1部 12芒星魔方陣 編 12章 破壊される街 3話
「もう、何処に行った」
苛立ちにも似た声が出る。プラザタウンのアーケードを南側の入り口付近でさっきの男の気配を探った。だがダイアモンドダクト入り口で起きた騒ぎで学研警備隊のパトロールカーや救急車、ブルーバンドが救援に来たり泣いている人で周りが騒然としている。
「探知魔法を教えて貰うべきだった」
1人愚痴を言いながらさらに南に走った。しかし、こんなに人の目を有る所を犯人は通り抜けるのだろうか?
私はプラザタウンの東の裏手へ回った。
「ここ、どこかしら」
学研都市は山を切り開いて開発された都市だ。その為、坂道が多いのは分かっている。
しかし、ここは他とは雰囲気が違う。山と山の間に在る谷の頭上を巨大な鉄骨が縦横無尽に走っている。谷間の地面と鉄骨まではおよそ80~100mくらい在りそうだ。
まるで、建設中のジオフロントみたいに・・・。
今日は日曜だから工事は止まっている。私は携帯のGPS機能を使い位置を確認した。
6番目の放火、いや魔法陣の設置現場から西に2km程の位置と確認した。
私はその谷間に向かって近くに在った階段を下りていく。谷には新しい研究施設の様な建物の建設が進んでいた。
「何の為にこんな手の込んだ施設を作るのかしら?」
私は疑問に思いながら谷に続く道を歩く。
すると私の居る谷より頭上で建設中の巨大な鉄骨が突然爆発した。
まるでその光景は映画のスローモーション映像を見ているかのように。しかし、そう言っている間にも巨大な鉄骨は落ちて迫ってきた。
「―このままだと崩落に巻き込まれる―」
我に返った私は無我夢中で走りだした。
崩落した鉄骨は周囲に有った建設機械や作業用に櫓を押しつぶしながら地面に墜落し、その片方の端は私の後ろ20m程手前に墜落した。
その衝撃は大きく地面が揺れ立っていられず手を付いたところへ粉塵が衝撃波になって私に迫まる。
「うっ」
腕で目を覆い衝撃波をやり過ごし周りを見回す。とにかく周辺は粉塵が舞い数メートルの視界しか無い。
「酷い・・・。これも、あいつの仕業?」
無差別に人を傷付け街を破壊して・・・して?
あれ?確か12芒星魔法陣を作っていた筈、どうしてこんな派手な騒ぎが必要になるのかが分からない。もしかすると、もっと別の何かが行われている?
私はハンドバッグから携帯を取りだし三井先輩に電話を掛けた。
「もしもし、岡本ですけど三井先輩」
『岡本さん、どうしたの?今何処に居るの?』
「それより、先輩の居る所大丈夫ですか?」
『それはプラザタウンの事?』
「もう知っているのですか、プラザタウンに居た男の事」
『男?私が知っているのはプラザタウンでは銃撃戦が有った事よ、ってまさか岡本さん?』
「私、その男を追いかけているの」
『ちょっと待って、余りに危険すぎるわ。戻ってきなさい今部室に浦さんが向かっているからみんなで対策を考えましょ』
「こんな無差別に人を傷付けて、許せないのよ!」
会話にならない事は分かっている。だがそれ以上に私は頭に来ている。だからと言って電話の先の三井先輩に怒っても仕方無いのだが思わず大きな声で先輩に怒鳴ってしまった。
『ちょっと落ち着いて』
「私は落ち着いています!」
と言ったもののまた怒鳴ってしまった。それを聞いた先輩は少し息を整えてから。
『分かったわ、じゃあと、とりあえず何があったかを教えてくれる』
「そんな事を言ってる場合じゃないでしょ、さっきも巨体な鉄骨が落下してきて死にそうだったんだから」
『鉄骨?』
三井先輩は聞き返す。
『岡本さん、一体あなた何処に居るの?』
「ここは・・・プラザタウンの南東の所、頭上に沢山の鉄骨がある所です。そこの鉄骨が今、爆破されました」
『爆破!?鉄骨が爆破されたと言うの?』
「だから、そう言っているじゃないですか」
『そこは第1ジオフロントよ、そこも破壊されたって事?』
「ここ、第1ジオフロントって言うんですか?でも・・・」
『そこは、新ソーラー発電施設の建設地よ太陽光を80%透過して尚且つ発電効率が従来より50%アップしたソーラーパネルを屋根に敷き詰めて実用運用が開始される場所なの。でもとにかくそこも破壊された事は大変な事になるわ、今すぐにそこを離れて』
「は、はい、分かりました」
私は電話を切って直ぐに走り始めた。
ここからいよいよ1部 12芒星魔方陣 編のクライマックスに入ります。




