2部 スペルブースト 編 6章 暴発 2話
私は思わず手を炎に向けて避けるよにかざした。
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また頭の浮かぶこの単語、それと同時に炎がデータとなってに頭に入ってくる。
確か1ヶ月前の12芒星魔法陣に触れたときも同じようた。
モロトフカクテル?確か火炎瓶って意味だったかな?でもどうしてそんな事が判る?
「岡本!大丈夫?今何が起きた?」
「うん、大丈夫」
「魔法を吸収した?」
「分かんない、咄嗟に手をかざしただけだし・・・」
私は野間君の問いかけにそう答えた。
「でも、さっきの魔法?吸収した様に見えたわよ」
「そんな事言われても何が何だか・・・」
詰め寄る多香子に思わず視線を逸らした。その視線の先には・・・。
「あ、あそこ、誰か居る」
「何よ、話しを逸らさないで」
多香子も私と同じ窓の外に目を遣る。
その先には4人の男子生徒が居てその内の1人から残り3人が逃げる様に見えた。
「助けてくれよ」
残された1人が悲痛な趣で訴える。
「ま・・・まただ、助けてくれよ」
男子学生は泣きじゃくりながら叫ぶ、その一方で男子生徒の手から第1魔法陣が浮かび上がった。
螺旋状に広がり直ぐに収束する第1魔法陣からはに浮かぶ文字から氷結系の魔法だと分かったが一瞬の事なのでそれ以上は分からない。
私達は残された廊下を出て残された男子生徒の横側に付いた。
「あいつ何をする気だ?」
「氷結系のデジタル魔法よ」
「あの一瞬で分かったの?」
多香子が驚いた様に訊いた。
「見えたの、詳しいのは見えなかったけど」
何か白く四角い物が召喚された。何か冷気が降りてくるのが見える。
「ドライアイス!」
「浦!できるか?」
「もちろんよ!」
野間君が多香子に叫ぶのを叫ぶ様に声を上げた。
多香子はスマホを操作した後、ワンドを構えた。ワンドから液体をまき散らす。それも一度や二度では無く5回同じ魔法を使うとさらにワンドから小さな炎が召喚された。
「ライター?」
の様に見えた。その液体に小さな炎を投げつけた。
周辺が一面火の海になった様に見えるが男子生徒の周りだけ炎を避けている。特に四角い物の周辺の特に冷気に負けて炎が避けている。
「ドライアイスの出す二酸化炭素に炎が負けているんだ」
火事の消火に二酸化炭素が使われる。多香子の使っている火炎魔法では相性が悪い。
「野間君は水系でしたよね?」
「そうだけど・・・」
「それならあの白い四角の物体に水をかけて」
「水をかけるだけで良いのか?」
「ええ、お願い」
「分かった」
野間君はスマホを取り出し最適なプログラムを選択してワンドを握った。
ワンドから割と小さい螺旋魔法陣が出た後第二魔法陣から銃を召喚した。
「水鉄砲?」
野間君はそのまま水鉄砲を構えドライアイスに向けて放水した。-79度以下のドライアイスの表面は放水された水が凍り付き行き場を失った冷気が氷のむらで薄くなった所に穴を開け冷気が吹き上がっていた。
「うわあああ、助けて・・・早く・・・」
男子生徒はは涙や鼻水にで顔はぐちゃぐちゃになりながらまたさらに魔法を発動させようとしている。
「もう、今度は何よ!」
多香子は苛立っているのがよく分かる。
「何かに操られているみたい」
「なんで操られているのよ、どういう事?」
「だって、言っている事とやっている事がまるで反対じゃない」
「だったらあいつを気絶か何かすれば止まるんじゃ無いか?」
「さっきあの人が使っていたドライアイスの魔法、使えない」
「できるか分からないけど・・・やってみる」
野間君はスマホを触り、使えそうな魔法のリストを見ている。
「有った、これでどうだろう?」
野間君は私にスマホを見せた。
「プール?できるの?」
「やってみるよ」
野間君はワンドを構え意識を集中する。
「大きい・・」
私の予想よりもずっと大きな螺旋魔法陣が現れた。魔法陣の下は地面よりも下にあるから直径も2.5m程はありそうだ。
「重い・・・」
螺旋魔法陣の収束が遅い、相当大きなデータを処理しているのだろう。
多香子の方はファイアアローでドライアイスを射ると熱で急速に昇華していき、ほぼドライアイスは無くなっていた。
そうしている間に男子生徒から銃の様な物を召喚している。それはやばい。
「多香子、銃を召喚してる!」
「え?」
男子生徒が召喚したドライアイスに意識が行っていた為だろうが次に召喚している物にまでは意識が行っていなかった様だ。そこへ場所を突き止めた先生が向かってた。
「お前達そこで何をしている。早く教室に戻りなさい!」
「先生伏せて!」
私は思わず叫ぶと同時に男子生徒が先生目がけ発砲した。
「ぐわっ!」
「先生!」
左肩を撃たれその場に踞った先生の側に私は駆け寄った。傷が深く重傷だ。出血が止まらない。動脈を損傷したか?
