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地龍のダンジョン奮闘記!  作者: よっしゃあっ!
第四章 二度目のダンジョン

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15.訪問と拷問と

 アースです。


 つい先日、深層エリアが森になりました。

 凄いですね。

 劇的ですね。

 殺風景だった深層に、癒しの森が出来上がりました。


 んで、エリベルに怒られた。


 今も怒られてる。

 それはもうすごい怒り様だ。


 ……………めっちゃこえぇ。


 「いいアース?私はね、別に深層に森を作ったこと、それ自体を怒ってるわけじゃないの?たとえアンタが、どれだけの自重知らずでも、私の留守を狙っての犯行だったとしても、アンタが森を作った所為で、深層ダンジョンの計画を少しばかり練り直す必要が出て、製作に少しばかり遅れが出た事も、レーナ湿原から地下に大量の水を引いた影響で、最下層エリアが浸水しで作業が一時的に中断してしまった事も、出来た森に見たことも無い様な動植物が入りエルド荒野の生態系に多少影響が出たことも、別に!私は!一切!全然!!!全くもって怒っている訳じゃないの?

 それは分かる?分かるわよね、この駄龍?んん?この頭に少しばかり入ってる、耳かきでこそげ取れそうな位の僅かな脳みそのクソ駄龍でも、理解できるわよね?」


 ぐりぐりぐりぐり。

 痛いです。

 魔術強化を施した足で頭をぐりぐりするのは止めて。


 『あ、はい。何となく…………はぃ……』


 「そう、それでね、アース。私が本当に怒ってるのは、こっち」


 そう言ってエリベルは、自分が使ている保管庫を指差す。


 あ、ちなみに、いま俺達はエリベルの研究エリアにいる。


 エリベルが指差した先には、ユグル大森林や、エリベルのダンジョン、俺の脱皮した鱗など、様々な貴重品が保管されている保管庫がある。

 だらだらと冷や汗が出てくる。


 「何が言いたいか分かるわよね?」


 ゴゴゴゴゴという背景文字が見えそうな程、エリベルは怒っている。


 『勝手に中の素材使ってすいませんでしたあああああああああああああああああ!!!』


 「ふっざけんじゃないわよ!!!こんのっクソ駄龍がああああああああああああああッッッ!!!!」


 ごはぁっ!!!


 エリベルの拳が俺の顎を打ち砕く。

 あ、よく見たら、俺の皮から作ったグローブをはめてやがる……。

 きっちり威力を強化していらっしゃった。


 「ホントにっ!アンタはっ!学習って言葉を知らんのか!!」


 『だ、だから本当に御免って!?悪かった!悪かったと思ってるよ!』


 土下座である。

 もう、完っ璧なまでの土下座である。

 

 これに関しては、言い訳のしようが無い程に、完全に俺が悪い。


 実は、ガーデニングをする際、エリペディアに検索を掛けて、植物がよく育つ肥料になる素材なんかを調べていたのだ。

 それで、出てきた素材が、エリベルの研究エリアにないかなーと、ちょっとお邪魔した際、保管庫の鍵が開いていたのだ。

 ちらっと、中を見ると、俺が求めていた素材が結構一杯あって、一個位ならばれないかなーと思い、使ってしまったのだ。


 そして、その素材を使った瞬間、植物は見る見るうちに大きく育ち、これは凄いと思った俺は、気付いたら保管庫にあったその素材をすべて使い切ってしまっていた、と言う訳だ。


 うん。

 完全に俺が悪い。

 どう見ても俺が悪い。

 

 『本当に、すいませんでした。俺に出来る事なら何でも致します』

 

 「あら、何でも?へぇーそう」


 先ほどまでの怒気が鳴りを潜め、エリベルは値踏みするように俺を見る。

 …………これは、イケるか?


 『ああ、でもあんまり無茶なのは無理だけど』


 「分かってるわよ」


 エリベルはにっこりと笑う。


 「背骨頂戴」

 

 『無理だよ!』


 死ぬよ!


 「じゃあ、脳みそ頂戴」


 『無理だよ!』


 だから、死ぬって!


 「じゃあ、心臓頂戴」


 『だから、死ぬって!!!』


 「死になさいよ、クソ駄龍が」


 『本当にすいませんでした!』


 あ、駄目だ。

 俺は今日本当に死ぬかもしれない。

 ちらっとベルクの方へ助けを求める。


 すると、ベルクから、思念通話が送られてきた。

 なんだ。この状況を打開するための知恵か!?


 『アースよ、教えておいてやろう。エリベル様が生きておられた頃、とある研究機関の研究者が、エリベル様の持っていた研究資料を流用したことがあった』


 『…………ど、どうなったわけ?』


 『…………研究所は消し炭になり、数十名の死者が出た。研究所を抱えた町も消し炭になり、二度と人が住めない大地へと変貌した』


 はい、アウトー。

 これ俺死ぬパターンじゃん。

 いや、俺が悪いんだけどさ。


 「はぁ………。まあ、仕方ないわね。私も鬼じゃないわ。仮にも、私は眷属。アンタは主だしね」


 『え、じゃあ………』


 「爪、皮、鱗。剥がされたいヤツを選びなさい」

 

 『か、堪忍して下さい……』


 「え・ら・び・な・さ・い」


 ひぃぃぃぃぃいいいい………。

 どうすれば……、どうすれば良い?

 この危機的な状況を、どうすれば打開できる。

 俺の頭の中はかつてない程にフル回転していた。

 

 だが、一向にいい策が思いつかない!


