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ギャンブラーと13人のスート騎士団〜転生召喚士はトランプカードで異世界に【革命】を起こします〜  作者: Kazu―慶―
第1章:大富豪編

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第23話 狙われたトランプカード

 ――ポーキーから聞いた話によると、ホイスト港の船の入出港は、数ヶ月前から途絶えていた。




 プレジデント王国が他国に戦争を仕掛けてきたことにより、大陸からの流通が途絶え、名産物の輸送もストップ。港町は完全閉鎖されていたそうだ。


 そこに目を付けたジンとラミィ率いる【ダウトの使者】により、活気が失われ、ガラ空きになった港町を占領したのだ。




 ――清き海の青と、風薫る港の町々は、盗賊どもの『黒』によって鈍く濁っていた。




「……う〜わぁ……」




 俺は生まれつきポーカーフェイスで通っている男だが、そんな俺でも顔を顰める程に廃れ果てた港町の様子に、絶句した。




 ジンとラミィは、自分たちに人望があることを示すように、同じく白黒の軽装に身を包んだ盗賊を数百人従えていた。奴らは港町の市場や広場を宴会場にして、昼間だというのにどんちゃん騒ぎを繰り広げている。




 波止場には大きな船が一隻停まっていたが、おそらく盗賊が強奪して、他大陸から奪った品でも運ぶのに使っているのだろう。




 現在の状況で懸念すべきは、ニーナやポーキーを巻き込まずにどうやってこの場を切り抜けるかだ。俺は口火を切った。




「……ポーキー」


「んぁ?」


「……悪いんだけど、ここの港、ラム酒の匂いがすげぇんだ。何かつまみとか作れるか?」




「んだな……ラム酒なら、ブルーチーズと良く合うだ。クラッカーとか、旅路で採れたハチミツも付けとくか?」


「クラッカーもハチミツもたっぷりだ。……出来れば、そこの兄ちゃんと姉ちゃんの分もな」


「勿論だ。……後は、頼んだべ」




 ポーキーは俺の提案の裏にある意図を察し、小さく頷いた。

 俺に耳打ちで幸運を祈ると、彼は疲弊したアンドロスの横、門の近くでリュックを下ろした。周囲を囲む盗賊たちの目を逸らすように、手際よくつまみの準備を始める。この場に残されたのは、俺とニーナ。対してジンとラミィのツーペア。




「……そこまで警戒しなくても。あの兵士は、私たちの獲物ではありませんから」

「そりゃどうも。で、次は俺たち『を』調理する番かな?」


 不敵な笑みを浮かべ、煽るような冗談を叩きつける俺。そうでもしないことには、アイツらの殺気が凄すぎて直視できない。アンドロスなど比ではないほどの圧だった。




「とんでもない。わたしは貴方たちを傷付けるつもりは御座いません。我々『ダウトの使者』が貴方たちを招き入れたのは他でもない。―――取引のためです」



「……取引?」

「ええ。あなたの懐に隠したカードの束……そこから騎士を呼び出すという、召喚士の中でも類稀なる力の持ち主だ。我々はその力を是非『ダウトの使者』のために活用したい」


 要するに、『スカウト』か。盗賊らしく強引に奪い取るんじゃなくて、俺そのものを手中に収めるための口実か。おそらく、奪ったところでアイツらに俺のカードを使いこなせないと理解したんだろう。




「悪いが、略奪の手伝いをさせるつもりならやめておきな。騎士道に反するぜ」

「それは我々の手で足りている。我々が一番求めているのは、この領域における『反逆』の力だ」




「…………『プレジデント王国』か?」




「そうです。わたしとて、あの愚なる王が憎い。故に我々は、君の力が欲しい……!」




 ――俺たちの他に、王国に反旗を翻す者がいた。


 噂から聞く限り、レジスタンス同盟を組む事もあり得なくないと俺は思っていた。それが『ダウトの使者』だったとは。




「本来、我々はプレジデント王国の領地で暮らしていた一般人だ。だが王の愚行による重税で生活はままならず、こうして同胞と組み、盗賊として略奪を繰り返して生き延びるしかなかった」




「あたいも、兄者が居なかったら、今頃どうなっていたか……!」


「ラミィさんとジンさんは、兄妹だったのですね」


 ニーナの問いに、ラミィは俯きながら軽く頷いた。そしてジンも、俺の肩を掴みながら、切実に訴えた。




「頼む、召喚士。わたしたちと手を組まないか? 盗賊の身ではあるが、善人の金品には手を出さない義賊を貫いてきた。だが、もう限界だ。王を止めなくては、いずれ罪のない人々の財産にまで手を付けねばならなくなる……!」




 義賊の矜持を汚す一歩手前まで、ジンとラミィの精神は追い詰められていた。

 既に俺とニーナの周囲、四方八方の市場や広場からは、潜伏していた者たちが銃口を向けている。

 ……だが、ジンの言い分には筋が通っていた。


 なぜなら、二人の懐にあるバタフライナイフや毒矢には、血の匂いも痕跡もない。今日まで不殺を貫いてきた証拠だ。




 何の罪もない住民が、不条理な世のせいで、不本意ながら罪人に身を落とそうとしている。そんな奴らを見捨てるほど、俺の眼は腐っていない。




「……ジン。こうも四方八方から銃口を向けられちゃ、マトモに話もできない。ここは俺とお前だけで、真剣に話し合ってみないか? 逃げも隠れもしない」



「良いでしょう。但し……!」




「きゃあっ!?」


 沈黙を破って突如ラミィが、ニーナの喉元にバタフライナイフの刃先を向けて、首を握りしめながら人質に取る。




「この娘はあたいが預かるよ! 逃げ出したりしないよう、たっぷり可愛がってやるからさ!!」



「ラミィさ……ん、やめて……ッ!」




「乱暴に扱うな、ラミィ。あくまでも交渉材料の為の人質だ」


「分かってるよ、兄者。さぁ来な!」


 ニーナはラミィに拉致される形で、港の倉庫へと連れ去られた。




 そしてこの場に残されたのは、俺と、ジンと、俺を囲むならず者たちだけだ。






「…………さぁ、交渉を始めましょうか?」





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