「行けー」
野間君の魔法が発動した。男子生徒の足元に水と一緒に四角い箱が召喚され大きくなっている。
私はその間、出血を止めるナイチンゲールAと体組織の治癒をするナイチンゲールBを同時発動させた。地面に描かれた偉人ナイチンゲールの模様がそのまま魔法陣として現れそこから包帯が幾つも伸び急所を撃たれた先生の左肩に巻き付いていく。
「な・・ん・・だ・・・・これ」
血を吐きながら先生は目を丸くして怪我をした事すら忘れているように私の魔法を見ている。
「何かすげーなこれ」
野間君も自分が発動させた魔法の事を忘れて見ている様に見える。
「先生、動かないで下さい。左側の肺動脈を撃たれているのですよ。野間君も集中して」
先生が撃たれた箇所は左心室から量の肺へ繋がっている肺動脈が破れていたから出血が止まらなかったのだろう。
そして肺静脈が損傷していると言う事は肺から体内に空気が漏れていると言う事でも有る。すなわち、処置が遅れると数時間で死亡する重傷だったと言う事になる。
男子生徒はまた銃を構え多香子に向かって撃っているがトランプ・シールドで防ごうとするが貫通してるのか多香子の制服はボロボロになっている。
「多香子!」
私は叫ぶと同時に野間君の魔法が発動した。
男子生徒の足元から水の入った箱が召喚されその箱がどんどん大きくなっていった。
しかし、男子生徒の首の辺りで箱が止まりそれ以上大きくならなかった。
「野間君?」
「重い・・・きつい」
「野間君早くして」
多香子が訴える。トランプシールドとファイアアローで応戦しているが、殺傷力の強いファイアアローでは暴走する男子生徒を直接攻撃できない。精々、男子生徒の足元への威嚇射撃をする程度だ。
男子生徒は首までの水で動きは鈍っているが召喚した銃で多香子を攻撃している。多分、多香子が私達への注意を逸らしているのだ。
「このままだと多香子が危ない」
だけど、この男子生徒、様子がおかしい。
「ねえ、野間君、あの人の様子おかしくない?」
「え?そうかな」
「やっぱりそうだ、なにかに操られている」
男子生徒は「やめろ」とか「助けて」とか言いながら様々な魔法を繰り出している。
―KEROSENE―って灯油?螺旋魔法陣に書かれていた文字が見えた。
「いけない」
あの魔法陣は多香子が使った油を撒く魔法だ。今の水槽で油が混ざり溢れ出している。
「多香子、待って!」
多香子の手から火の矢が放たれた。
放たれた火の矢は水槽の外へ溢れた油に着火した。炎は水槽を上り水の上に溜まった油に燃え広がった。
水槽の水は男子生徒の首まで有ってその上に油が浮いている。その油に引火して男子生徒の頭が火に包まれた。
「ぐわあああぁぁぁぁ」
「野間君魔法を解いて」
「わ、わかった!」
野間君は慌てて水の入った水槽を解除すると、男子生徒は頭が燃えたままその場に膝を着き倒れた。
「大丈夫?しっかりして」
私はまだ残り火のある地面に倒れた男子生徒へ駆け寄り容態を確認した。炎に喉を焼かれて呼吸困難になっている。直ぐにナイチンゲールBを発動させた。
――ENTER――
地面に描かれた魔法陣から包帯が伸び患部に巻き付いていく。肺、気管支、食道の他に、炎の熱でダメージを受けた眼球や三半規管、脳髄など
「岡本・・・これは何なんだ?こんなの見た事ないよ」
「これが浩子が作った治癒魔法・・・ナイチンゲールだっけ?」
「そう、これは私が作った最初のデジタル魔法よ」
「出もほんといつ見ても綺麗よね、いきなり第2魔法陣から発動するし、写真の像そのまま魔法陣の模様にしてしまうし」
「たまたま、プログラムが得意だっただけよ」
臓器の治癒が終わった。次はナイチンゲールA、火傷を負った皮膚の治療に掛かる。私が先に治療を終え校庭の壁に座り込んでいた先生がよろよろと立ち上がり私の側にやって来た。
「これは一体なんていう魔法なんだ?」
「先生、まだ体力が回復していないのですから余り動かないで下さい。後で体力を回復させますから」
「そんな事までできるのか君は」
「これは私が傷6の時に一応作った治癒魔法です。ナイチンゲールと呼んでいます」
「ナイチンゲール?でもこんな高度な魔法は見た事が無いのだが、どう言うプログラムなんだ」
「包帯を召喚して自己治癒力を向上させるプログラムです」
そう言っている間にも内臓組織の修復が終わり、続けてナイチンゲールAを発動させ火傷を負った皮膚表面の治療を始めた。
「なにまだ有るのか」
先生はただただ唖然としている。
「はい、このナイチンゲールは全部で5種有ります。さっき使ったのは体組織を修復するナイチンゲールB、そして今使っているのは皮膚や髪の毛の再生を促すナイチンゲールAです」
「それじゃあ後3つは何なんだ」
「体力回復と病気の治療とその全てを足した物です」
「体力の回復が出来る?」
「後で先生にも回復をかけますのでちょっと待ってて下さい」
血色の良くなった男子生徒をその場に寝かす。何度も大きな音がしたせいか他の先生達も集まってきた。
「宮下先生、大丈夫ですか?」
「ええ田島先生、その子に治療をして貰いまいたから」
私が治療をした先生は宮下先生、確か体育の科目を受け持っていた筈だ。そして生徒指導の田島先生は男子生徒を抱えていた私を見る。
「こいつが暴れていた生徒か?」
「はい、でも何かに操られている様に見えました」
「確かになにか『助けて』とか『やめろ』とか言いながら魔法使ってたわね・・・有り難う」
ボロボロになった多香子の制服姿を見かねた野間君が多香子に自分の上着を被せていた。
「とにかくお前達3人は服を着替えて直ぐに職員室に来なさい。事情を聞かせて貰うから」
「分かりました」
「宮下先生も付いてきて貰って良いですか?」
「分かりました」
田島先生はまだ意識の回復しない男子生徒を抱え保健室へ向かった。
「仕方無いな、行くか」
野間君は嫌そうにしながらも私と多香子を先導しながら教室へ戻った。




