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1部 12芒星魔方陣 編  6章 事件の予感

 2日経った4月24日月曜日、2限目の授業中に生徒指導の田島先生が教室に入って来るなり英語の内藤先生を呼び出し廊下へ出て行った。

 皆、何か有ったのかと少しざわついているが教室に戻ってきた2人は教壇の前に立つと田島先生はメモを取り出した。

「えー、これから名前を呼ぶ人は私に付いていってくように、芦田さん、浦さん、岡本さん、織田さん。以上4人」

 私達は、何故呼ばれたか見当が付いた。私達4人は静かに席を立ち教室を出ようとする。

 周りは何が有ったのか分からず随分ざわつき始めている。

「岡本お前、何かしたのか?」

「うん・・・ちょっとね・・・」

 野間の質問にはそれだけ答えて教室を後にした。

 4人が廊下に出揃った時、田島先生は私達を見ると。

「お前達、何かしたのか?今、警察が来てお前達から話が聞きたいと言って・・・」

 小声で話しをする私達の顔が既に何かが起こる事を覚悟していた様に見えたのか途中でため息をついた。

「とにかく、警察からの話には私と校長先生も同行する。お前達もそれで良いな」

 田島先生はその後くるりを背中を向けて歩き出す。私達は「はい」と返事を返した。

 生徒指導室の前には校長先生が立っている。田島先生は無言のまま頷いた。

「貴方達、くれぐれも、警察の言う事には嘘の無いように正直に答えて下さいね。例えそれが貴方達が不利になる事でも、そうなったときは私達が弁護をしますから、宜しく頼みますよ」

 これにも私達は「はい」と答えるだけだった。

「どうしよう、私達」

 芦田は声を強ばらせ少し震え気味に声を絞り出している。

「大丈夫よ、きっと何とかなるわ」

 私は芦田を軽く抱きしめる。校長先生は「では、開けますよ」と声を掛け扉を開けた。

「失礼します」

 校長先生から生徒指導室へ入っていく、その後田島先生、多香子、私、直魅、千恵美の順で部屋に入り、入り口に留まっていた田島先生が部屋の扉を閉めた。

 中には女性が2人、1人は赤い髪を中央で束ね、とても白い肌、青い目をしたモデルの様な女性、もう1人は明かな日本人で目鼻立ちははっきりし、眼鏡を掛けている。

 眼鏡を掛けた女性は私達を向かい合った長机の席に座るように指示した。

「そちらから順に自己紹介をお願いします」

 眼鏡を掛けた女性はレコーダーを取り出しスイッチを入れ私達を見舞わず。

 私は周りを見回した。2人は一番右端に座った浦を見ている。

「浦多香子です」「岡本裕子です」「私は芦田直魅です」「織田千恵美です」

 私達は順に自己紹介をする。すると、赤い髪の女性は悠長な日本語でしゃべり始めた。

「では、どうして貴方達をここに呼んだか説明を始めます。まず私は警察庁のシルビアRボールドマン。右手は同じく警察庁の小河です」

「まず事件発生日時は4月22日、土曜日15時03分頃、デジタル魔法を使用した人が浦さんと岡本さんのIDが記録されています」

「ID?ですか」

 私はIDとは何の事なのか分からない。

「DMO-Systemには端末情報のIDが記録に残るようになっているので誰が何時何処で魔法を使用したか分かるようになっているのです」

「そうなの?」

「これは超能力と違って端末と魔具が有れば誰でも扱えるデジタル魔法によって起きるで有ろう犯罪を防ぐ目的でこのシステムになっています。また今回のように犯罪や事件の追跡捜査に活用していると言うわけです。従って、貴方達を被疑者としてでは無く事件の全容を把握する為の聞き取りですのでもし、不都合な事情が有ってもそれを元に取り締まりする事は有りません」

