1部 12芒星魔方陣 編 13章 また別の包囲結界 1話
ここから見渡す限りではジオフロントの東側は崩落した鉄骨で進めないし、元来た階段も瓦礫が散乱していて上れない為、西に続く道を瓦礫を避けながら走って行く。
三井先輩との電話のやりとりでいつの間にか頭に昇った血が引いて、今まで冷静に考えているつもりでそうで無かったと分かった。
崩落した鉄骨の巣を過ぎると高架橋になっているライトライナーの駅が見えた。その駅から運休の放送が聞こえてくる。
そこで、さっき抱いた疑問が再燃した。疑問点は2つ。
1つに何故、12芒星魔法陣を敷いていたのにこんなテロまがいな事を起こす必要があるのか?
2つにそもそも魔法陣に触れると爆発するような魔法陣を何故敷いた?秘密裏に魔法陣を敷きたいのなら、そう言う魔法陣くらい出来るのでは無いか?
それとさっき三井先輩に電話した時、何かまだ有るように気がした。
私は三井先輩に電話をした。
『岡本さん、今何処?』
「今、ジオフロントを抜けて、ここは・・・ローズジェル学園前?駅の所です」
『そこに、警察は居るの?』
「警察と言うより学研警備隊となんか軍隊みたいな人と装甲車が有ります。後消防車です」
電話の向こうでカタカタとキーを叩く音が聞こえる。
『あれ?ライトライナーは動いてる?』
「止まっていますが」
『ライトライナーのテロから止まっているみたいね』
私は腕時計を見た。時間はもう午後3時23分頃、そういえばお昼ご食べてない。
「あの、先輩」
『なに?』
「私、気になった事が有るんですけど」
私は2つの疑問点を説明した。
『それってダミーだったのかしら?』
三井先輩は説明を聞くとぽろりと呟いた。
「ダミーってまさか」
私の中で何かが繋がった。
「先輩!ここ以外に輪になっている物、何か分かります?」
『そうね・・・そういえば、学研都市って出入りする時ゲートを通らないといけないのだけどその周囲って高い壁に囲まれていた様な気がするわ』
「それは私も感じました。あの壁って学研都市の周囲を囲っているのですか?」
『そうだと思うわよ』
「ちょっと行ってみます」
『でもバリケードは警報装置や警備員が居るよ』
「分かりました、ありがとうございます。あの、先輩?」
『なに?』
「ライトライナーのテロって何ですか」
『ライトライナーもテロで破壊されたのよ。それと研究所も1つ』
「そんなにテロが」
『学研警備隊はテロリストによる同時多発テロとして特別警戒態勢を採っているわ』
「分かりました。ありがとうございます」
私は三井先輩がバリケードに近づかないよう警告した意味を分かっている。しかし最も気になることがある。それを確かめる為にバリケードに向かった。
歩く事30分やっとバリケードが見えてきた。結構高い、3~4m位有るだろうか。壁と建物の間は10m程の距離が取ってある。
「何とか、この上に登れないかしら」
その時、空を飛ぶプログラムを思い出し端末を取り出した。
私は周りを見回した後、壁を見上げた。ここから見える所には監視カメラは無い、他の警報装置が有るかも知れないが、とりあえず見てみないと分からない。
――ENTER――
ふわりと体が浮き上がり私は静かにバリケードの上に飛び乗った。
意外と広い、バリケードの上は幅2m程有りレールが敷かれている。
「こんな風になっているのね」
私は少しそのバリケードの上を歩いた。よく見るとその地面がうっすら光っている。
その地面に手を恐る恐る触れる。
――LOADING――
何故かうっすら光る模様が魔法陣の術式の内容が一気に頭の中に流れ込んでくる。
「なっ、なに!?」
以前に触れた12芒星魔法陣では私が触れるとガラスの様に割れた為、少しは警戒していたのだが。
そして、頭に入ってきたプログラムの内容に私は息を呑んだ。
「これは異空間結界魔法陣、学研都市その物を異空間へ持って行って二度と帰れなくなる術式」
自分で言ってって怖くなった。とにかくこれを何とかしなきゃ。
私は考えた。魔法をどうやったら潰せるのか、せめて潰せなくても発動させないように出来ないのか。
「もう!こんなのどうすればいいのよ」
端末を持って今、最も最良なプログラムを探す。
「これで魔法陣を壊せないかしら?」
選んだのは『ファイヤーボール』初めて学研都市で使った魔法。これで・・・。
「待ちなさい」
しかし。
――ENTER――
私の身体から緑色の炎が溢れ出し手を付いた地面の先に大きな火球が出来上がった。
火球は半分は地面に埋まった状態で直径2m位に成長した後に爆発する。地響きと共に遅い迫る熱波と爆風は、私の周りにバリアが有るようにまた避け周囲に飛び散った。
轟音が治まったバリケードは、長さ10m程が砕け無くなっていた。
「え?なんで」
うっすらと光っていた光の帯は何故かその爆発を避け未だに残っている。そして光の帯はまるで生きているかの様にうねうねと動き出し私の体に纏わり付いた。
光の帯なのにべっとりとした感覚、やがて帯びが首に巻き付き締め付ける。
「ぐ!うぅ!」
ギリギリと締め付けられ、息が出来ない。私は両手で引き離そうとしたが離れない。
目の前がだんだん真っ白になり音も聞こえなくなっていく。
もうダメと思った時、急に体が軽くなった。
私はその場に倒れ込み少し吐いた。それから息を整え目の前に居る人の気配に気付き見上げた。




