第1幕 その5
『@ALL NHKから取材依頼への好意的返事来た。10分後集合』
作業所からの帰宅道、家までもうすぐというところで赤信号に停められたので、待ちきれずにメンションした。既読は付くかな……。
一分ほど待ったが付かない。信号も赤のままだ。
と思ったら、既読1。瞬間で『マジで!?』と俺の知らないイエメンキャラのスタンプが飛んでくる。ポンちゅ〜さんだ。
『おつかれさまです』『はいっ!』ともに現場猫スタンプで俺。
今日はデリヘルの出勤日じゃないのかな。それとも待機時間かな。結局未だ出生時の性別すら謎なポン中、ポンちゅ〜さんである。
『マジかぁ。やったね!』
今度は文章が飛んできた。好意的な反応だ。
『ありがとうございます』そんな彼女に現場猫2匹がお礼をしているスタンプ。
――って、いつ信号変わったんだ。もう歩行者の青信号がピカピカ点滅してる。走ればいけるか?
せっかく入院の健康的な食生活で痩せたものの、退院後また太った40歳の肉体をボテボテとしながら横断歩道を駆けた。
息が切れ、2月の乾燥した冷たい空気が熱くなった肺と鼻腔の熱を奪う。汗が滲み頭がクラクラした。肺が熱くて冷たくて苦しい。
『ま? すっごいね!』
途中赤になったが歩道を渡り切ると新しいLINEが来ていた。信用できるがリリカというお薬と違法大麻が大好き、腐れジャンキーな凛々花だ。年はいくつだっけ?
『とにかく話し合いたい』
ほどなくして二人から了承の旨が来る。
そして、
『大麻とかどうすんの?』とポンちゅ〜さん。『それな』と凛々花が続く。
『ブリって考えてぇよ。今ないけど』
いや、ホント正直心の底から返事を打つ。
『抜けるのって結構かかるよね?』
『青ちゅ〜くんヘビーストナーだからなぁ。私も凛々花さんも人のこと言えないけど』
自称「健全な常習者」の俺としては――コミュと天秤にかけなきゃいけないのか、これ。そう、気付く。
『とにかく家まで急ぐ。あとでね!』
テキトーにそれっぽい現場猫スタンプをタップして家路を急ぐ。汗が伝って目に入った。痛いなぁ。
そんな俺を遠州名物からっ風が背中から吹き付けた。




