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2部 スペルブースト 編  2章 マジシャンの特性 1話

随分ブランクが開きました。

ちょっとスランプでしたので

 この日の放課後、私は竹田先生に呼ばれコンピュータールームに入った。

「わざわざ呼び出して悪かったね」

 部屋には坂本先生と担任の前嶋先生もコンピュータールームの先頭の席に座って待っていた。

「いえ・・・それでここに呼び出されたのは、魔法の授業の事ですか?」

「その事だが、午後の実習で見せてくれた魔法を作ったいきさつを教えてくれないかな」

「良いですけど・・・」

 さて、何処から話そう。まず言えるのはデジタル魔法を知った時からだろうか。

「私はインターネットでデジタル魔法の事を知ったのが小学校6年の時です。それから魔法でいろんな事が出来る事を知って興味を持ち、自分で調べてプログラムが組めるようになりました」

 坂本先生の質問にあえて正直に答える事で、私が隠したい出来事をうやむやにしようとした。

「小学6年と言う事は2024年だね、公式発表が15年だから9年目か・・・まだ戦争状態だったし日本ではまだデジタル魔術師は居なかった筈だね、となると日本語のホームページは殆ど無かった筈だが・・・」

 坂本先生を始め前嶋先生も気付いていない。しかしどうしようかな。

「はい、日本のホームページでは有りません、確かイギリス英語だったかな?他にフランス語のページを見ていました」

「ちょっと待って岡本さん、貴方、英語のホームページを小6で理解したって事?それにフランス語も?」

 竹田先生が目を丸くした。

「小学校6年生で英語が話せる事はそんなに珍しい事では無いと思いますけど」

「だけど、デジタル魔法は当時学会論文レベルの内容よ、それに関するホームページなら初心者向けに作ってあっても専門用語だって有ったでしょうに」

「そう言えば岡本さんは入試試験で語学と数学を満点で入学していたな」

「私、入試試験、満点たったんですか?」

 私は入学試験の式辞を任されていた時点で成績トップで入学した事は分かっているが試験の結果を知っているわけでは無い。前嶋先生を見ると前嶋先生はしまったと言う顔をして目を逸らした。

「そうだな、入学式の式辞は実に堂々としていて立派だった。今までで一番良い式辞だったと思うよ」

「なんあ式辞で良かったのでしょうか?」

「いやー、他の先生達もみんな感心していたよとても良い式辞だった」

「有り難うございます」

「それにしても、岡本さんは英語の他にフランス語も話せるのですか?」

 坂本先生は質問を元に戻した。

「英語については、家の事情で毎年イギリスに行っているので日常会話なら話せます。フランス語はさっき言った様にデジタル魔法のホームページがフランス語だったので辞書を買って調べながら解読しました」

「そう、じゃあフランス語も出来るの?」

「日常会話が出来るかどうかは分かりませんが辞書には発音記号も載っているので話せるかも知れません」

「そうなの?何かフランス語で言ってみて」

 竹田先生はどうも本来の趣旨を忘れている。しかし、顔からはとても強い興味を持っている事がありありと感じる。

「Quant à votre favori actuel de déjeuner hanbagu...これで合っているか分からないですけど」

「わー本当にフランス語だー。で、なんて言ったの?」

「『今日のお弁当に大好きなハンバーグが入っていました』って言いました。ただ、開くまで辞書やテレビで見ている程度なので文法やニュアンスが正しいのかは分かりませんけど」

 竹田先生もフランス語を言ってみてと言いつつ実際聞くと本当に正しいのか分かっていない筈だ。ただ、テレビで聞く様なフランス語っぽさは伝わったと思う。

「話が大分逸れてしまったな、えー、岡本さんはデジタル魔法の作成アプリを使わずにC言語で魔法を作ったそうだが、インターネットの情報を元に作成したと言う事で良いのかな?」

「はいそうです」

「C言語でデジタル魔法が作れるものなのか?」

 坂本先生は声を潜め前嶋先生と竹田先生と話しを始めた。

「岡本さんがC言語で作った魔法がデルタで読み込めたのです」

「え、C言語で作った魔法を?デルタと言えばプログラムを入力して作る魔法作成アプリでしたよね?」

 前嶋先生が聞き返した。

「ええ、プログラム自体は英文ですがそれでもとても難しいです。それよりもデルタでC言語のファイルを読み込める事に驚きました」

 竹田先生は意外な発見をしたとばかりに少し声のトーンが上がっていた。

「それであの治癒魔法はいくつの時に作ったのです」

 そこへ話が戻った。やっぱりあの時魔法を使うのでなかった。しかし今私が言っている事すら場合によっては嘘に様に聞こえるだろう。だからあえて本当の事を言うつもりだ。

「ナイチンゲールを作り始めたのは中学1年の時です。中3で今の魔法を完成させました」

「あの魔法は『ナイチンゲール』と言うのか」

「はい、あとナイチンゲールは4種類、合計5つ有ります」

「5種類も有ると言ったが、授業で見せた様な回復魔法なのか」

 坂本先生は半信半疑な表情で訪ねた。

「そうですね、今日見せた魔法は主に外皮の傷を治療するプログラムです。皮膚組織迄でしたらあの魔法で治ります。もっと傷口が深い場合は『ナイチンゲールB』を使います。それなら骨折や内蔵損傷でも治せます」

