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お節介の暴走「逆・鉄壁ガード」

安藤さんは、いつだって完璧だ。

背筋は常に伸び、ノートの字はフォントのように美しく、先生の問いかけには淀みなく答える。

でも、私は見てしまった。放課後の誰もいない教室で、彼女のミニキャラが、夕日に染まる校庭をほんの少しだけ肩を落として見つめていたのを。


「(……あんなに完璧でいたら、疲れちゃうよ。よしっ、私が助けてあげなきゃ!)」


私の「お節介スイッチ」が、最大出力でオンになった。


翌日、私は登校するなり、窓際最前列の彼女の席へと向かった。


「おはよう、安藤さん! 今日はね、私が安藤さんの『ガード役』をやるから!」


「……ガード? 何を言っているの、和田さん」


困惑する安藤さんを無視して、私は鼻息荒く宣言した。


『名付けて、「逆・鉄壁ガード作戦」。』


安藤さんが完璧でいられるように、雑用や面倒事を私が全部引き受けて、彼女に「完璧を演じる余裕」を作ってあげようという、謎の理論だ。

授業中。

先生が「このプリント、前まで回して」と言えば、私は自分の席(廊下最後尾)から立ち上がり、安藤さんの分までダッシュで回収しに行く。


「安藤さん、座ってて! 私がやるから!」


「……っ、危ないわよ、和田さん」


安藤さんのミニキャラが、一瞬だけ「えっ、何?」と、本人と同じタイミングで首を傾げる。でも、その動きにほんのわずかな「迷い」が見えた気がした。


購買の争奪戦でも、私は安藤さんの代わりに戦場へ飛び込んだ。


「安藤さんは優雅に待ってて!」と叫びながら。


戻ってきた私の髪はボサボサで、頭上のルンも戦い疲れて白目を剥いている。

それでも、安藤さんの机に「完璧なバランスのお昼ご飯」を並べると、私は満足げに胸を張った。


「……和田さん。どうしてこんななこと……」


安藤さんは、呆れたような、でもどこか毒気を抜かれたような顔で私を見る。

その頭上のミニキャラは、相変わらず無表情で彼女と同期している。

けれど、私が「はい、お箸!」と勢いよく差し出した瞬間。

安藤さんのミニキャラが、本人の手よりも一瞬早く、お箸を受け取ろうとして「びくっ」と手を動かした。


「(……あ! 今、ズレた!?)」


ほんのコンマ数秒。

安藤さん本人はまだ冷静なのに、ミニキャラだけが、私のあまりの勢いに圧倒されて「自衛」しようとした。


「(……もう少し。あと少しで、彼女の本当の顔が見えるかもしれない……!)」


私の「暴走」は、安藤さんの完璧な計算を、少しずつ、けれど確実に狂わせ始めていた。


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