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1部 12芒星魔方陣 編  5章 魔法の片鱗 4話

「どうしたの?」

「ほんと怖かったから」

 多香子の問いにそう答えながら笑いをこらえようとしていた。みんな笑った。

「みんな服がドロドロ」

 私はみんなの服を改めて見た。煤や汚れで私を含めみんな服が汚れている。顔も汚れ髪にも埃や煤が付いている。

「何処かスパー銭湯とか無いかな?」

 多香子の言葉に織田さんがスマホを手にして調べ始めた。織田さんのスマホはキーボード部分と薄いガラス製のディスプレイが付いていて折りたたみ式になっている物になっている。

「すぐ近くに在るね。コインランドリーも一緒になってる」

「じゃあそこに行きましょ」

 銭湯が入っている複合施設はジョイタウンと学研都市駅の中間に有った。

「ユー湯ーランド?」

 多香子はぼそりと。

「なんてベタな名前」

 直魅はその名前を見て失笑した。

 私達は先に銭湯に入った。

 浴場の中にはイギリス風呂やインド風呂などが揃っているそうだ。

「わー、すごーい」

 私は思わずに言葉に出た。多香子はフランス風呂に走って行った。

「浦さんったら」

 織田さんは言った。「そうやね」と振り返るとタオルで胸元を隠している。

「織田さん、スタイル良い」

「そんな事無いよー」

 とりあえず一番近くに有ったイギリス風呂に入った。そうしていると芦田さんが遅れて入ってきた。

「フランス風呂は今キャンペーンでローズバスになっているって」

「バラの花びらが入っているの?」

「そうみたい」

「だから浦さんフランス風呂に行ったのね」

「行ってみましょうか」

「行きましょ」

 と言うことで多香子が先に向かったフランス風呂に三人で向かった。フランス風呂には多香子が背泳ぎしている。

「浦さん?」

 芦田さんが戸惑いつつも問う。

「もう、お姫様気分」

「でも、本当にすごーい」

 浴槽にはバラの花びらが一面に広がりバラの良い香りが漂っている。湯船に浸かれば花びらが私の側に寄ってくる。確かに泳いでいた多香子の気持ちがよく分かった。

 いつの間にか芦田さんが泳いでいる。

「芦田さん、胸・・・」

「いやー」

 芦田さんが背泳ぎしていたが水面から胸の部分が出ていたのだ。つい言葉に出てしまった。私と織田さんは花びらを手ですくいながら並んで足を伸ばしていた。

「どう?浦さんとは仲直りできた?」

「分かんない、途中であんな事が有ったから」

「それならもう一度仲直りしてきなさい」

 織田さんはそう言いながら私の胸を触ってからアラブ風呂に行ってしまった。私は多香子の側に行った。

「助けてくれ有り難う」

 私はさっきの襲われた時のお礼を言った。

「それは、こっちの台詞よー、有り難う、浩子がかばってくれなかったら私、どうなっていたか、それに何処も怪我してない」

「何処も怪我は無いわ」

 私は湯船から立ち上がって背中を見せた。銃弾は背中に受け怪我をしている筈だが何処にも銃弾を受けた怪我をしていなかった。

「本当に何処も怪我していないのね」

「ヒャッ」

 多香子は私の背中からお尻の方まで触ってきた為、変な声が出てしまった。

「ちょっと何処触ってんのよ」

「ゴメンゴメン、随分綺麗な体してるからついよ、つい」

「綺麗な体って」

 私は背が伸びる様に通販でサプリを買ったりしていたが余り身長が伸びなかった。せめて多香子くらいの身長が欲しいと思う。

「よーし、お返しだ!」

 私は多香子の胸を掴んだ。

「きゃっ、やったな-」

 私と多香子はフランス風呂で芦田さんと織田さんが「遅い」って来るまで続いた。

 施設のコインランドリーで洗濯をしている間、服を借りた四人はベンチに座って待っていた。

「あのロボット一体何だったんだろう」

 芦田さんは思い出したかのように言う。

「何か魔法陣って言ってたわね」

「そうね、何か有るのかしら」

「でもさっきみたいに倒せば良いって」

 織田さんに多香子はそう言って両の手に拳を作って見せた。

「あの後、あのお店どうなったのかな?」

「さあ、でも今は余り近づかない方が良いんじゃ無い」

「なんで」

「さっきの敵が他に居ないとも限らないし、騒ぎに成っていたら大変そうじゃない?」

「そうね」

 私の質問に多香子は冷静だったと思う。その間に芦田さんがスマホで情報を集めていた。

「あれ?放火事件?あれって爆破事件にならないの?」

「それって浦さんの魔法の事?それとも私達がお店で気になった焦げた臭いの事?」

「既に火事があってその後私達が来たんじゃないの?」

 織田さんの言葉に多香子が答え私は。

「それだと、私達がお店に来る頃には既に警察や消防が来ているんじゃないの?」

「そうねー、普通そうなるわね」

 織田さんがスマホを操作しながら言う。

「だったら、私達があのお店を放火したのって私達の事じゃ?」

「まさか、だとしてもあのロボットがやったことで解決するかも知れないわよ」

「そうね、きっとそうなるわよね」

 芦田さんは少し安心した様に胸をなで下ろした。乾燥機に入っていた服の乾燥が終わるとみんな着替えライトライナーに乗った。

 下宿に帰るととても良い臭いが覆っていた。

「ただいまー、ちょっと何この臭い」

 私はキッチンの方へ向かうと華英さんと真紗美が二人で料理を作っていた。

「あら浩子ちゃんお帰りなさい」

「で、何を作っているの?随分良い臭いが下宿中を漂っているけど」

「今夜はパエリアに挑戦したの」

「浩子ちゃん、悪いけど二人呼んできてくれる」

「分かりました」

 私は二階の自分の部屋へ鞄を置いて下宿人の二人を呼びに行った。

「ハーイ、今行きまーす」

「分かりました、すぐ降ります」

 元気の良い返事が返ってきたのは藤森美華と神田清子、どちらも中学三年で能力者を開発する学校に通っている。

 先に食堂で食器を並べていると二人が降りてきてキッチンへ向かい料理の手伝いをしていた。

「美味しい」

「パエリアにはムール貝入れるのだけどアサリにしたのよ」

 真紗美は自慢げに言った。華英さんも美味しそうに食べている。

「初めて作ったけど結構上手くいったわね」

「美味しいねえ」

 大きなパエリアを囲んで五人で食卓を囲む夜が続いた。


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