「内蔵損傷でも治療が出来るですって」

「はい、内臓の損傷や骨折の他には体力回復と細菌やウイルスの殺菌が出来るものがあります」

「ウイルスや細菌の殺菌と言う事は病気や感染症も治せるか?」

 坂本先生も前嶋先生も竹田先生も同時に驚いている。私は思わず身を退いた。

「え?そんなに驚くような事でも無いと思うのですけど・・・・」

「いや、これがどんなに凄い事か判っていないのかね」

 坂本先生が身を乗り出し私に迫る。

「でも、治療法が確立されているものだけに限られますので・・・」

 私の予想以上の反応を見せるので怖くなった。ナイチンゲールEの事は黙っておいた方が良さそうだ。

「それはつまり、薬で出来る事を魔法でやると言う事かな」

「そうです。薬で治療出来るものに限ります。と言ってもC型肝炎の治療なども出来ますが」

「と言う事は、病気の治療でも対処療法の治療は出来ないと・・・」

「それは、そうなのですがインフルエンザの様に対処療法で治せる病気なら体力を回復させれば自己免疫力が上がりますからそう言う治療をします。だから、治療法が確立されている病気と言ったのです」

 言い終わってから慌てて口を塞いだ。少し言葉が強すぎたからだ。

 しかし、先生達は私の口調には全く耳に入っておらずむしろ、私の作った魔法の性能に驚き、また何か考え声を潜めながら相談を始め少しすると「ちょっと待ってね」と竹田先生が言い残すと廊下へ揃って出ていった。

 10分程すると3人は教室に戻ってく来た。

「岡本さん、悪いんだけど君が作ったその魔法のプログラムを私に貰えないかな」

「坂本先生に?私が作ったプログラムをですか?」

「あ、済まないデータをコピーさせて欲しいのだよ」

「良いですけど、この魔法データをどうするつもりなのですか」

 デジタル魔法は時と場合によっては高値で取引される事を私は知っている。

 それに治癒魔法なら手術台を召喚して治療をする『ヒーリングオペレーション』や、対象の時間を巻き戻し人や物体を修復すると言う『リバース・タイム・ヒーリング』と言う魔法などが有る。だから私自身は意識していなかったがどうやら私の作った魔法は随分と特殊らしい。

 そうなると魔法プログラムの転売やプログラムの発表などされると著作権が不明瞭になってしまう。

「先生には悪いのですけどそれは出来ません」

 学校から貸し出されたDMOS端末にも実のところ、ナイチンゲールをインストールしていない。私の作ったプログラムは家のパソコンに保存してあるし、作ったプログラムは全て暗記している。ただ忘れた時に直ぐ思い出せるようにキーワードにして携帯電話にメモしてある程度だ。

 しかし、今日の実習で見せた魔法のプログラムはUSBメモリーに『ナイチンゲールA』だけが入っている。何しろ5Tbものプログラム量があるので他の魔法が入らない。

「それは何故かな?」

「えー、それは・・・分かりました」

 私は渋々ポケットからUSBメモリーを取り出し坂本先生に渡した。

「ではお借りしますよ」

 坂本先生はUSBメモリーを受け取ると学校支給のDMOS端末のスロットに挿入した。

「ファイルを読み込めないよ」

「Cppファイルだからでしょうか?」

「そうなのかも知れないな、だったら何故君は魔法が使えたのかね」

「それは、ある程度魔法を覚えているので」

 またまた墓穴を掘った気がする。暗記している事がそんなに凄い事なのか?

「そうですか?私には特に気にした事は無いのですが」

「そんなに・・って、随分凄い事だよ」

 坂本先生は半分驚き半分呆れている。

「5Tbものプログラムを暗記しているとは完全記憶能力でも有るのかな?」

 前嶋先生が不思議そうに私をのぞき込み思わず身を退いた。

「あのー」

「ああ、ごめんごめん」

 前嶋先生は慌てて身を退いた。

「もうこんな時間ね、坂本先生どうしましょう?」

 竹田先生は教室の時計を見ながら坂本先生に促した。もうすぐ4時45分になる所だった。

「ああ、もうこんな時間か?それと、さっきのデーターは・・・」

 坂本先生は端末に挿入していたUSBメモリーを私に返した。今までの坂本先生の行動からコピーをしていないと思う。USBメモリーをポケットに入れ席を立ち上がった。


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