2部 スペルブースト 編 5章 浦多香子の憂鬱 2話
今はまだ良いけどストーリー構成が難しくなってきた。
骨格のネタは有るのだけどそこからの肉付けと皮付けが二転三転して居ます。
「華英さん、これでいい?」
まあちゃんはトレイに上げたフライを華英さんに見せる。
「丁度良いわ、ありがと真紗美ちゃん」
「さあ、盛りつけましょう」
キッチンの調理台にサラダを盛りつけ並べているお皿にフライを盛りつけていった。
「さて出来た料理持って行って」
「はーい」
私はお皿を食堂のテーブルへ並べていく。
「華英さん有り難うございます。多香子の分も用意して貰って」
「たまになら良いわよ。何だか落ち込んでいた様だし」
「ええ、ちょっと有って」
華英さんは炊飯器を食堂の端に有る台に置いてキッチンに目をやった。
「多香子ちゃん味噌汁出来てる?」
「あっはい、出来てます」
多香子は味噌汁の鍋と鍋敷きをテーブルの真ん中に置いて器に注いだ。
「華英さーん、コロッケ1個余っちゃったー」
「なんでそんなに揚げたの?」
「油の温度上がりすぎてたから下げる為に入れたのよ」
「うーん、じゃあ真紗美ちゃん食べちゃって良いわよ」
「でも、私ダイエット中だから」
「まあちゃんの何処が太ってるの?」
「太ってるの!」
まあちゃんは言い切った。何処が太ってる?全部栄養が胸に行ってる様にも見えるけど。
「浩ちゃん何処見てるのよ!」
「あっ、いや・・・別に・・・」
「そりゃおっぱいを見てたのでしょ?」
「多香子!」
多香子は舌を出している。
「大丈夫よ、ほら、浩ちゃんだって胸大きくなるから」
「え、うん・・・ありがと」
返ってまあちゃんに気を遣わせた。
「ホント何を食べたらこんなに育つの?」
多香子はまあちゃんの胸に顔を近づけて見ている。
「イヤ!何見てんのよ」
まあちゃんは後ろに1歩下がりながら胸を腕で覆い隠す様にする。
「所で多香子の髪って綺麗にウェーブが掛かっているけど天然なの?」
風呂上がりの多香子の髪はまだ生乾きにも関わらず綺麗に波打っていて食堂の照明の光を浴びて黒がより鮮明に見える。
「うん、この癖毛は父さん譲りなんだ・・・」
「とっても綺麗よね、艶が有って綺麗だし」
「お風呂上がったよ-」
「さあみんなご飯にしましょ、多香子ちゃんも早く」
お風呂から上がった清子を見計らって華英さんが促した。
「今夜はご馳走してくれて有り難うございます。このお礼は必ず」
「お礼なんて良いのよ。その気持ちだけ頂いておくわ」
「でも、今は何でも物価が高いから・・・」
「そこまで言うのならそうね・・・。後片付け手伝って貰おうかしら」
「はい、是非やらせて下さい」
多香子は華英さんに頭を下げる。
「さあ、冷めないうちに頂きましょ」
私はまあちゃんと清子、美華の4人と華英さん、多香子の6人で夕食をとった。
食べ終わった料理の食器は各自流し台へ持って行き、日ごとにローテーションで食器を洗い片付ける事がこの下宿の決まりになっている。そして今日の当番が私だ。
「どうだった華英さんの料理?」
洗いながら隣でお皿を洗っている多香子に訪ねた。
「とても美味しかったね」
「そうでしょう、エビフライだってただ揚げれば良いだけじゃ無いんだからね」
「って浩子だってそんなの知らなかったんじゃないの?」
私はまるで自分の事の様に胸を張る。
「それに浩子知ってる?ちゃんと下ごしらえしておかないと直ぐに丸くなっちゃうのよ?」
「そ、そんなの知ってるに決まってるでしょ」
「ふーん、そう?」
多香子が私の顔を覗き込む。私はその視線を嫌って目を逸らした。
