第7話 いざいかん、【革命】の旅へ!
――金欲に溺れ、金メッキで覆われながらも中身の腐りきった『プレジデント王国』を救うために。
俺とニーナ、そして異世界で初の友となったポーキー・テイルスと共に、【革命】を引き起こすための世直しが始まった。
「では、どうやってあの強欲な王と王妃を懲らしめてやりましょうか、ご主人様? 今からでも私がレイピアで一振り……!」
鼻息荒く、ニーナが物騒な提案を持ちかけてくる。
「待て。いきなり王宮に突っ込んでいくほど俺は馬鹿じゃねぇ。第一、三人だけで何ができるんだよ」
「んだ。あの王をすぐにでもやっつけたい気持ちは分かるが、無謀ってもんだべ。それなりの準備が必要だ」
ニーナの短慮を一蹴する俺とポーキー。
「で、でもでも! 私も含めて、ご主人様には十二人のスートの騎士団がついているはずです! 皆で力を合わせれば……」
「俺はまだニーナしか召喚してねぇんだぞ? 今だって、お前一人を使いこなせてるか怪しいってのに、他の騎士まで出したら頭がパンクしちまうわ!」
「そ、そんなに言わなくたっていいでしょう!? え〜〜ん!!」
「ジョー、それは言い過ぎだべ」
「……おっと、悪い」
俺の叱咤に泣きべそをかくニーナ。少々手厳しかったが、これで少しは頭も冷えただろう。
……しかし、確かに今すぐ王に立ち向かうには、俺の『召喚士』としての力量が絶望的に足りない。
【スペードの2】であるニーナの他に、まだ十二人の騎士がカードの中に眠っているのだ。
召喚される騎士と、魔法や技を繰り出すトランプの組み合わせ。どのタイミングで何を切るのが最適解なのか。それを確かめるためにやるべきことは一つだ。
「こうしよう。一度この金メッキの城を離れて、俺たちは旅に出る。まずはこの国の領地を脅かしている問題を片付けて、俺たちの名声を上げるんだ」
「それは、どういうことですか? ご主人様」
「要するに、オイラたちの腕を磨きながら手柄を立てて、王に近づくチャンスを作るってことなんだな」
「流石ポーキー、話が早いな!」
俺の意図を即座に汲み取ったポーキーに、俺は思わず指を鳴らした。
そして、俺は改めてニーナに向き直る。召喚士としての、そして相棒としての意志を伝えるために。
「ニーナ。最初に召喚された時、俺に言ったことを覚えてるか?」
「……えっ?」
「『私の役目は、貴方の勝利の切り札となること』。そう言い切ったお前が、ゴブリン相手にボコボコにされてるようじゃ、宝の持ち腐れだろうが」
「うっ……。また私を馬鹿にするんですか?」
「…………ああ。恨んでたこともあったさ。【スペードの2】というカードそのものをな」
「っ!?」
「最後まで聞け、ニーナ。それは全部、俺の『前世』での話だ」
本当なら、墓場まで持っていくはずの話だった。だが、この腐った国を変えると決めた瞬間、何かが俺を突き動かした。冷静な博打打ちらしからぬ、熱い衝動が。
俺が死ぬ引き金となった『バカラ』のイカサマ勝負。そこで、これまでの運をすべて使い果たしたかのように引き当てたのが【スペードの2】だった。
死ぬ間際まで、俺はそのカードを呪い続けていた。だが、生まれ変わり、再びトランプと運命を共にすることになって、俺の考えは変わった。
「俺はギャンブラーだ。今も昔もな。『召喚士』なんて肩書きがつこうが、博打に狂った血は変わらねぇ。勝つも負けるも、手にした札を活かすも殺すも、俺の実力と運次第。前世では頭で分かっていただけのことが、今なら魂で理解できる」
「……………………」
ニーナは無言で、俺の言葉を噛み締めるように聞き入っている。
「俺にとって【スペードの2】は、死に札でも最弱のカードでもねぇ。……俺に『未来』を掴ませてくれたカードだ」
俺はニーナの目を真っ直ぐに見据え、宣言する。
「ニーナ、お前を弱いなんて二度と言わせねぇ。絶対に【勝利の切り札】に仕上げてやる。革命を起こすために、二度目の命を懸けて精一杯、頑張る……ッ!」
その時、ニーナの目頭が熱く潤むのを俺は見逃さなかった。
ポーキーもまた、深く、力強く頷いてくれた。
ニーナだけじゃない。他の十二人の騎士も、完璧に指揮する最高の召喚士になってやる。
――五十四枚のトランプすべてを、俺はこの手で使いこなしてみせる。
♢
偽りの黄金城を囲む空に、真の太陽が昇る。
金欠だった俺たちは、ポーキーがなけなしの給与を割いてくれたおかげで、ようやく宿で英気を養うことができた。本当の意味での、ゼロからのスタートだ。
スペードの女騎士、食いしん坊の兵士、そしてトランプを掲げたギャンブラー。
城下町の門を抜けると、目の前にはどこまでも続く若草色の草原が広がっていた。
待ってろよ、『大富豪』。
次にこの城へ帰る時は、その金メッキをすべて剥ぎ取ってやる。
お前を『大貧民』に叩き落とすのは……俺たちだ!
「ニーナ!」
「はいっ!」
「ポーキー!」
「あいな〜!」
「行くぞーーッッ!!」
本作、如何だったでしょうか!
次は『第16話 いつでも、私は貴方の側に』までお読みいただけると、更に面白い展開が待っています!!
続きが気になった方は、作品のブックマークを。
読んでみて面白いと思ったなら、『★★★★★』の評価やレビューをいただけると、今後の励みになります!




