力を放出した。


リナが、それを、起爆装置に変えた。


爆発。


しかし、それは、野営地ではなかった。


野営地の、周囲の崖。


四箇所。


同時に。


轟音。


大量の岩が、崩れ落ちた。


野営地の、すぐ横に。


「うわああああ!」


「崖が崩れた!」


「逃げろ!」


盗賊たちは、パニックに陥った。


狼の遠吠え。


目を焼く煙。


そして、崩れる崖。


その全てが、同時に襲ってきた。


「……次」


バルドは、言った。


そして、旗を、振った。


十七


盗賊たちは、峠の出口へ、走った。


しかし――


そこには、柵があった。


ドグとレンが、一晩で作った、頑丈な柵。


「なんだこれ!」


「開かねえ!」


「反対側だ! 反対側から逃げろ!」


盗賊たちは、反対側へ、走った。


そちらにも、柵はあった。


しかし、一箇所だけ、開いていた。


狭い、道。


一人ずつしか、通れない道。


「あそこだ!」


「あそこから逃げろ!」


盗賊たちは、そこへ、殺到した。


そして――


頭領は、動かなかった。


彼は、自分の天幕の前で、叫んでいた。


「待て! 荷を運べ! 金を置いていくな!」


しかし、部下たちは、聞かなかった。


命の方が、大事だった。


三十四人が、狭い道を通って、逃げていった。


残ったのは。


頭領、一人だった。


十八


煙が、晴れていった。


犬の遠吠えが、止んだ。


そして、静寂が、訪れた。


頭領は、一人、立っていた。


大男だった。


身長は、二メートル近い。


顔には、大きな傷跡。


そして、その手には、巨大な戦斧を握っていた。


「……」


彼は、周囲を、見回した。


誰も、いない。


部下は、全員、逃げた。


「……くそったれが」


彼は、呟いた。


そして、崖の上を、睨んだ。


「出てこい!」


彼は、叫んだ。


「そこにいるんだろ! 出てこいや!」


崖の上から、二人の人影が、降りてきた。


ノアと、シオンだった。


丸腰。


武器を、持っていない。


頭領は、その二人を見て、笑った。


「なんだ、ガキじゃねえか」


彼は、戦斧を、肩に担いだ。


「お前らが、これをやったのか」


「……」


ノアは、答えなかった。


シオンも、答えなかった。


ただ、頭領の前に、立っていた。


「おい」


頭領は、苛立った。


「何とか言えよ」


「……」


沈黙。


頭領は、その沈黙を、嘲笑した。


「はっ、ビビって声も出ねえか」


しかし。


ノアは、俯いたまま、頭領を、観察していた。


呼吸。


浅い。


そして、速い。


手。


戦斧を握る手が、微かに震えている。


視線。


さっきから、三回、部下が逃げた方向を、見た。


そして――


足。


体重が、後ろにかかっている。


つまり。


「……この人」


ノアは、心の中で、呟いた。


「……戦う気が、ない」


彼は、怯えている。


部下に見捨てられ。


正体不明の敵に囲まれ。


そして、逃げたがっている。


ただ、逃げるきっかけが、ないだけだ。


ノアは、シオンを、見た。


視線が、合った。


シオンも、気づいていた。


音で。


頭領の、呼吸の音で。


二人は、同時に、動いた。


いや。


動かなかった。


ただ、一歩、前に出た。


それだけ。


「……!」


頭領が、後ずさった。


一歩。


無意識に。


その瞬間、勝負は、決まった。


「……」


シオンが、口を開いた。


そして、たった一言、言った。


「……置いていけ」


頭領は、その言葉に、震えた。


金を。


置いていけ。


そう言われた。


「……ふ、ふざけるな!」


彼は、叫んだ。


「これは、俺の――」


「……置いていけ」


シオンは、繰り返した。


同じ言葉を。


同じ声で。


抑揚もなく。


その繰り返しが、異様に、恐ろしかった。


頭領は、崖の上を、見た。


そこには、十四人の影が、並んでいた。


弓を構えた者。


魔法陣を展開した者。


爆弾を持った者。


そして、その中央に、大賢者が、立っていた。


腕を組んで。


何もせずに。


ただ、見ているだけだった。


しかし、頭領は、その姿を見た瞬間、理解した。


あれには、勝てない。


「……ちくしょう」


彼は、戦斧を、地面に落とした。


そして、両手を、上げた。


「……降参だ」


十九


盗賊団の頭領、ガルガス。


元王国軍の傭兵隊長。


三年前に脱走し、盗賊に堕ちた男。


彼は、縄で縛られ、地面に座っていた。


「なあ」


彼は、バルドを見て、言った。


