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1部 12芒星魔方陣 編  14章 ジュリアンの魔法 2話

 ジュリアンが刀を抜き詠唱を始めた。

「エニス!」

 ジュリアンの前に今までに見た事が無い程の大きな魔法陣が外縁から描かれ始めると、周囲のコンクリートが剥がれ魔法陣の中央に集まり高さ10m程の土の人形が出来上がった。

「これは?」

「ゴーレムよ、そう言えば貴方の名前を聞いて無かったわね」

「岡本浩子です」

「そう浩子、私はこの大きさのゴーレムに魔力を送っている間は他の魔法が使えないわ、その間、援護、お願い」

「援護って一体何をすれば」

「敵の攻撃から私を守って」

「分かりました。頑張ります」

 パンツァースーツが3体V字体型を取ってコンテナの影から現れた。

「掛かった!」

 御門芽はその叫び声と同時に右手を上げた。

 パンツァースーツの足元で無数の爆発が起こり一面が火の海になった。まるでクラスター爆弾の様だ。

「やった!」

「この程度では破壊出来ないわ、足止めだよ」

 私の言葉に御門芽は釘を刺した。

 火の海の中からロケット弾が迫ってくる。合計13発、0.6秒でここに着弾する。

――ENTER――

 瞬間的に多香子が使っていた“ファイアーアロー”のプログラムを実行する。

 プログラムでは弓矢を召喚して射る行為が必要になる筈なのに炎の矢だけが現れ飛んでいった。それも矢の後ろに残像の様に糸が伸び私が胸元に繋がっている。

 そんな矢は13発全てを打ち落とす。炎の矢が消えると私から伸びていた糸も消えて無くなった。

「よくやったわ」

 ジュリアンは私を褒めた。

「グオーー」

 ゴーレムはうめき声を上げなら完全召喚を終えるとパンツァースーツに向かって走る。

「うわ!」

 ゴーレムと聞くと遅い印象が有る。しかし、ジュリアンが召喚したゴーレムは俊敏に走し、地震だと震度3から4位有るのだろうか、その度に地響と衝撃で立っていられず地面に手を付いた。

 全高10mのゴーレムと全高5mのパンツァースーツの大きさは大人と子供ほどの差がある。既に巨大ロボットアクションの世界になっている。

 ゴーレムがパンチを1つ撃つ毎に地面は波打ちコンクリートが蜘蛛の巣の様に罅が入っていく。

 パンツァースーツはゴーレムに向かって機関砲を撃ち、外装が剥がれるとジュリアンが魔力を送り込んで修復している。そのゴーレムの強烈なパンチに戦闘の1体はコックピットを吹き飛ばされ沈黙した。

「あう!」

 後ろで悲鳴、私は振り返ると御門芽が右のこめかみを押さえ倒れ込んでいる。

「御門芽さん」

「くそーやりやがったな!」

「恵、まだやれるわね?」

「当然!」

「浩子、恵は大丈夫だから私の援護をお願い」

「あ、はい、分かりました」

 残るパンツァースーツ1体はゴーレムと取っ組みあい状態になっている間にもう1体が私達に迫りながら向かって発砲する。

 20m機関砲にはジュリアンと御門芽の前に立ち私はファイアボールを実行する。

 私の周りにまた、実習の時の様な青い火柱が立ち上がり周囲2mの範囲に命中する筈の銃弾が蒸発していった。そして私は地面に両手を付くと火柱が両手に集まり火の玉が出来上がると前方10m程の太陽の火球になり迫ってきたパンツァースーツを飲み込むと一気に爆発した。

 爆風と熱はまた私を避け後ろに広がり、その後ろに居たジュリアンと御門芽にも爆風の影響は出ていない。

 しかし、余りの威力に2人は身構え来ない爆風を防ぐ仕草をしていた。

 爆発したパンツァースーツは両腕が蒸発し胴体も焼け焦げ、装甲の尖った部分は全て溶け丸くなっている。やがて両足の付け根が外れ胴体が地面に落ちていった。

 一方でゴーレムは掴んで互いに動けない状態でもパンツァースーツは可動式のロッケト弾を撃ち込みゴーレムの胴体半分が消失していた。

「やるじゃない」

 ジュリアンは私に微笑むと表情が一気に変わった。

「はあ!」

 ジュリアンはかけ声と共にゴーレムの消失した胴体を周囲から取り込み復元するとさらに、背中へ周囲からのコンクリートやガントリークレーンが形を変えて新たな腕を形成していった。

 そして掴んでいたパンツァースーツを目にも止まらない程のものすごい速さで殴り始めた。何というか少年漫画で見る腕が無数に見えるパンチと言った所だ。

 そしてパンチの度にパンツァースーツから破片が飛び散り武器の格納ポットが次々と爆発し、パンチ1発1発に衝撃波が私の居る場所まで伝わる。

 さらに殴っている腕もだんだん赤く見るからに発熱している事が分かる。

 こう言うのも何だが、私が想像していたゴーレムとは何もかもが違った。信じられない程早くて俊敏で軽快に動いている。姿は何処から見てもゴーレムと分かるのにそのギャップはあり得ない。