「それはつまりどういう事なんですか」

 千恵美が恐る恐る聞き返す。

「つまり、交換条件です。この聞き取り捜査に協力して貰う代わり刑法違反があっても不問にすると言う事です」

「それはつまり、極端な例で人を殺したと言っても逮捕されない・・・と言う事ですか?」

「まあ、殺人となると話は別ですが、今回は傷害罪位までなら不問にするつもりです」

 小河はからかい気味に言った。

「えー、今回の聴取は守秘義務が発生する事案が含まれます。もし、今回の内容を他言された場合は“機密情報保護法”に抵触する場合が有りますのでくれぐれも他の方に話されない様ご注意をお願いします」

「事件発生日時ですが4月22日、土曜日の貴方達が取った行動を聞かせて下さい。そうですねーでは浦さんから順に」

 シルビアは本当に悠長な日本語で話しをする。

「えー、朝起きた所からですか?」

「そうですね、1日の行動を把握したいので出来ればそこから」

「あのー」

 そこへ校長先生が割って入る。

「何でしょうか?」

「それではまるでこの子達が容疑者みたいでは無いですか」

「容疑を掛けているわけでは有りませんが何らかの事情を知っている可能性の有る人には皆、聴取をしていかないといけませんので、すみませんが、これが警察の仕事だと思って我慢して下さい」

 シルビアは丁寧に応対した。

「えー、私は朝8時に起きてシャワー浴びて、朝食を食べて10時に3人と合流しました」

「分かりました。次は隣の岡本さん」

「私は6時半に起きて寮で朝食を食べてから用意してそれからみんなと」

「次は芦田さん、お願いします」

「ああっ、えっと確か8時半位に起きて朝食食べて軽く掃除してシャワー浴びて着替えてから千恵美と一緒に駅に行きました」

「えー、芦田さんと織田さんの住まいは近くに住んでいるのですか?」

「はい、マンションの隣の部屋です」

「そうですか分かりました。次、織田さんですが芦田さんと2人で?」

「はい、私は7時に起きてシャワー浴びて、髪の手入れして9時40分頃にナオ・・・芦田さんが迎えに来ました」

「分かりました。ではそこからの行動ですが」

「えっと、魔具を買う為にオズ・ローズってお店に行きました」

 シルビアは一瞬、私を見てまた視線を戻した。

「12時頃にお店を出てジョイタウンに向かいました。そこでなんてお店だったかな?パスタ専門店が有ったのでそこに入ってパスタを食べました」

「お店の名前は誰か覚えていますか?」

「確か“えびす丸”ってお店だったと思いますが」

「あのお店ですね、知ってますよ」

 芦田の回答にシルビア応答した。 その後の事情聴取は私達がサイボーグと接触した場面に移った。

「・・・と言う事は、サイボーグ側から先に撃ってきた訳ですね」

「はい、厨房に4人が入った時、突然だったので・・・」

 シルビアの質問に多香子の説明をしていた。

「・・・しかし、おかしいですね、貴方達は厨房に居て店舗に居たサイボーグからは姿が見えなかった筈ですね、それでも撃ってきた。それも的確に」

「あの時、私が魔法陣の中心に立ったとき赤くなって爆発しわよね」

「もう!あの時、多香子は私の忠告を聞かずに奥に入るからいけないのよ」

「だって、あの時は・・・」

「はい、そこまで、私は貴方達の心境を聞きたいのではありません。事実の確認をしているのです」

 私と多香子が言い争いになる所をシルビアはぴしゃりと止めた。

「では、もう一度聞きます。サイボーグの攻撃は浦さんが魔法陣に踏み込み、魔法陣が爆発した後だったのですね」

「はい、そうです」

 私は答える。シルビアは目を閉じ考え込むようにしている。一方の小河も手帳に聞き取りの内容を書き込んでいる。そう言えばシルビアは目の前に手帳や書く物を何も用意していない。