「多香子ちゃん良く知ってるねー、家でも家事してるの?」
華英さんが食堂のテーブルに置いていた調味料を持って戻ってきた。
「ええ、お母さんと2人暮らしなので、ある程度の家の事はやっています」
「偉いわねー、私もね、みんなが自立出来る様にある程度はやっていこうと思うのね」
何だか、私が何も家事が出来ないように言われている様に聞こえる。まあ、独り暮らしをせずに下宿に住んでいるのだから仕方無いけど。
「いえ、私は別に・・・」
謙遜する多香子に華英さんは興味を持っている。
「そうそう、浩子ちゃんから訊いたんだけど、デジタル魔法がとても上手に扱えるんだって?なんでも『シフト・フレイム』なんて呼ばれる程に・・」
華英さん、それは今の多香子には地雷の・・・と言う間に話が進んでいく。
「ありがとうございます。いつの間にか付いた二つ名なんです」
何だか元気を取り戻したみたいに見えた。
「どうしたの浩子?」
多香子は私の笑みをみて不機嫌そうにしている。
「別にー」
「何よー、ちゃんと言いなさいよー」
「照れてる多香子・・・可愛い」
「もう、何よそれー」
多香子は拗ねて見せた。
「送って貰って悪いわね」
「良いのよ、私もちょっと外の空気が吸いたかったから」
多香子のマンション迄は1キロも無いのでそう時間は掛からない。
「それに、シフトフレイムがボディーガードに付いてくれるのだから安心でしょ?」
「何言ってるのよ。それに帰りはどうするのよ?」
「大して距離も無いのだから大丈夫よ」
「全く、自分だけは特別だと思っているのかしら」
多香子はぶつぶつ言っている。
多香子の住むマンションは大通りから1つ中に入った裏通りに在って割と静かな佇まいに在る。
またこの街は学生が多く住む事情も有って居酒屋と言ったお酒を飲むお店が街の南部に集中していて私達の住む街の北部には殆ど無い。
それじゃあゲームセンターの様なお店が多いのかと言うと確かに多いが、夜8時には条例によって閉店してしまうので所謂不良達がたむろする所が存在せず、夜9時を過ぎた今では街には人の気配が無い。
しかし、一昨日に起きた12芒星魔法陣事件で街の中は厳戒態勢が敷かれ、今も警察や学研警備隊の他、自衛隊の装甲車などが走り回り物々しい雰囲気が今も続いている。
「しかし、こんな時でも学校は普通に今週から中間試験よ、おかしくない?」
私はぽつりと今の様子を見て多香子に言った。
「あんなテロが起きたってのに、通常授業ってのもすごいよね」
多香子も同じ事を思っていた様だ。
「ねえ浩子、一昨日の事、何か知ってるでしょ?」
「え?」
私は思わず足を止め多香子を見つめた。多香子は2、3歩進んだ所で振り返り私を見返す。
「テロの事よね?私が何を?」
「そう・・・テロ、浩子は一昨日何してたの?」
多香子は真剣な眼差しで私を見る。思わず視線を逸らしてしまった。
「あの日はまあちゃんと買い物に行って、テロに巻き込まれて・・・その後安全な所に避難していたわよ」
「安全な所に避難していた・・・か・・・まあ良いわ、そういう事にしてあげる」
前へ振り向くとまた歩きながら多香子は言った。残念ながら多香子の表情は背を向けている為分からない我ながら今のは失敗だと思う。
「もうここで良いわ、送って貰って有り難う」
「え?でも」
「だってもう私の家、目の前よ」
多香子はマンションを視線で刺した。
「うん、分かった・・・じゃあお休み」
「うん、またね」
そう言うとそのままマンションへ走って行った。
「失敗しちゃった・・・」
私はゆっくりと下宿へ帰った。
シルビア編の投稿が遅れているのでちょっと急ごうと思っています。