 そうしている間にも4本有る腕が10本にも見える程の残像を残しパンツァースーツを殴り倒している。

 パンチ攻撃は実際30秒程で止まった。しかし私には5分も10分も殴り続けていた様に感じた。それほど壮絶な攻撃だった。

 殴っていたゴーレムの腕は赤く焼け煙を噴いてパンツァースーツは完全なスクラップの状態になっていた。

 ゴーレムは次に私が倒したパンツァースーツに向かって跳躍し踏みつぶす衝撃に私は後ろへ吹き飛ばされた。

「きゃあ」「ぎゃぁあ」

 私の悲鳴ともう一つの悲鳴が重なり私の倒れたお腹の上に誰かの頭が乗っかった。

「恵!」

 ジュリアンが叫ぶ顔を上げると顔中血まみれになっている御門芽が喘いでいる。

「誰が恵をこんなにしたの?」

 振り返り御門芽が倒れた先を睨みながら一歩前にで行く。私は体を起こし上着を御門芽の枕にしてジュリアンと周りの様子を確認した。

 ジュリアンの先に1人の女性が立っている。一方、パンツァースーツを踏みつぶしたゴーレムはその場で動かなくなり銅像がさび付くかのように徐々に砕け崩れていった。

「ジュリアンさん?」

 怒り狂うジュリアンの後ろ姿がまるで勇者が目の前に対峙した魔王の様な恐ろしさを感じてしまう。

「浩子、恵にも私にしてくれた治癒魔法、使えるかしら?」

「はい、出来ます」

「そう、恵、宜しくね」

 私は直ぐに端末を取り出し“ナイチンゲールE”を選択する。少し重いプログラムだがこれなら確実に回復する。

――ENTER――

 御門芽を中心に地面にナイチンゲールの肖像画の描かれた魔法陣が現れるとそこから無数の包帯が伸び御門芽の身体を持ち上げながらグルグルと身体に巻き付き繭を作り始めた。

「これは?恵は大丈夫なの?」

「大丈夫です」

 ジュリアンの心配をよそに繭は地面に降り包帯が徐々に解け御門芽の姿が現れ始めた。

 繭からでてきた御門芽の表情は綺麗で血色も良く、かすり傷一つ見当たらない状態で現れた。そっと目を開けた御門芽は自分の手を顔に当て消えている筈の血を拭った。

「力が戻っている?」

「そう言う魔法を掛けましたから」

「有り難う、えっと岡本、さんだっけ?」

「はい」

「有り難う、助かったよ。ジュリ姉、私まだ戦えるわ」

「いえ、ここは私がやるわ」

「分かりました。でも取り巻き位は私が処理します」

「分かったわ、宜しくね」

 ジュリアンは御門芽にそう告げ女の前に対峙した。奥に居る女は八卦鏡を取り出し夕日に当てて何か念じている。

 ジュリアンはその姿を見ると先ほど私達をここまで連れて来た時のように移動し女に斬りかかった。ギンと音がして女は何か変わった板でジュリアンの太刀筋を受け止めた。

「貴様!」

 女の後ろに隠れていた男がジュリアン目がけ銃を構えた。

「ぐわ!」

 男の1人は悲鳴を上げ頭から後ろに倒れていった。

「さっきのお礼よ!」

 御門芽は左手の式神を投げつけ右手で印を組んでいる。さらにコンテナにの影に潜んでいる男に式神は紙の状態で近くに接近すると槍に変化しての右肩を貫いた。

「御門芽さん後ろ!」

 私は叫ぶ。御門芽の後ろに手榴弾を持った男が立っていたのだ。さらに真横からも男が銃器を持ってこちらを狙っている。

 御門芽の頭上10mくらいの所に大きな毬栗が出来ていて、そこから針が男目がけ飛び男に直撃し倒れた。それでもまだ動き出す男達はまた立ち上がろうとしている。

「説破!」

 すると御門芽の頭上に有った毬栗に向かって式神を投げるとビリビリと電気を帯び針が刺さった先に倒した男達も含め目め雷が落ちた。

 雷の落ちた合計4人の男達はそのまま倒れ全身でスパーク起こると煙を上げ動かなくなった。

「サイボーグだったの?」

「そう、サイボーグ」

 私は以前、オズ・ローズで買い物をした時に遭遇したレストランの事を思い出していた。

 あの時は多香子の攻撃で襲ってくるサイボーグを撃退したのだった。

「役立たずめ、この程度で死ぬなんて」

 女は板の中央に付いている鏡に右手を入れた。板の厚みは精々1~2cmその板に肘まで右腕を突っ込み出した手には札を持っている。そして札を投げるとふわふわと風に舞うように飛び御門芽が倒したサイボーグの額に張り付いた。

 4人のサイボーグ達は再び起き上がる。

「どうしてまた立ち上がるの?」

 サイボーグ達は腕や胴体に破損が有る状態でそのまま立ち上がり動き出す。

「キョンシーだろうな、恐らくは」

 御門芽は素っ気なく返すと右手に式神を5枚投げ、その後左手に持った式神を右手で紙の中央に触れそこから薙刀を掴みだした。

 御門芽は薙刀を華麗に振り回し構え、その周りに式神がくるくると時計回りに回っていた。


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