表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
底辺から始める、《与える》だけの無双伝 ~えぇ、与えていただけですよ?でも実は……知らないうちに守られていました!!♪!!?~  作者: わっぱるぅ
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
97/137

⭐️第九十六話⭐️ 黄金と白銀

一 皇帝の、本気

 だが——皇帝の戸惑いは、すぐに、消えた。

「……面白い」皇帝は言った。「だが——それでも、私の結論は、変わらぬ。縁は、強い。だが、世界を、滅びから、救うには——足りぬ」


 皇帝が、両手を、掲げた。


 戦場中の澱みが——いや、大地の、もっと深くから——膨大な澱みが、皇帝に、収束し始めた。今までの、比では、なかった。

「見せよう」皇帝は言った。「私が、蓄えた、澱みの、全てを。——これが、世界を、守るための、力だ」

 皇帝の体が、巨大な、黒い光の柱に、包まれた。空が、暗くなる。大地が、震える。帝国軍の兵すら、その力に、慄き、後退した。

「……なんて、力だ」リィナが、呻いた。「あれは——もう、人の、領域じゃ、ない」

「ヴィナの結界も——」カインが、言った。「あの結界は、もう、効果が、切れている。ヴィナの命と引き換えの、一度きりだった……!」


「アルク——!」ヴィナが、立ち上がった。「もう一度、あたしが——!」


「だめだ!」アルクが、叫んだ。「もう、首飾りは、ない! 二度目は——お前が、本当に、死ぬ!」


「でも——!!」


「ヴィナ」アルクは言った。「キラが、命がけで、お前を、救ったんだ。——その命を、無駄には、させない。お前は、生きろ」


「アルク……」


 アルクが、前に、出た。リフレインを、構えて。たった一人で、皇帝の、澱みの柱に、向き合う。

「全員で——アルクを、援護する!」ガドルが、叫んだ。


「ああ!」


二 ネッサの、新たな縁

 その時。

 眠るキラを見て——ネッサの、喚魂環が、強く、光った。


「喚魂環が——!?」ネッサが、言った。


『ネッサ』エニの声が、響いた。『お前の、縁が

——新しい力を、呼んでいる。キラの、献身を見て。仲間を想う、お前の心が——極限まで、高まっている』


「あたしの、縁が——」ネッサは言った。


『呼べ』エニが言った。『お前の中に、もう一つの、縁が、目覚めている。——コレンとは、違う、新しい絆を』


 ネッサが、喚魂環を、掲げた。


「あたしは——みんなを、守りたい!」ネッサは、叫んだ。「キラが、ヴィナさんを、守ったように! あたしも——!!」


 喚魂環から、今までにない、光が、溢れた。


 その光の中から——現れたのは。


 巨大な、青い、水の竜だった。鱗が、水晶のように、透き通り、体の周りを、清らかな水が、流れている。コレンの、灼熱とは、対極の——静謐な、癒しと、守りの存在。


「《水霊竜・アクオス》」ネッサの口から、自然に、名が、出た。「来て、くれたんだね……!」


『……ネッサ』水霊竜アクオスが、静かに、言った。穏やかな、女性の声。『お前の、清らかな心が、私を、呼んだ。——共に、皆を、守ろう』


「コレンが、炎の、攻めなら」ネッサは言った。「アクオスは——水の、守り! 二人で——みんなを、守れる!」


 白銀のコレンと、青い水竜アクオス。二体の召喚獣が、ネッサの、左右に、並んだ。


三 合体覚醒

 だが——皇帝の澱みの柱は、なお、膨れ上がっていた。

 コレンとアクオス、二体をもってしても——届かない。

「……まだ、足りない」ネッサは、唇を、噛んだ。

「皇帝の力が——強すぎる」


 その時。

 ルミが、アルクの肩から、飛び立った。アルファも。


「ネッサ!」ルミが、言った。「あたしたちと——力を、合わせよう!」


「ルミさん?」


『守り手と、召喚獣が——一つに、なるんや!』アルファが、叫んだ。『縁で、繋がってるからこそ、できる——合体や!!』

『私が、繋ぐ』エニが言った。『守り手と、召喚獣の、魂を。——縁の糸で。今、二つの力が、一つに、なる!』


 エニの縁の糸が、ルミと、アクオスを——アルファと、コレンを、繋いだ。


 光が、二対、弾けた。