「分かりました。では、サイボーグからの攻撃はどのように対処したのですか」

「あの時は私が盾になって・・・」

「盾って言っても、どうやって?」

「あの時は確か・・・ファイアーボールを設定していたのですけど、弾が私の前で全部溶けて無くなったのです」

「弾が溶けた?」

「はい、確か・・・そうだったと思います」

「私も見てた。裕子・・・岡本さんが庇ってくれなかったら私どうなっていたか」

 直魅が怯えたような表情で顔に手を当てた。一方、小河はシルビアの耳に手を当て何か言い、シルビアもそれに答えている。そして。

「ファイアーボールは文字通り、小さな太陽を召喚して対象を攻撃する大変高度なプログラムです。岡本さんの言う事が本当ならプログラムを作り替えた事になりますが」

「前だって裕子、実習で・・・」

「あの時の実習でしょ?凄かったね全身から火柱が上がるんだもの」

「実習?その実習では何が有ったのですか?」

 千恵美と浦が私を庇っているのか煽っているのか分からない言い方をする。その発言にシルビアは食いついてきた。

「えー、初めての魔法実技の実習でファイアーボールを実行したんですが、私の身体から火柱が立って・・・その後的に手を触れると今度は的が爆発して・・・」

「それで、怪我人は出たのですか」

「いえ、私は服に焦げ一つ無かったし怪我人は無かったと思います」

「思います・・・とは?」

「この後私、気を失ってよく覚えていないのです」

 私は俯いた。それを聞いて小河とシルビアで何か話をしている。

「分かりました。これは又の機会とします。では話を戻しますがサイボーグはどうやって倒したのですか」

「それは、私がファイアーボールで・・・」

「それは、1発ですか2発ですか?」

「えっ」

「えっと、岡本さんが私を庇って直ぐに浦さんが攻撃しています。その後、倒れた私と岡本さんが立ち上がる途中で魔法陣が壊れて、岡本さんがその場に立ち尽くしちゃって」

「そうです、浦さんの最初の攻撃でも倒れなくてさらに攻撃してくる感じだったからもう一度浦さんが攻撃して・・・」

「では、話から状況をまとめると。最初の攻撃はサイボーグからしてきた。その攻撃を岡本さんがファイアーボールで盾になって庇いその後直ぐに浦さんがファイアーボールで攻撃した。ここまではいいですね?」

「はい」

「その後、倒れた芦田さんと岡本さんは起き上がるとき魔法陣が壊れ岡本さんの意識が一時飛んだ。浦さんの攻撃を受けても尚、迫ってくるサイボーグに再度、浦さんがファイアーボールで攻撃した。と言う事ですね?」

 小河に皆、息のみ頷いた。

「では、2度目のファイアーボールで攻撃する前、サイボーグからの攻撃は無かった。まずここはいいですね」

「はい」

 多香子が返事した。

「次に、岡本さん」

「はい」

「魔法陣が消えたとき意識が飛んだと言う事ですが、亜空間へ学研都市を転移させると言う術式が魔法陣からの術式が見えて居たのでしたね」

「はい」

「大体、ここまでの状況は分かりました、では、何故貴方達は現場から逃げたのですか」

「それは、怖かったからです」

「そして、通報しなかった」

「はい」

「分かりました。詳しい事は今後裏付け捜査を起こって検証しますが、恐らく貴方達の行動は“正当防衛”が成立すると思います」

 その言葉を聞いた私達は胸をなで下ろした。直魅は緊張の糸が切れたのかボロボロと泣き始め、千恵美が慰めていた。

「その後の行動ですが」

 サイボーグと戦った店を出た後、近くの公園へ逃げその後、ユー湯ーランドで着替え帰宅した事を説明し事情聴取は終わろうとしていた時、小河は多香子に何かを訊いてた。銀行強盗犯の逮捕に協力した時の話みたいだった。

「そうそう、岡本さん?」

小河はボイスレコーダーに手を伸ばした所で止め不意に訪ねた。

「はい?」

「貴方は頭に怪我とかされた事が有りますか?」

「いえ、ただ小学1年の時に事故に遭ってその時に脳外科手術を受けたと両親から聞いてますけど」

「いえ、ちょっと気になって」

「はあ」

 私にしか聞こえない程の小さな返事を返した。しかしこの小河の質問はどういう事だろう?

「今日は有り難うございます。この件に関しては他言無用にお願いします」

 私は事情聴取を打ち切る。小河は手を伸ばしたボイスレコーダーの電源を切り鞄に片付けた。


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