第一話
ドアは重く、綺麗な装飾がされていた。
屋敷の中は隅々まで磨かれ、塵一つ落ちていなさそうだ。
さて、これからどうすればいいのか・・・と、辺りを見渡してみると1人の老婆が奥から近づいてきた。
メイドの服というのか・・・
もちろん、今流行っているような漫画で出てきそうな感じの服ではなく、実用的なシンプルな物。
少し年のいったお婆さんが着てもしっくりくるようなデザインとで言っておこうか。
を、着ている。
「お待ちしておりました。明人様。ささ、こちらへ」
予想通りのしゃがれた声だった。
・・・僕は今日から働く気で来たのにこの対応はなんなのだろう?
まるでお客のような・・・
「あの、私は本日からここで働くよう言われて来たのですが」
老婆の後を追いながらおずおずと聞いてみると
「はい、存じておりますよ。これからお着替えしていただいてからお嬢様とお会いなさってください」
こちらをちらりと向きながら返答が返ってきた。
あぁ、この人はこういう丁寧な喋り方をする人なのかと自分なりの解釈をした。
老婆の足は止まることなく一つの部屋に入っていった。
どこをみても綺麗にされている。
老婆が渡してくれた、燕尾服のようなもの着替えながら思った。
こんな服をまさか自分が着ることになるなんてなぁ・・
何とも言えない複雑な心境だ。
ここに勤める人は全員こんな格好なのだろうか?
生憎ここまであの老婆にしか会っていない。
ドアが静かに開き、あの老婆が入ってきた。
「ささ、お嬢様に挨拶に参りましょう」
しゃがれた声の老婆と共に僕はこの部屋を後にした