 ルミの、回復と、空間の力が——アクオスの、水の力と、融合した。


「《守水竜・ルミナクオス》!」


 青と白の、光をまとった、水の竜。その鱗は、回復の光を、放ち、触れる味方を、癒しながら、守る。


 アルファの、付与と、増幅の力が——コレンの、炎の力と、融合した。


「《焔皇狐・アルコレン》!」


 橙と金の、炎をまとった、巨大な狐。その炎は、付与の力で、増幅され、触れる味方を、強化しながら、敵を、焼く。


「これが——守り手と、召喚獣の、合体……!」ネッサは、息を呑んだ。


『お前の、縁が、繋いだ力だ』エニが言った。『コレンと、アルファ。アクオスと、ルミ。——別々の存在が、縁で結ばれ、一つに、なった。これが——お前たちの、絆の、極致だ』


四 届かせる

「いくよ、みんな!」ネッサが、叫んだ。


 守水竜ルミナクオスが、清らかな水の奔流を

——皇帝の澱みの柱に、ぶつけた。澱みが、浄化され、押し戻されていく。


 焔皇狐アルコレンが、増幅された黄金の炎を

——澱みの柱を、焼いた。


 二体の、合体召喚獣の力が——皇帝の澱みを、初めて、押し返した。

「馬鹿な……!」皇帝が、呻いた。「私の澱みを

——押し返す、だと……!?」


「今です!アルクさん!!」ネッサが、叫んだ。

「あたしたちが、道を、開く! ——皇帝に、届かせて!」


「ああ!」アルクが、駆けた。


 ネッサの、合体召喚獣が、開いた道を。仲間たちの援護を、受けて。エニの縁の糸で、世界中の力を、借りて。


 アルクが、皇帝へ、肉薄した。


「《還元・刃》——全開!!」アルクが、リフレインに、全ての力を、込めた。


 澱みの柱の、中心へ。皇帝の、本体へ。


 アルクの刃が——届いた。


五 しかし

 だが。

 皇帝は——その刃を、片手で、掴んだ。

 素手で。リフレインの刃を、握りしめて。

「……惜しい」皇帝は言った。「あと、一歩だった。だが——お前は、まだ、完成していない。完成した賦活師なら——私の、澱みを、貫けただろう。だが、今のお前では——届かぬ」


 皇帝が、握ったリフレインを通じて——澱みを、アルクに、流し込んだ。


「——っ!!」アルクが、苦悶した。


「お前の、力は、認めよう」皇帝は言った。「縁の力も。仲間も。——だが、今は、まだ、足りぬ。——ならば、ここで、一度、死ぬがいい」


 皇帝の澱みが、アルクの、全身を、貫いた。


「アルク!!」全員が、叫んだ。


 アルクの体が——黒い澱みに、包まれ。


 その光が——消えた。


 アルクの姿が——澱みの中に、掻き消えた。


「——アルク?」ヴィナが、呆然と、呟いた。


 澱みが、晴れた。


 そこには——誰も、いなかった。


 アルクが、立っていた場所には——リフレインだけが、地に、落ちていた。


「……アルクさん?」ネッサが、言った。声が、震えていた。「アルクさん……? どこ……?」


 誰も、答えなかった。


 アルクが——消えた。


「アルク——!!」ヴィナが、絶叫した。「アルクうううっ!!」


「そんな——」リィナが、膝を、ついた。「アルクさんが——消えた……?」


 ガドルが、バルガが、カインが——立ち尽くした。


 ルミが、アルファが、エニが——アルクの、消えた場所を、見つめた。


「アルク……」ルミが、震える声で、言った。「うそ……アルク……?」


 戦場が——静まり返った。


 帝国軍も。縁の軍勢も。


 誰もが——賦活師の、消滅を、目撃した。


「……終わった」皇帝が、静かに言った。「賦活師は、消えた。完成には、至らなかった。

——残念だ。だが、これが、結果だ」


 絶望が、戦場を、覆った。

第九十七話予告

アルクが、消えた。戦場は静まり返り、ヴィナは地に落ちたリフレインを握りしめる。ネッサも、ガドルも、リィナも、守り手たちさえも、立ち尽くすしかない。「みんなで帰る」と、約束したはずだったのに――。

絶望が戦場を覆う、その時……

響いたのは、必死な叫び……

二百年揺らがなかった皇帝も、思わず本気で後ずさり。果たして戦場の運命やいかに――


感想、レビュー、ブクマ、評価、お待ちしています!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