↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ギャンブラーと13人のスート騎士団〜転生召喚士はトランプカードで異世界に【革命】を起こします〜  作者: Kazu―慶―
第1章:大富豪編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
4/56

第3話 我ら、スートの騎士団

『―――そこからは、我らが説明せねばなるまい』




 ……ん? どこからか、地を這うような威厳のある男の声が響いた。ニーナはその声を聞いた瞬間、弾かれたようにその場に跪いた。




「お、お師匠様! この場に喚び出すにはまだ御力が……」


『我らのいる空間まで主を送る力は残っている。ニーナ、我が主に思念を送ってあげなさい』




「はい……仰せのままに。では失礼します、御主人様」


 ニーナは人差し指を、俺の額にそっと触れさせる。




 ―――ヴンッ!




「!!?」




 視界が歪み、鬱蒼とした森の風景が一瞬にして消失した。次に目を開けた時、俺は白亜の石材で組まれた高貴な宮殿の中に立っていた。




 視線の先、一段高い玉座には威厳に満ちた王と女王。その傍らには、抜き身の刀気を放つ老練な戦士。そして中央には、赤・白・黒の三色で彩られた重厚な鎧を纏う騎士が、泰然と立っていた。




「な、何なんだここは? お前ら、一体誰だ!?」




『私は、お前が博徒の時に使っていたカードの化身。【スペードのA(エース)】と呼ばれている者だ』


 ほう。中央の騎士が『エース』ならば、さしずめ王が『K(キング)』、女王が『Q(クイーン)』、戦士は『J(ジャック)』というわけか。




「いや待て、騎士は13人居るって話だったろ。他の奴らはどこにいるんだ?」


「ちょっ、御主人様! 無礼ですよ!!」


 平民の俺には分不相応な態度だとでも言うのか、ニーナが慌てて俺を制止した。




『構わぬ。我らを呼び覚まし、契約を結びし主の前だ。堅苦しい礼儀は抜きにしよう。ならばお望み通り、主の盾となり矛となる我が騎士たちを紹介しよう。―――全隊、集えッ!!』




 ガシャーーーン!!




「な、何だ!?」




 横のステンドグラスを突き破り、白銀の騎馬に跨った騎士が俺たちの前に躍り出た。


 それを合図に、次々と異形の騎士たちが集結する。




 天馬(ペガサス)を駆る女騎士。


 玉座の奥から地響きを立てて現れた、巨躯を誇る重装騎士。


 豊かな胸元を強調した修道女(シスター)の風貌で、魔力の籠もった杖を携える女騎士。


 アクロバティックな動きで天井から舞い降りた軽装の騎士。


 洋風の宮殿に異彩を放つ、和の袴を纏った凛々しい女剣士。


 影の中から滲み出るように現れた、漆黒の装甲を纏う暗黒騎士。




 そして最後は……子供か? いや、遠目からでも肌を刺すような覇気を放つ少女騎士。




 ニーナを含めた13人の騎士。彼女たちは一列に並び、同胞たちと剣を重ね合わせる。その中心で、Aが力強く名乗りを上げた。




『我ら13人で、【スートの騎士団】! スペードの名を胸に、我が主の切り札となるべく剣を掲げし、トランプ召喚騎士であるッッ!!』




 ……こりゃ改めて驚いた。前世で金儲けの道具に過ぎなかったトランプに、これほど誇り高き騎士たちが宿っていたとは。




「……それで、お前たちを召喚して、ここで何をすれば良いんだ? 魔王でも倒せってか?」




『主の使命は、歩む道の中で自ずと理解するだろう。まずはそこのニーナを筆頭に、我ら騎士を従え、その魂を研鑽せねばならぬ』


「研鑽……要は、召喚士としてのレベル上げってことか」




『如何にも。今の主の器では、J、Q、K、そして我らAのカードを完全に顕現させることは叶わぬ。上位の騎士を呼び出すには、相応の精神力を消耗するからな』




 つまり、俺がレベルアップしない限りは、Aを含めた絵札の面々は召喚できないということか。手持ちの札をどう切るか、常に考えなきゃならないわけだ。




『我が主の前に再び現れるのは、一人前の召喚士になった時だ。我が仲間と共に、成長する姿を楽しみにしているぞ』


「……なぁ、A。あんたの名前だけでも教えてくれねぇか……?」




『それも、我を喚ぶことができた時に教えよう。【13の切り札】を操り、博徒の魂を燃やして、全てのカードを使いこなすのだ! ―――この世に【革命】を起こしてみよ、ジョー・カーティス!!』




