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ギャンブラーと13人のスート騎士団〜転生召喚士はトランプカードで異世界に【革命】を起こします〜  作者: Kazu―慶―
第1章:大富豪編

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第53話 欺き、欺かれ、決闘の衝撃!

 ――『前門の虎、後門の狼』。


 一つの災いを逃れても、すぐに別の災厄が立ち塞がる。今の俺は、まさにその袋小路にいた。




 ジンとラミィの協力を得て、クロンダイクの悪行を暴いたまでは良かった。だが、周囲を囲むのは殺意に満ちた戦闘盗賊集団と、無機質な魔導兵器の銃口だ。下手な動きをすれば、一瞬で塵にされるだろう。




「…………」


「どうした? その物騒な機械で、俺を細切れにするんじゃなかったのか?」




 筋書き通りなら、クロンダイクは真っ先に魔導兵器『デッドエンド』で俺を始末するはずだ。だが、この男は慎重だった。指一つ動かさず、俺を射抜くような視線で問いかける。




「……テメェ、何者だ? 騎士の援護もなしに丸腰で乗り込んでくるとは。何を企んでいる」


「さあな。それを見抜く知恵があるかどうか、お前のオツムに任せるぜ。それとも、ハッタリすら見抜けないほど焼きが回ったか?」




 俺はポーカーフェイスを貫き、クロンダイクを煽る。血の気の多い奴なら、これで冷静さを失うはずだが……。




「……フン、バカはテメェだ。召喚士に従う騎士どもが、既にアジト内に潜んでいることくらいお見通しなんだよ」




(……チッ、流石に頭領を張っているだけはあるか)


 この男、想像以上に切れる。




「ここは俺様の縄張りだ。テメェは俺様の言う通りに動けばいい。さもなくば……」


「特急券付きであの世行き、だろ? それで、頭領様は何がお望みなんだ?」




「簡単な話だ。俺様はテメェが従えている騎士に用がある。王国の脅威は早いうちに摘み取っておかねばならんからな。――さあ、早く騎士を呼べ。そして俺様と戦え!」




「気が合うな、クロンダイク。俺もお前と同じことを考えてた。早いうちに、お前を叩き潰しておくのが利口だってな!」




 俺はカードデッキから、『スペード2』『スペード7』『スペード8』の3枚を抜き放った。




「ニーナ! シチリア先生! ハチマル殿! こいつらを成敗してやれ!」




 刹那、アジトの四方から三人の騎士が躍り出た。


「待ってたぜ、ニーナ! こいつらをボコボコのグチャグチャにしてやれー!」


 歓喜の声を上げるラミィと、対照的に無言で武器を構えるジン。仲間の想いを背負い、スート騎士たちが地を蹴る。




「怯むな、全員掛かれッ!」


 行動隊長のページワンが怒号を飛ばす。




 ジンとラミィを拘束する数名を除き、残りのシャッテンたちが一斉に襲いかかった。ニーナのレイピアが閃き、シチリアのナイフが舞い、ハチマルの長刀が空を裂く。


 戦闘のプロを相手に互角以上の立ち回りを見せる三人。だが、彼女たちの背後では、不気味な魔導兵器がその銃口を赤く光らせていた。




「馬鹿め、自慢の魔導兵器を忘れたか! ロックオンだ、デッドエンド!!」




 クロンダイクが手元の端末を操作する。レーダーアイが非情にも三人の姿を捉えた。




「はっ、まずい! みんな逃げろ――!」


「遅い! レーザー照射!!」




 ボタンが押し込まれた瞬間。


 デッドエンドから放たれた白光の熱線が、三人の騎士の胴体を無残に貫通した。




「―――ッ!!!」


 光に焼かれ、崩れ落ちるニーナの姿。それを目の当たりにしたラミィが絶叫した。




「いやあああああああ!!! ニーナああああああああ!!!」


 絶望に狂乱するラミィを、ジンとシャッテンたちが必死に取り押さえる。……その時だった。




『ラミィ、泣かないで。私ならここよ』


「――え?」


 自分を背後から羽交い締めにしているシャッテンの口から、聞き覚えのある凛とした声が響いた。


 恐る恐る仮面の奥の瞳を覗き込んだラミィの顔に、衝撃が走る。




「ハハハハハ! 見たか、デッドエンドの威力を! テメェの騎士なんざ、紙屑も同然だ!」


 一方で、勝利を確信したクロンダイクが勝ち誇った声を上げる。




「――紙屑? そりゃそうだろ。紙切れ相手に全力でレーザーを撃ち込むバカがどこにいる?」


「…………何だと?」




 クロンダイクが眉をひそめる。


 改めて、デッドエンドが仕留めたはずの「骸」を確認すると――そこには、人間どころか肉片一つ落ちていなかった。転がっていたのは、焦げ付いた三枚の大きな「トランプ」だ。




「これは…………偽物!?」




「気に入ってくれたか? 俺のトランプ手品。お前らと鉢合わせる前に仕込んでおいた『身代わり人形』だ」




 俺が指先で弄んだのは【ハート7】のカード。


 物質を対象に、スート騎士の姿と能力を一時的に写し取る身代わり魔法『サクリファイス』。先ほど俺が「抜き放った」のは、この魔法を発動させるための合図に過ぎない。




「クソがっ! 本物はどこだ!? さもなきゃテメェの首を今すぐ――」




 ――キィンッ!!




 鋭い金属音と共に、クロンダイクが持っていたリモコンが弾き飛ばされた。




「そんなこと、私たちがさせません!」




 レイピアを突き出したのは、先ほどまでラミィを拘束していたはずのシャッテンだ。




「だ、誰だ貴様……!!」




 狼狽える盗賊たちの前で、黒装束が鮮やかに翻る。現れたのは、紅蓮の鎧と黄金のツインテール。




「私は――スート騎士団スペード2、女剣士ニーナ!」




 真打ちの登場に、アジトの空気が一変した。


 ラミィはニーナに抱きついて嬉し泣きし、ジンを囲んでいた他のシャッテン二人もその正体を現す。




「同じく、スペード7の舞踊騎士・シチリア!」


「スペード8の剣豪騎士・ハチマル、推参!」




 三人は、ジンたちがアジトへ向かう前から既に潜入していたのだ。


 姿を変える魔法【クローバー7―イリュージョン―】で敵の構成員に化け、逆転の機会をじっと待っていた。




 俺は混乱に乗じてニーナたちの側へ飛び込み、不敵に笑う。




「化かし合いは、俺たちの勝ちだな。クロンダイク!」




 後はシャッテンと、デッドエンドを倒して、クロンダイクに降伏させるのみ。




(ククククク……!!)




 しかしクロンダイクは、俺たちに鋭い目を向けながら、不気味に笑みを浮かべるのだった。



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