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ギャンブラーと13人のスート騎士団〜転生召喚士はトランプカードで異世界に【革命】を起こします〜  作者: Kazu―慶―
第1章:大富豪編

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第8話 魔物退治、承ります!

 ーー異世界の均衡を崩し、人々の平和を脅かす強欲の国『プレジデント王国』。その独裁政権を打ち倒すため、ポーキー、ニーナ、そしてこの俺、ジョーは革命の旅に出た。




 この国の領土は、城下町から半径約2キロ圏内までは瑞々しい若草色の草原地帯が広がり、その先には広大な農地や牧歌的な酪農地帯が続いている。そんな素朴な風景の真ん中に、黄金に固められた城が一日中ぎらついているのだから、悪趣味にも程がある。




「あの城だって、昔はあんなキンキラキンじゃなかっただ。静かで、住民も温厚で、ここで採れる野菜やミルクは絶品だったんだべ。それが……」




「あの王と王妃のせいで無茶苦茶になったってわけか。ふざけやがって」


「あの方たちは、民が汗水垂らして作った作物を、ただの金づるとしか思っていないのでしょうね」


 ポーキーから聞かされる内政の実態に、俺とニーナは呆れを通り越し、もはや哀れみすら覚えた。




 端的に言えば、この国はのどかな田舎町を無理やりラスベガスに作り替えようとしているような、無策極まる暴挙を続けているのだ。重税に喘ぎ、食い繋ぐのが精一杯の民を余所に、当の王様は知らん顔。


 やはりこの地獄を終わらせるには、俺たちが立ち上がるしかない。『勇敢』と言えば聞こえはいいが、実際は命懸けの博打だ。




「それで、どこから手を付ける?」


 俺たちと『スートの騎士団』の名声を上げるための第一歩を、ポーキーに問う。




「まずは住民の信頼を得ることだべ。戦争のせいで住処を追われた魔物たちが村の周辺に居着いちまって、作物を荒らしたり人を襲ったりと、手が付けられんのや」


「負の連鎖だな……」


 早速、戦争の弊害が牙を剥いていた。




 戦火で森を焼かれ、安住の地を失った魔物が食料を求めて人里へ下り、やがて人を喰らうようになる。そんな最悪のシナリオが容易に想像できた。




「その魔物ってのは、どんな奴らだ? ゴブリンの類か?」


「んにゃ、ゴブリンはもっと深い森におる。畑を荒らすのは、主に『オーク』だべ」


「オーク? ゴブリンとどう違うんだ」




「ゴブリンは子供みたいに小柄でガリガリだが、オークはその逆だ。大人以上の巨体で筋肉ムキムキ。その上、豚っ鼻に鋭い牙。おまけに肉は硬くて、料理しようにも食えたもんじゃねえ」


「食おうとすんな。そこは美食家でいてくれよ」




「とにかくオークは好戦的で、斧を持たせれば一匹で村を壊滅させる力を持っとる。村人じゃ太刀打ちできねえんだ。そこをオイラたちで叩くってわけだべさ」




「―――なら、今がその時なんじゃないですか? ご主人様……」




 辿り着いた小さな村の入り口で、ニーナが声を震わせた。


 彼女が指差す先では、オークの群れが村を蹂躙していた。




 畑の野菜を貪り食い、抵抗しようと鍬やスコップを手に取った村人たちは、無慈悲な斧の一撃に沈んでいく。オークたちは物言わぬ屍に牙を立て、捕食を始めていた。




「酷い……っ!!」


 ニーナが腰のレイピアを引き抜く。しかし、その脚は小刻みに震え、一歩が踏み出せない。




 切り札たる騎士が、己の未熟さゆえに戦いを躊躇っている。俺に無様な姿を見せたくないのか、それとも死への恐怖か。


 ならば『スートの騎士団』の召喚士として、俺が彼女に成すべきことは一つだ。




「【ダイヤ3――エレキ・シュート】!!」




 俺が掲げたカードから放たれた電撃の矢が、斧を振り下ろそうとしていたオークの心臓を貫いた。


 咄嗟の援護に驚くニーナへ、俺はさらに言葉を叩きつける。




「迷うな、ニーナ! 俺たちが付いている! 『勝利』のために――戦えッッ!!」




 主人の激励げきを受け、ニーナの瞳に鋭い決意の光が宿った。


 村へ突撃する彼女に続くように、俺とポーキーも加勢する。




 ポーキーは使い古した兵士の剣を振るい、巨体のオークを相手に立ち回る。見かけによらず、身のこなしは軽やかだ。


 ニーナも前回の戦いから学んだのか、油断なく一体ずつ確実に仕留めていく。だが、重量級の斧をレイピアで受けるたびに体勢を崩され、数に押され始めていた。




 俺は武器も持たない、口先だけの召喚士だ。カードがなければ、そこらの村人と変わらない。




(こうなったら一か八か、もう一人のスートの騎士を呼ぶか……!!)




 博打魂が俺の決断を後押しした。


 デッキの束から勢いよく一枚を引き抜き、第二の騎士を喚び出す!




 引き当てたカードは――【スペードの3】!!




『やっと、俺様の出番かよ!!』




 カードから野性味溢れる男の声が響いた刹那、眩い黄色の光柱が村を貫いた。


 まるで雲一つない空から雷が落ちる『青天の霹靂』。


 光の中から現れたのは、ギザギザ頭に黄色の鎧を纏い、荒々しい軍馬に跨った『騎馬騎士ソシアルナイト』だった。




「我が名は『スペード3の騎馬騎士・サンダー』! 今日もバリバリ突っ走るんで、ヨ・ロ・シ・クゥゥゥ!!」




 ………………こりゃまた、とんでもなく癖の強そうな奴が出てきやがったな!

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