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2部 スペルブースト 編  6章 暴発 1話

 あの日から3日が過ぎ、中間試験の2日目の5月18日、明日で中間試験は終わり、憂鬱?な試験から解放される。

 と言っても何故か小学生の時から常に成績がトップだった私。

 学校で一度習った事は大抵覚えているし、英語や社会系の暗記科目だけが得意かというと数学も得意で、今まで試験勉強とやらをやった事が無い。

 そんな私をまあちゃんは凄いを連発していたけど私はそんなに凄いのだろうか?

「後世界史かー、私、古代ローマなんて興味無いんだけど」

「私もダメ、日本史ならまだ何とかなるんだけどね」

 教科書を開きながらぼやく千恵美に直魅が賛同している。

 自分の席でボーと窓の外を見ている私に直魅が近づいてきた。

「ねえ、浩子はどういう風にしてるの?」

「え?私は特に何もしてないけど」

「ええ!?何もしてないの?捨てたの?」

「ううん、もう覚えているから」

 驚く千恵美に私はあっけらかんと答えると、さらに驚いていた。

「何か覚えるコツとか有るの?」

「私の場合は授業で教わった所は大抵覚えているから特に何も・・・ねえ」

「それじゃ、中学の時は?」

 千恵美が身体を乗り出して訊いてくる。

「成績は・・・まあまあかな」

 何故かあえて濁してしまった。この場面で学年トップだったなんて言ったらもっと驚きそうだから・・・。

「いいなあー私なんて中の中って所よ」

「そうなんだ」

 一度身を退いた千恵美がそこで思い出した様にまた迫る。

「そう言えば今日の数学もこんな感じだったよね?もしかして数学は捨てた?」

「ううん、数学は得意だから」

「もしかして・・・テスト勉強した事無い?」

「うん・・・特には・・・」

「今まで一度も?」

「中学の時には何度か友達と勉強会みたいな事はした事有るけどそれ以外はやった事はないわ」

 千恵美が黙ってしまった。一方、直魅はただただ興味津々な様子で訊いてくる。それに千恵美があんまり大きな声で驚くので野間君が聞きつけてやって来た。

「岡本って勉強得意なんだ」

「何か羨ましいよねー」

 直魅も賛同する。何か不得意な科目でも言わないと収拾が付かなさそうだ。何か有ったかな。そうだ!

「そうでも無いかな・・・体育とか苦手だ・・・」

 私の話の腰を折る様に突然の爆発音とガラスの割れる音が響いた。

「何?」

 野間君の机の前に居た多香子は直ぐに教室の窓に近づき体を乗り出し周囲を見回している。後から野間君も多香子の横に付き同じように窓から外を伺っている。

「今のは何処かの教室よ」

「どうして分かるの?」

 千恵美は私に訊いた。

「爆発と一緒に有った振動は建物の中からよ」

 私は廊下へ飛び出す。

 廊下には既に何人かが「何?」と言わんばかりに動揺が広がり先生達も走り慌てて職員室へ戻る者や生徒に大声を教室へ戻るように上げている。

 そこへ千恵美と直魅が私を追って廊下へ出てくる。そこへ内藤先生が私達に向かって教室へ入る様に大声を張り上げている。

「何が在ったんですか?」

 直魅が内藤先生に尋ねる。

「とにかく教室に入りなさい」

 内藤先生も突然の出来事に状況を把握できていないのだと思う。それでも直魅は不満そうに教室へ戻る。

 再び大きな爆発音と地震みたいな大きな縦揺れが起きた。

「さっきより大きい」

 今の爆発であちらこちらで悲鳴が聞こえる。内藤先生は爆発を聞いて慌てて職員室に向かって行った。

「今よ」

 多香子が言った。

「おい、何処行くんだよ」

 野間君は多香子を呼び止めようとする。

「もちろん、爆発の現場よ」

「待って多香子」

 私も呼び止めた。

「何よ、浩子も私を止めるの?」

「私も行くのよ」

 多香子が教室の外の様子を伺っている後ろから私は先に再び廊下へ出て前後を見回した。

「大丈夫なの?」

 好奇心の塊みたいな直魅が珍しく大人しい。

「私はここに残りますわ、多分、足手まといになりますし」

「私も、残るわ」

 千恵美と直魅の言葉を聞いた多香子は振り返らず廊下の先の窓へ体を乗りだした。

「浩子は行くんでしょ?」

「行くわ」

「おい待てよ、俺も行くよ」

 教室を後にする私と多香子の後を野間君も付いてきた。

「何処行くの?」

 走る私に後ろを多香子が尋ねる。

「1階の校庭裏」

「悪い事をするなら校庭裏ってか?」

 野間君が何その決まり事って聞きだげに多香子の斜め後ろから付いて来る。

「なんで校庭裏って分かるの?」

「1度目は分からなかった。でも2度目の爆発でガラスの割れた方向、校舎の振動の伝わり方、音の方向からそこが一番怪しいのよ」

 私は息を切らしながら、推理を説明した。

 校庭裏からクラブ棟に続く渡り廊下が見え始めた時、廊下の窓の外から赤い火の塊が飛び込んできた。

「きゃっ!」

 私は思わず身を守る体勢を取ろうとしたが、斜め下から突き上げる様な地揺れで思う様に体が動かない。と同時に目の前に壁の様になった炎が迫いた。


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