「―――ッッ!!」


 Aの号砲が魂の底まで鳴り響いた瞬間、意識は王宮から現実の森へと引き戻された。




「……あ、そうだ! ニーナ、お前怪我してるじゃないか。手当てしないと」


「だ、大丈夫です! これぐらいの怪我、御主人様を護るためなら……!」




 見え透いた痩せ我慢だ。先程の戦いでの不甲斐なさに責任を感じているのだろう。根は真面目なようだが、自己犠牲が過ぎるといつか身を滅ぼすぞ。




 RPGなら薬草やポーションがありそうなものだが、あいにく手元にはトランプしかない。


 ……いや待てよ。スペードの2でニーナが召喚され、ダイヤの2で攻撃魔法が発動した。ということは、スートごとに役割が決まっているんじゃないか?




 俺は直感に従い、【ハートの2】を取り出し、ニーナに向けて発動させた。




『【ハート2 ―ヒーリング・チャージ―】!!』




 無機質な音声と共に、カードから溢れ出した柔らかな光がニーナの身体に吸い込まれていく。




「身体の痛みが消えていく……!」


 さっきまでの痣や切り傷が、嘘のように消えていき、数秒もしないうちに元の綺麗な肌に戻っていった。




「私、ふっかーつ! ありがとうございます、御主人様!」


「気にするな。……それにしても、やっぱりスートごとに役割があるんだな」




「はい! 詳しくは分かりませんが、基本の仕組みなら教えられますよ!」




 それを早く言ってくれ。俺は早速、ニーナからカードのレクチャーを受けることにした。召喚士が召喚騎士にチュートリアルを受けるというのも、妙な話だが。




 ♢




 ニーナの説明をまとめると、スートの役割は以下の通りだった。




『スペード』:騎士を現世に繋ぎ止める【召喚】。


『ダイヤ』:召喚した騎士の武器に魔力を宿す【攻撃魔法・技】。


『ハート』:騎士の傷を癒やし活力を与える【回復・補助魔法】。


『クローバー』:戦況を覆す【武器変形や特殊能力】。




 2から10の数字はそれぞれの効果の強弱を表し、A、J、Q、Kの絵札は、俺自身の経験値が必要な上級カード。




「じゃあ、この2枚の【ジョーカー】は?」


「あわわわっ、それは気軽に使っちゃダメです!!」




 俺がジョーカーを取り出そうとすると、ニーナが血相を変えて制止してきた。




「ジョーカーは、いわば『諸刃の剣』なんです。絵札よりも強力な力を発揮しますが、使うと御主人様の命に関わるほどの反動があるって言われていて……!」




 なるほど、ギャンブルと同じで、使いどころを間違えれば破滅を招くというわけか。




 ――女神が言っていた『世界に革命を起こす者』。その目的を果たすには、彼女たちの力が必要不可欠なのだろう。


『革命』が何を指すのかはまだ分からない。だが、せっかく掴んだ二度目のチャンスだ。騎士団の名を汚さぬよう、このカードを全力で使いこなしてやろうじゃないか。




 ―――ギャンブラーは、諦めが悪いんでね。




「よし、それじゃ気合い入れて頑張るか! これからもよろしく頼むぜ、ニーナ!」


「……はいっ!」




 俺はニーナの手を取り、力強く握手を交わした。異世界の夕陽が沈み、夜の帳が下りようとしている。俺たちは急ぎ足で、ゴブリンの潜む森を後にした。




「……ところで、やっぱり騎士団の中じゃ、ニーナが一番下っ端なのか?」


「だからっ! 私は弱くないんだってばー!!」

小説を読んで『面白かったぁ!』と思った皆様、是非とも『★★★★★』の評価、「ブックマーク追加」や感想・レビュー等を付けて、応援してください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。