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底辺から始める、《与える》だけの無双伝 ~えぇ、与えていただけですよ?でも実は……知らないうちに守られていました!!♪!!?~  作者: わっぱるぅ
第一章

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第四十五話 封印石の真実と、黒鉄の四将

一 カインへの疑問

 村の復旧作業を終えた夜、全員が宿に集まった。

 アルクは、ずっと気になっていたことを口にした。

「カイン」アルクは言った。「一つ聞いていいか。俺たちは王都、霧の回廊、ルーエと移動し続けているが——お父さんからの連絡は、毎回ちゃんと届いている。なぜだ」


 カインが、少し驚いた顔をした。「言っていなかったか。すまない」カインは、懐から小さな符を取り出した。「これが、父との連絡手段だ。《魔力通信符》という。父が研究院時代に自分で開発したものだ」


「魔力で追跡するのですね」リィナが目を輝かせた。

「そうだ。符は対になっていて、片方が書いた文字は、もう片方に自動的に転送される。しかも——受け取る側の位置を追跡して、どこにいても届く。父がいつも俺の場所を把握できているのは、この符のおかげだ」


「便利な道具だな」ガドルが言った。


「ただし、魔力をそれなりに消耗する」カインは言った。「だから父は必要時の連絡手段であって、頻回には使わない。」

「……申し訳ないな」アルクは言った。

「いや」カインは首を振った。「父が望んでしていることだ。父にとって、賦活師の研究は人生をかけたテーマだ。お前を支援することが——父の生きがいになっている」


二 封印石の恐ろしい真実

 翌朝、カインが父からの新しい通信を受け取った。

 その内容を聞いて、全員の顔が変わった。

「父が、封印石について、さらに深く調べてくれました」カインは言った。声が、低かった。「これまでの理解より——ずっと、深刻です」


「教えてくれ」アルクは言った。


「『封印石は壊せない。これが最初に伝えなければならないことだ。封印石の素材は、守り手の力の反転結晶——つまり、賦活師の守り手の力が当たると逆に強化される特性を持つ。物理攻撃でも魔法でも傷一つつかない。アルクたちには、絶対に壊せない』」


「……壊せない!?」ネッサが言った。


「続きがあります」カインは深呼吸した。「『さらに深刻なのは——封印石は、設置された瞬間から、賦活師の守り手の力を静かに侵食し始める。これは緩やかなプロセスだが、確実に進む。一つの封印石で、守り手の力が少しずつ削られていく。そして三つ全部が設置された瞬間——守り手の力はほぼ無効化された状態になり、そこで儀式が行われると、賦活師は消える』」


「……つまり」ヴィナが言った。「霧牙の森に設置された一つ目は——今も、アルクの守り手を侵食し続けているということか」


「そうだ」カインは言った。


 全員が、アルクを見た。

 アルクは、自分の体の奥を意識した。防御の守り手の気配。いつも静かに脈打っている。でも——今、初めて気づいた。その脈が、わずかに——乱れているような気がした。

「ルミ」アルクは言った。「感じてたか」

「……うん」ルミは言った。小鳥の姿で、翼を少し垂らしていた。「ずっと感じてた。でも、言うと心配させると思って」

「言ってくれ。これからは」

「……ごめん」ルミは言った。「あの子——防御の守り手——封印石一つで、すでに三割くらい削られてる。でも、残り七割で全力を出してる。だから今は大丈夫。でも——二つ目が設置されたら、もっと削られる」


「三つ目が設置されたら——」


「消えない保証が、なくなる」ルミははっきりと言った。


三 ルーエで見つかった石について

「でも」カインは続けた。「ここで一つ、いい情報がある。ルーエで見つかった石——バジリスクキングのそばにあったものだ。父の分析によると、あれは封印石の『容器』だった」


「容器?」


「封印石本体を、安全に運搬するための入れ物だ。容器に入っている間は、侵食が発生しない。——帝国は、ルーエへの設置直前だった。あの石はまだ、設置されていなかった」

「だから回収できた」ヴィナが言った。

「そうだ。設置された封印石は壊せない。でも——設置前の容器に入った状態なら、侵食は起きない。つまり、あれを帝国が設置できないようにすることは、俺たちにもできる」


「でも」バルガが言った。「帝国が奪いに来たら」

「それが問題だ」カインは言った。「あの容器を守り続けなければならない。帝国は必ず、取り戻しに来る」

「じゃあ——霧の回廊の施設の地下に、二つ目の石が残っている可能性がある」アルクは言った。「そちらも、まだ設置されていなければ——回収できるかもしれない」

「父も同じことを考えています」カインは言った。「でも、施設は再び警備が厚くなっているはずだ。それと——父が、もう一つ重要なことを書いています」


「なんだ」


「帝国が、本格的に動き始めた。《黒鉄の四将》と呼ばれる精鋭が、この作戦の指揮を執っているという情報が入った」


四 黒鉄の四将

「《黒鉄の四将》」リィナが繰り返した。「聞いたことがあります。帝国の最高戦力。四人それぞれが、Sランク冒険者に匹敵するか、それ以上の実力者だと」


「四人とも?」ネッサが言った。


「そうだ」カインは言った。「父が掴んだ情報によると——筆頭は《ヴァルゴ》。儀式の執行者で、封印の儀式について最も詳しい人物。帝国の思想の信奉者で、冷酷かつ知性的。二番手は《セラフ》。魔核師の長で、魔物の制御技術の権威。Sランク魔物でも制御できるのは、この人物が開発した魔核制御術のおかげだ」


「魔核制御術?」アルクは言った。


「魔物の脳にある『魔核』という器官に、特殊な水晶——制御水晶を埋め込む技術だ」カインは言った。

「これを埋め込まれた魔物は、どれだけ強くても、帝国の命令に完全に従う。霧鬼の長も、バジリスクキングも——全員、この技術で操られていた」


「それが、帝国がSランク魔物を従えられる理由か」ヴィナが言った。


「そうだ。ただし——制御水晶の埋め込み手術は非常に高度で、失敗すると魔物が暴走する。Sランクになると失敗率が高く、成功した個体は帝国の『傑作』として大切に温存されている」リィナが手帳に書きながら言った。「だからSランク魔物が何体も来ないわけだ。使い捨てにできない」


「三番手は?」アルクは言った。


「《ライナ》」カインは言った。「四将の中でも、特に謎の多い人物だ。剣と魔法の双方を極めた達人で、帝国でも最高位の実力者の一人。でも——父の情報によると、ライナは四将の中で唯一、帝国の方針に時々疑問を呈することがある、という話が漏れているらしい。詳しくはわからないが」


「疑問を?」ヴィナが言った。


「あくまで噂の域を出ない」カインは言った。「四番手は《ドルガ》。力押しの武人で、単純だが忠実。部下に慕われる将だ」


「この四人が、俺たちの相手か」アルクは言った。


「おそらく。ただし、最初から全員が動くとは思えない」カインは言った。「まず下の将から来て、俺たちを消耗させてから、上の将が動く——そういう作戦だと父は予測している」

「じゃあ、まずはドルガかセラフが来る可能性があるな」ガドルが言った。

「そうだと思う」

 アルクは、静かに頷いた。

「来たときに、戦う」アルクは言った。「それだけだ」

「それだけ、か」バルガが少し笑った。「相変わらず、シンプルだな」

「シンプルでいい」アルクは言った。「俺たちがやることは変わらない。仲間を守って、封印石を帝国に使わせない。それだけだ」

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