「指揮を執ったのは、お前か」


「……はい」


バルドは、答えた。


「そうか」


ガルガスは、笑った。


「見事だったぜ」


「……ありがとうございます」


「俺は、二十年、戦場にいた」


ガルガスは、続けた。


「作戦なら、山ほど見た。だが、お前の作戦は――」


彼は、首を振った。


「読めなかった」


「……読めない?」


「ああ」


ガルガスは、答えた。


「普通、こういう奇襲は、こっちを殺しに来る。だから、俺は、殺されると思って、身構えた」


「……」


「だが、お前らは、殺さなかった」


ガルガスは、続けた。


「狼で脅して、煙で目を潰して、崖を崩して、柵で囲んで。だが、一人も、殺さなかった」


彼は、バルドを、見つめた。


「殺す気がないのに、これだけの恐怖を作る。俺は、そんな戦い方を、知らん」


「……」


「だから、読めなかった」


ガルガスは、笑った。


「お前、名前は」


「……バルド・アワアワです」


「バルドか」


ガルガスは、頷いた。


「覚えとく」


二十


その夜。


野営地。


十六人は、焚き火を囲んでいた。


誰も、怪我をしていなかった。


一人も。


「……信じられない」


ミアが、呟いた。


「……三十五人相手に。……誰も、怪我しないなんて」


「バルドのおかげだ」


レオンが、言った。


「い、いえ、僕は」


バルドは、慌てた。


「僕、ただ、なんとなく……」


「バルド」


トムが、笑った。


「その『なんとなく』が、僕たちを、生かしたんだよ」


バルドは、俯いた。


しかし、その顔は、赤かった。


そして、涙が、こぼれた。


「……よかった」


彼は、呟いた。


「……誰も、死ななくて」


「……」


「……本当に、よかった」


十五人は、その言葉を、静かに聞いていた。


そして、ガルドが、口を開いた。


「バルド」


「……はい」


「悪かったな」


ガルドは、言った。


「俺、『殺すしかない』とか言って」


「……いえ」


「お前が、第三の道を見つけてくれた」


ガルドは、続けた。


「おかげで、俺、人を殺さずに、済んだ」


彼は、自分の手を、見つめた。


「……正直、怖かった。この拳で、人を殺したら、俺、もう、戻れない気がしてた」


「……」


「ありがとうな」


バルドは、首を振った。


「……僕じゃ、ないです」


「え?」


「……シオンさんが、教えてくれました」


バルドは、シオンを見た。


「……『第三の道』って」


シオンは、何も言わなかった。


ただ、微かに、首を振った。


「……ん?」


バルドは、その仕草の意味を、理解した。


シオンは、こう言っているのだ。


「俺は、何も教えていない。お前が、自分で見つけた」


「……」


バルドは、涙を拭いた。


そして、笑った。


「……ありがとうございます」


二十一


焚き火の、外側。


大賢者は、一人で、立っていた。


星を、見上げていた。


「先生」


トムが、近づいてきた。


「隣、いいですか」


「ああ」


トムは、大賢者の隣に、立った。


「先生」


「なんだ」


「一つ、聞いていいですか」


「なんだ」


トムは、少し迷ってから、聞いた。


「先生は、僕たちが勝つと、わかってましたか」


大賢者は、しばらく、黙っていた。


そして、答えた。


「いや」


「……え?」


トムは、驚いた。


「わからなかった」


大賢者は、続けた。


「三割は、負けると思っていた」


「三割!?」


トムは、青ざめた。


「じゃあ、なんで、僕たちだけで戦わせたんですか!」


「負ける可能性があったからだ」


大賢者は、答えた。


「……え?」


「トム。安全な勝利からは、何も学べない」


大賢者は、続けた。


「負けるかもしれない戦いに勝ったからこそ、バルドは、自信を得た。君たちは、絆を得た」


「……でも」


「私は、見ていた」


大賢者は、言った。


「もし、誰かが死にそうになったら、私は、必ず助けた。それだけは、約束できる」


トムは、その言葉に、少し安心した。


しかし、同時に、理解した。


大賢者は、優しい。


しかし、甘くはない。


自分たちを、本気で、育てようとしているのだ。


「先生」


「なんだ」


「僕たち、強くなりますか」


大賢者は、微かに、笑った。


「なるさ」


彼は、答えた。


「いや」


大賢者は、焚き火を囲む十六人を、見つめた。


「もう、なっている」


第11話終了。

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