1部 12芒星魔方陣 編 15章 相生港の攻防 2話
「しつこいなぁ」
紅妲己は赤い玉を取り出し口に運んだ。そしてガリっと噛み砕くと紅妲己の身体が赤く変色していく。
「ぐう!」
ジュリアンは大きく振りかぶる紅妲己の拳を刀の鞘で受け、そのまま10m後ろのコンテナ迄吹き飛ばされた。
「ジュリアンさん!」
私は大声で叫ぶ。
「全く、残り魔力も尽きて居ているのに・・・」
頭から流血し白いドレスはあちらこちらが破れ綺麗な太ももがちらちら見えている。胸の鎧は押しつぶされたように変形している鎧を外した。
ジュリアンは距離を取り刀を地面に突き刺すと詠唱を始めた。既に詠唱が始まった段階で魔術が発動している様に見える。
詠唱を始めた途端に周りの空気が変わった。凍り付くような悪寒を覚えその事を紅妲己も感じている。と言うより動け無くなっている。
やがて紅妲己は体をふらつかせ地面に跪くとやがて両手を地面に着けそのまま寝そべった。
「重力?」
なおもジュリアンに襲いかかるキョンシーを御門芽の薙刀が胴体を貫いた御門芽が立っていた。
「・・たく、手こずらせやがって」
「恵、助かったわ」
刀に両手で魔力を供給しいているジュリアンは御門芽にお礼を言った。
紅妲己の周囲にはまるで磁石を砂鉄の中に入れた見たいに小さな石やゴミが吸い付くように引き寄せられいる。それでもポケットからさっき食べた赤い玉を取り出そうとして落とした。
紅妲己は地面を這いつくばりながらも地面に落とした玉を咥え飲み込み、数倍の重力が掛かっている中から立ち上がろうとしているその体は全身が真っ赤だ。
「80倍の重力なのよ」
ジュリアンは驚き、そこから「ふぅん!」さらにと力を込める。看板や瓦礫が中心にある紅妲己に集まりまた腰が折れる。私も急な下り坂の途中に居るみたいに紅妲己の方へ引っ張られる。
しかし、吸い寄せられた力が急に弱まった。
「やばいわね、マナが切れた」
刀を刺した地面の前に跪いた。
私は思わずジュリアンの所へ走り出した。
「待ち・・」
御門芽は叫ぶが3体目のキョンシーと対峙している為動けない。
「ちょっと浩子、ここは危険よ」
「回復魔法を使います。このままじっとしていて下さい」
「回復、貴方出来るの?」
「分かりません、でも、やってみます」
私は端末を取り出し魔法リストから“ナイチンゲールC”を選択した。これは気力、体力を主に回復させる為のプログラムになっている。
ジュリアンの足元に2m程の魔法陣が描かれるとそこから包帯が伸びジュリアンを中心に魔法陣の外縁をグルグルと回り出した。包帯は時々高く舞い上がる様子は新体操のリボンを振っている様に見える。
「マナが回復していく・・・?」
ジュリアンは驚いた表情から一気に険しくなった。再び立ち上がると近くに有った槍を取り私達に投げる。
ジュリアンへ少し山なりに迫る槍は直前で急に軌道を変えジュリアンの足元の地面に刺さった。紅妲己はもう1本の槍を投げようとしていたが重力波に掴まり槍を杖代わりにして立っている。
シャ・ノワールがジュリアンと紅妲己の間に立ち火炎を吐く、紅妲己は交わしつつ距離を詰めていった。
すると目の前のジュリアンが突然消えた。紅妲己は急にバク転で後ろに仰け反るとさらにバク宙であっと言う間に20m後ろに下がった。
ジュリアンは最初に紅妲己が居た場所で刀を振り落としていた。紅妲己は着地地点から2本目のタガーナイフを取り出した。今度のは柄に紐が付いている。そしてそのナイフを投げる。ジュリアンは又見えない程のスピードで紅妲己に接近していたが姿が見えた所でナイフを刀で受けナイフを弾いていた。
「私の動きが読まれている?」
ジュリアンは悔しそうに言った。
「後ろ!」
私は思わず叫んだ。ジュリアンが弾いたナイフは地面に落ちずにそのまま宙を浮きジュリアンの背中を突き刺した。
「しゃあぁ!」
紅妲己は雄叫びを上げた時、紅妲己の右肩にシャ・ノワールが噛みついていた。
「読みが足りなかったわね」
ジュリアンは何事も無かったように紅妲己に近づく。
「お前、さっき私が仕留めた筈」
「お生憎様、貴方の部下を身代わりに使わせて貰ったわ」
シャ・ノワールはそのまま紅妲己の右腕を咬みちぎった。
「うわぁぁぁ!」
私は目を背けた。紅妲己の右肩から血が噴水の様に噴き出している。
「おのれ!」
紅妲己はそれでも左手にナイフを持ち2・3歩バックステップで下がりナイフを構えた
ジュリアンはまた後ろから飛んでくる紐の付いたナイフを刀で切り裂いた。ナイフの刃の様に熱処理をした金属は通常より硬い筈なのにスポンジを切る様にあっさりと。
そしてジュリアンはそのまま飛びかかり紅妲己の左腕、肩の付近から切り落とした。
「お前、強かったわ、最後に何か言い残す事は?」
ジュリアンは刀を鞘に収めながら訊いた。
「くたばれ・・・」
紅妲己はそう言い残すと薄ら笑いを浮かべた。
「!?」
今度はジュリアンが一気に後ろに下がった。紅妲己の身体が爆発しその熱と爆風が迫ってくる。
ジュリアンは後ろに下がりながら左手を前にかざし黒い球体を出した。爆風はその球体に吸い込まれている。爆風と言うより空間を吸い込んでいる様に球体を中心に周りの景色が歪んで見える。
やがて爆風と共に球体が消えていった。
「終わったの?」
私はそっとジュリアンの所に近づき聞いた。
「そうね、終わったわ」
ジュリアンはそう言った後、刀を鞘に収め、鞘で地面と叩くと魔法陣が現れた。
「これは何の魔法陣です?」
私の問いにジュリアンは細かく模様を描きながら言った。




