表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
底辺から始める、《与える》だけの無双伝 ~えぇ、与えていただけですよ?でも実は……知らないうちに守られていました!!♪!!?~  作者: わっぱるぅ
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
77/140

第七十六話 万象の泉

一 大陸の中心

 翌日、万象の泉に着いた。

 それは、想像を超える光景だった。

 大陸の中心に、巨大な、円形の泉があった。水が、虹色に輝いている。泉の周囲に、古代の石柱が、円を描いて立っていた。空気が、澄んでいる。ここだけ、別世界のようだった。


「……きれい」ネッサが、息を呑んだ。

「ここが、世界の魔力の源泉」ランスが言った。

「全ての地脈が、ここに集まる。——でも」

 ランスが、泉の中央を指した。

 虹色の泉の、中心。そこだけ、黒く、澱んでいた。墨を一滴垂らしたように、黒い澱みが、ゆっくりと広がっている。


「あの澱みが、大陸全体に、毒を回している」ランスは言った。「あれを浄化すれば——全ての地脈が、清まる」


「やろう」アルクは言った。

 アルクが、泉のほとりに立った。リフレインを抜く。

 目を閉じた。ルミ、アルファ、キラ、防御の守り手——全ての力を、束ねる。

「与える」


 白い光が、リフレインから、泉へ——大陸の中心へ、注がれた。


 今までで、一番、強い浄化の光だった。

 黒い澱みが、少しずつ、薄くなっていく。虹色の泉が、中心から、輝きを取り戻していく。

「効いてる……!!」ネッサが言った。

「あと、少し——!」ランスが、測定器を見た。「澱みが、消えていく——!」


二 浄化、完了

 数分の後。

 泉の中心の、黒い澱みが——完全に、消えた。

 万象の泉が、全体に、虹色の輝きを取り戻した。

 その輝きが、泉から、地脈を通って、大陸全体へ

——波のように、広がっていった。

「……七か所、全て、浄化完了」ランスが言った。声が、震えていた。「いや——これは、ただの完了じゃない。大陸全体の、澱みが——消えていく。賦活師の浄化の力が、世界を、本来の姿に戻している」


「ルミ、防御の守り手は」アルクは言った。


 ルミが、しばらく、沈黙した。それから——顔を上げた。声が、明るかった。

「……自由になった」ルミは言った。「侵食が、二割を切った。あの子——防御の守り手が、ほとんど、自由に動けるようになった。設置された封印石の力が、限界まで、削れた」

「やったか」ヴィナが言った。

「やった」アルクは言った。「全部の浄化を、終えた。封印石の効果を、ほとんど無力化した」


 全員に、安堵が、広がった。


「やりました……!!」ネッサが、飛び跳ねた。「全部、終わった!!」

「長い旅だった」ガドルが言った。「だが——やり遂げたな」

「封印石の脅威が、ほぼ消えた」リィナが言った。「これで——帝国の、儀式の準備も、意味をなさなくなる」

「ヴァルゴの、計画を——打ち破った」カインが言った。

 全員が、喜びに沸いた。

 勝った。

 長い旅の果てに、ついに——封印石の脅威を、乗り越えた。


俺たちの戦いはやっと終わったんだ。

みんなありがとう……


            完














 誰もが、そう思った。


三 静寂の、その後で

 だが。

 ルミだけが——喜んでいなかった。

 アルクの肩で、羽を逆立てて、周囲を、警戒していた。

「……おかしい」ルミは言った。「ヴァルゴが、来ない。最後の浄化を——本当に、邪魔してこなかった」

「ヴァルゴも、もう手がないんじゃないか」ガドルが言った。「封印石が、無力化されたんだ」

「ううん」ルミは言った。「違う。——何か、おかしい」


 その時。


 万象の泉の、虹色の水面が——揺れた。

 水面に、人影が、映った。

 白髪の、男。

 ヴァルゴだった。

 だが——本人は、いない。水面に、姿だけが、映っている。魔法の、遠隔通信。

『……よく、ここまで来た、賦活師』ヴァルゴの声が、泉から、響いた。穏やかで、冷たい声。


「ヴァルゴ……!!」ヴィナが、カトレアを構えた。


『警戒するな。私は、そこにはいない』ヴァルゴは言った。『ただ——お前たちに、見せたいものがあって、繋いだ。

「見せたいもの?」アルクは言った。

『お前たちは、七か所の浄化を成し遂げた。封印石を、無力化した。——見事だ。本当に、見事だ』ヴァルゴは言った。『だが——私は、最初から、封印石になど、頼っていない』


 アルクの、背筋が、冷たくなった。


『封印石は、囮だ』ヴァルゴは言った。『お前たちを、浄化の旅に、夢中にさせるための。——その間に、私は、本当の鍵を、お前たちの懐に、送り込んだ』

「……鍵」アルクは言った。

 全員が、息を呑んだ。

『お前たちの、仲間の中に』ヴァルゴは言った。『ずっと、鍵があった。お前たちが、信頼し、守り、共に飯を食った——その者の中に』


 全員の視線が、無意識に——ライナへ、向いた。


 ライナが、立ち尽くしていた。顔が、青ざめていた。

「……俺?」ライナは言った。「俺が——鍵?」

『気づかなかったか、ライナ』ヴァルゴの声が、笑った。『お前が、私のもとを離れたあの日。私は、お前の中に、“楔”を、打ち込んでおいた。お前自身も、気づかないほど、深くに』


「……何を、言っている」ライナの声が、震えた。


『お前が、賦活師に、心から心を許したとき』ヴァルゴは言った。『その瞬間に、楔は、発動する。——お前は、賦活師を消す、最後の儀式の、媒介になる』


「やめろ……!!」ライナが、叫んだ。


『もう、遅い』ヴァルゴは言った。『お前は、もう

——彼らに、心を許してしまった。おでんを食い、肉を食い、笑い合った。——その温もりが、引き金だ』


 ライナの体が——光り始めた。


 禍々しい、黒い光。ライナの意志とは、無関係に。

「ぐ……っ!!」ライナが、膝をついた。「体が——勝手に——!」


「ライナ!!」アルクが、駆け寄った。


『見るがいい、賦活師』ヴァルゴの声が、響いた。

『お前の優しさが——お前自身を、滅ぼす。お前が、ライナに心を開かせたから、楔は発動した。——お前が、ライナを、こうした』

 ライナの体から、黒い光が、溢れ出した。

 その光が——アルクに向かって、伸びた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