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2部 スペルブースト 編  2章 マジシャンの特性 2話

「ああ、そうだった。君のマジシャンの特徴で幾つか分かった事が有ったよ」

 坂本先生は思い出したかのように発した。

「どう言う特徴ですか」

 私は振り返り聞き直した。

「岡本さんはデジタル魔法を使ったとき第1魔法陣、つまり螺旋模様の魔法陣が出なかった筈だが」

「確かに多香子達が使った魔法では螺旋魔法陣が出ていたと思います」

「まずこの映像を見て貰おう」

 坂本先生はパソコンの画面からフォルダを何層か下げ動画ファイルを呼び出した。

「これはマジシャンタイプの魔術師が魔法を使用した時の映像なんだが」

「マジシャンタイプの魔法?」

 魔法を使う男子生徒は水系の魔法を発動させている。

「ここ、目の所をよく見てごらん」

 坂本先生は男子生徒の目を注視するよう言う。しかし、画像の解像度はとても粗くはっきり見える物では無い。

「これが、螺旋魔法陣ですか?」

 はっきりと分からないが何となく青っぽい光が体を包んでいるように見える。

「いや、それじゃない、彼の目の中に螺旋魔法陣が現れているんだよ」

「え?目の中ですか?」

 私は思わず坂本先生を見る。坂本先生は私の視線に気が付いて「ほら、ここ」と生徒の目の中を指した。確かに目が青っぽくないっているのが見て取れる。

「そしてこれが、この前の映像ですね」

 次に4月13日の魔法実習の時の私が魔法を使っているシーンが映った。

 魔法は多香子から貰ったファイアドラゴン、この魔法を使った時の記憶が蘇る。

「まず、君の言っていた魔法陣についてだが・・・」

 私が魔法を発動させる瞬間になっている所で映像を止め顔を拡大した。

「浦さんが使った同じ魔法ではステッキの先に魔法陣が出ていたが君の場合は目の瞳の中に魔法陣が出ている確認出来るかな?」

「これですか?」

 画像の解像度が粗く見づらいが目の黒目の部分が青く光っているように見えた。

「この時は確かに魔法陣をw見たのですが目の中に魔法陣が浮かび上がっていたなんて分かりませんでした」

「そうだろうね、後この映像と見比べて貰えるか」

「これは?」

「これは過去の在学生の中にマジシャンタイプが魔法を使った映像だよ。使う魔法は違うが」

 映像は男子生徒は手をかざし、的に触れると的が燃えている時の映像だった。この映像の番号から映像の内容を記録したファイルを見付け確認してた。

「この映像は『ライター』を使っている時の映像だね」

 坂本先生はその映像を見終わった後で私に言った。

「これがライターですすか?この前はファイアードラゴンって魔法だったのですのよね?」

「あの時はびっくりしたよ、あの様な火柱が立つとは思わなかったからね」

「あの魔法はいつもあんなふうになるのですか?」

「あんなのは初めてだったね、マジシャンタイプの生徒は何人かいたけど火柱も何も出ずに直接対象に触れて初めて発動していたからね」

「それが私の場合はあんな火柱が出たと言うわけですね」

「だけどそれももしかしたらプログラムを書き換えていたのかも」

 竹田先生が思い付いたように口走った。それを聞いた坂本先生が謎が解けたと言わんばかりの表情を見せた。

「そうか!岡本さんはプログラムを書き換えていたのか?」

 私が想像する以上に意外な発現だった。

「え!?え?それはどういう事ですか?」

「岡本さんはC言語でデジタル魔法を作る事が出来るのなら既に有る魔法のプログラムも自分に合わせて書き換えが出来るのかなと思って」

「そんな・・・私は・・・」

 坂本先生の言った事に苦笑いを浮かべる。

 思い出した。あの時、頭の中に「―ENTER―」というイメージが浮かんだ。しかしあのイメージは一体・・・。その答えは坂本先生の言った通り魔術プログラムを全て理解し私の使いやすい様に書き換えた。

「何か思い当たる節でも?」

「いえ、何でもありません」

 私は今の言葉で坂本先生に勘付かれたかも知れない。下手に隠すより話した方がいいのだろうか?