 何やら、猟師が鹿の解体に使ってそうなデッカいナイフや、工業用のペンチっぽい道具を持ちながら、ゆっくりとエリベルは近づいてくる。


 どうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう。

 どうしよ………あれ?


 そこで、俺はふと、“それ”に気付き後ろを向く。

 深層の縦穴に出来た森の方を、だ。


 「アース、あんた何よそ見し……て?あら?」


 どうやら、エリベルも気が付いたらしい。


 『なあ、エリベル。この魔力って………?』


 「ええ、そうみたいね」


 縦穴の方から感じるこの魔力。

 これは――――


 『………ヘレブ?』


 エルド荒野の頂点。

 アクレト・クロウ、ヘレブの魔力だった。




 ひとまず、俺とエリベルはやり取りを中断し、縦穴の方まで移動した。

 すると、やはりそこには、ヘレブの姿があった。

 森の木の中でも、一際デカい木の枝に留まっている。


 『久しいな、穴蔵の長よ。それに、賢者もいるのか』


 相変わらず、高いところから人を見るのが好きなカラスである。

 そして、怖い。

 アンとかは物怖じせずに、普通に話してるけど、俺コイツ苦手なんだよなー。

 怖いし。

 なるべく平静を装いながら、俺はヘレブに話しかける。


 『今日はどうしたんだ?』


 『少々尋ねたいことがあってな』


 『訊ねたい事?』


 こいつが俺に?

 その意外な発言に、俺は少々面食らった。


 『ああ、貴様、グウィブの居場所に心当たりはないか?』


 『グウィブの?』


 グウィブ――――エルド荒野のもう一つの頂点。

 白飛龍の長を務める個体の名前だ。

 アン、グウィブ、ヘレブの間にも個人的な協定が結ばれているし、俺自身もグウィブと協定を交わしている。


 『実は数日前から、このエルド荒野からヤツの魔力の気配が消えたのだ』


 『消えた?』


 『うむ。一日か二日、魔力を感じぬ時はたまにあったが、既に十日以上経っておる。これほど長い間、奴の魔力を感じぬ事など、今まで一度としてなかった。貴様は転移のダンジョンを作ると言っていただろう。もしや、ヤツもそれを使って、どこかへ向かったのではないかと思ってな』


 俺は首を横に振る。

 エリベルの方を見るが、彼女も首を振った。


 『いや、こっちには来てない。その話も初めて知った』


 俺が知らないだけでなく、エリベルまで知らないとなると、本当に知らないのだろう。

 俺がちょくちょく忘れても、彼女がフォローしてくれてるし。


 『………そうか』


 そう言うヘレブの口調は、どこか落胆めいた響きがあった。


 『知らぬのならばよい。邪魔をしたな。だが、もし何か情報があったら、我に伝えよ。良いな?』


 『え、ああ……うん』


 相変わらず有無を言わさぬ口調だな。

 

 言いたいことだけ言うと、ヘレブは羽を広げ、飛び立とうとするが、その前に再び俺達の方を見た。


 『…………しかし、いきなり地の底が森になっていて驚いたぞ?』


 あ、やっぱそこは驚くよな。

 

 『これは貴様の仕業か、賢者よ?』


 そう言って、ヘレブはエリベルの方を見る。


 「………いいえ、私じゃないわ。これは、アースの仕業」


 そう言ってエリベルは俺の方を、くいっと指差す。

 ちょ、おま。


 『ふむ、貴様の仕業だったか……』


 『な、なんだよ?何か、文句でも………………ありますか?』


 最後の部分は殆ど呟きのように言った。


 『別に不満などない。ただ、我は感心しただけだ。よもや、このエルド荒野に、地下とはいえ再び森が現れるとは思いもしなんだからな』


 『え?』


 『ふっ………アンと言い、お主と言い。悉く我の予想を覆す者どもだ……』


 どこか笑う様な、ともすれば楽しそうに、ヘレブは言った。


 『ではアースよ、もし貴様のダンジョンやエリア内にグウィブが現れた場合、我に伝えよ。いいな』


 『あ、ああ……』


 『では、さらばだ』


 そう言って、ヘレブは翼を広げ飛び立っていった。

 何だったんだ、一体?




 「白飛龍の長、グウィブね………実物は見たことないわね」


 ああ、そう言えばエリベルはあったことなかったな。


 「私の方で、眷属の皆には伝えておくわ。その方が確実でしょうし」


 『ああ、それは頼むわ』


 こういう時は、やっぱエリベルは頼りになる。

 ふう、ヘレブが来て助かった。

 何とか誤魔化せたみたいだし………。



 「さて、ヘレブも帰ったし、続きをしようかしら、アース?」


 『…………え?』


 「爪、皮、鱗。さっさと選びなさい……?」


 にっこり死刑宣告。


 誤魔化せてなかったー!

 もうこうなったら、アンかウナ辺りを呼んで―――――


 「あぁ、助けを呼んでもいいわよ?出来るモノならね」


 『え?』


 こちらの考えなどお見通しだと言わんばかりに、エリベルは笑う。


 「アンタの外部への思念通話をカットする結界を張ってあるわ。いくら叫んでも助けは来ないわよ?」


 『あ………あぁ………あ…』

 

 いやあああああと言う、俺の叫びが深層エリアに木霊した。



 その後の必死の説得もあり、爪一枚と鱗五枚で何とか済んだ。


 めっちゃ痛かった………。





 魔力遮断結界:開発者エリベル


 特定波長の思念通話を結界内に封じ込めるエリベルの新術式

 アースの血を媒介に開発に成功した。

 外部との通信手段を断つ事だけでなく、遠距離の支援術式なども遮断することが出来る優れた結界。

 中層以降のダンジョンに設置予定。


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