「分かりませんが、多分書き換えたのかも知れません」

 これが正解だと思う。「何だか分からないけど、やってみたらできちゃった」見たいな言い方の方が誤魔化しやすいでしょうし、無我夢中だったと印象づける方がこれ以上の追求は無いでしょう。

「まあ、今日の所はここまでにしましょう。遅くまで引き留めて悪かったね」

 予想通り坂本先生は話しを打ち切った。唯、今後もこの話は続くだろう。

 面倒臭い・・・。

「いえ、私の方も大した話しも出来なくて済みませんでした」

 時計の針はもう5時33分を刺している。随分と遅くなってしまったものだ。

「岡本さん、ごめんね、気を付けて帰ってね」

「はい、それではこれで失礼します」

 私は竹田先生言葉を返し教室を後にした。

 コンピュータールームに居たときから外の音は聞こえていたけど野球のバットの打音や吹奏楽の楽器の音が聞こえている。

「随分遅くまで部活やってるのね」

 独りそう言いながら玄関で靴を履き替えていた。

「あれ、岡本さん?」

 後ろから声を掛けてきたのは同じクラスの岩崎浩子と大久保媛之(ひめの)、いつも2人で一緒に居る所を見かけてる。

「あら岩崎さん、大久保さん、今帰りなの?」

「ええ、2人でクラブ見学に行ってたの」

「あっ、私も何処かクラブに入らないといけないのよね?」

 ここ、常徳学園の学生は全員何処かのクラブに入らないといけない決まりになっている。但し、クラブに所属するだけで活動しない幽霊部員も居るし、その為に作られた名前だけのクラブも存在する。

「何処か良いクラブ有った?」

 私達は校門を背に帰路についた。

「私は『技術部』が少し面白そうだと思ったのだけど」

「あの部ね~」

 大久保さんの感想に岩崎さんは今ひとつ乗り気で無い様な返事をする。

「技術部?何をするクラブ?」

「パソコンを使ってデジタル魔法を作るクラブなの」

「多分、そんな事をせずにゲームばかりしてそうよ」

「そうかなー?」

 否定的な岩崎さんに大久保さんは口を尖らせ拗ねている。

「私も以外とパソコンを使うクラブは遊んでいる事が多いと思うわよ」

「それじゃあ、岡本さんはどの部に入るか決めたの?」

「私はー、魔法技術研究部かな」

 大久保さんに対する私の回答はそれ、それこそが所謂『帰宅部』だ。

「所で、岡本さんはこんな時間まで何をしていたの?」

 岩本さんが私に質問を投げかけてくる。

「うん、ちょっとデジタル魔法について分からない事が有ったから坂本先生の所に訊きに行っていたの」

「あの初めての実習凄かったねー。あんなに大きな火柱が立つのだもん」

「あの時は怖くて身体が動かなかったわー」

 2人して2週間前の魔法実習の感想を言っている。

「余り言わないでね、噂になると先輩達からどんな目で見られるか分からないから」

「そんな事な無いわよ、学年主席だったんたし」

「まあ、そうなんだけど・・・」

「そう言えば、昨日は先生に浦さん達と呼ばれて行ったけど何が有ったの?」

 これは4月22日の12芒星魔法陣に絡みサイボーグに襲われた時の事情聴取の事だ。事が事だけにこれ以上一般人(私達も一般人なんだけど)を巻き込まない為にも他言は出来ない。

「ちょっと・・・ね。ごめんこの事は先生から口止めされているから言えないの」

「ちょっとぐらい良いじゃないー」

 大久保さんが興味本位に聞いてくる。

「だめなの、この事は言えないの。だから・・・ごめんね」

「そこまで言うなら・・・仕方ないなー」

 岩崎さんはわざとらしく拗ねながら引き下がったが。顔つきは興味津々と行った表情をしていた。

「私、ここだから・・・」

 丁度大通りから細い路地に入る角に着いた。

「うん、じゃあまたねー」

 私は2人に挨拶をし家に向かった。学研都市(ここ)に来てから本当に環境が変わった。慌ただしい毎日を送っている。


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