EP.1 着任初日
始めて小説を書くので稚拙な文章だと思いますがよろしくお願いします
装脚重機、通称「ワーカー」。
高い汎用性から急速に普及した産業用大型ロボットの総称である。
2014年に開発されたそれは、すぐさま建設現場、災害現場、物流へと投入され、やがて社会のあらゆる場所で当たり前のものになっていった。
しかしその利便性は同時に、新たな社会問題を生み出すことになる。
違法改造、無免許操縦、犯罪利用。
それらへの対応を迫られた警察は、警視庁に対処部隊の設立を決定した。
警視庁は、令和2年12月、装脚重機に対処するための各種資機材を運用する「装脚重機対処部隊」を編成した。都市部などにおいて装脚重機による破壊活動等が起こった場合にはこれを制圧し、周囲の安全を確保することとしている。 - 令和3年版警察白書より
◇
「さて。ここ臨海副都心では、都内で活動する届け出済み装脚重機の30%、およそ4800機もの装脚重機が活動していることになっている」
無駄に広い会議室の一角。
警視庁機動隊装脚重機対処部隊に2028年度4月1日付で異動してきた若手警察官である堀河 翔巡査は、5分前にこの外から見たら倉庫にしか見えない隊舎に到着したばかりというのに、「顔合わせ」と称した部隊のブリーフィングに放り込まれていた。
ホワイトボードの前で話しているのは、この部隊の隊長、白石 圭一だ。
「しかし、実際に運用が確認されている数はおよそ5000機だ。つまり200機近くの装脚重機が無届けで活動していることになる。こんな例は都内じゃまぁ珍しい話じゃなくてな。東京で活動する装脚重機、約1万7500機のうちだいたい1500機は無届機、言うなれば”野良ワーカー”だ」
白石は割と軽い口調で話しているのだが、どう考えても重大であり軽く話していい話ではない。
ただ誰も違和感を持っている様子がないのでこの人はそんな人なのだろう、と堀河が考えていると、やっと彼にも関係のありそうな話が始まった。
「無届け機には違法改造機も多い。そんなのがこうも増えちゃ何が起こるか分かったもんじゃない訳だ。だからうちも増員を開始している。今日来た新入りはその一人目ってとこだな。あ、そうだ。このタイミングで自己紹介しちゃおうか」
その言葉に、室内の全員の視線が堀河に集まる。
「本日付けで配属になりました、堀河 翔巡査です。よろしくお願いします」
彼がなんとも無難な自己紹介を終える前に、白石が被せてきた。
「堀河は大学時代、ロボット工学専攻だったそうだ。だから第一小隊の支援班で分析を担当してもらう。いいな?」
第一小隊の隊員らしい3人がうなずく。
堀河がもらっていた事前資料には20人と書かれていたのでどうやらこのブリーフィングに参加しているのは一部のみのようだ。
「第一小隊は後で彼に自己紹介をしておいてくれ。で、話を戻そう。さっきの無届け機の話だが......」
白石が言い終わる前に天井のスピーカーからけたたましい警報音が響いた。
『中型の装脚重機一機による器物損壊事案の通報。場所は有明三丁目。装脚重機対処部隊は直ちに出動せよ。繰り返す、装脚重機対処部隊は直ちに出動せよ』
すぐさま隊員たちが椅子を倒しそうな勢いで立ち上がる。
「相手は一機だ。第一小隊は直ちに出動!残りは即応待機だ!急げ!」
隊員たちが部屋を出る前に白石が指示を飛ばす。そして、それが終わると堀河の方を向いた。
「堀河、お前は一号車で分析を担当しろ」
「は、はい!」
堀河は半ば反射的に答えると、先に部屋を出て行った隊員たちの後について隊舎の正面の駐車場に出る。
隊舎の一番近くに停められていた、前面に”装.1”と書かれ青地に白ラインが入った大型車両。正式名称を『装脚重機対策警備車Ⅰ型』とするその車両に彼が乗り込むと、既にエンジンがかかっており10人ほどの隊員がシステムチェックや装備の準備を行っていた。
「分析員の席はそこだから早く座った方がいいよ。この運転手、結構運転荒いから」
声をかけてきたのはさっきのブリーフィングにもいた同年代に見える女性隊員だった。
「あ、はい!」
堀河は言われるがまま、車内の右前方にあるコンソールが設けられた席に座りシートベルトを締める。
「一号車、出動する!現着まで6分!」
運転席からそう聞こえたのと同時に車が走り出す。
なんだか妙にスピードが出ているし車体の大きさの割に揺れが大きいのだが、堀河は気にしたら負けだと悟り気にしないことにして目の前のコンソールを立ち上げる。
なぜかコンソールのユーザーインターフェースが普通のパソコンとほぼ同じだった。
妙な安心感を覚えながら、堀河は日付と時間のタイトルがついた共有フォルダの中身を開いて確認していく。
すると、すぐ近くに座っていた先ほどの女性隊員が話しかけてきた。
「堀河君、だったっけ?私は倉橋 有希。よろしくね」
「あ、よろしくお願いします」
「早速だけど、何か分かった?」
会話に無駄がない。いきなり本題に入ってくる。
「まだ粗い映像ばかりなので断定はできないんですが、2年前の第三世代有頭部共通フレームを利用した中型機だと思います。他の共通フレームと同じくこのフレームはあまり普及していなくて、使ってるのはコジマと大日本重工だけなので機種は3種類まで絞れます」
そこまで一気に言ってから、堀河はつい早口になってしまったことに気付いた。
彼がそれを軽く後悔していると、後ろから質問が飛んできた。
「で、その機体には弱点とかあるのか?」
聞いてきたのはこちらもブリーフィングにいた少し年上くらいの無愛想な男性隊員だった。
堀河は前に読んだ資料を思い出して答える。
「えっと......確か第三世代共通フレームは膝の関節が外的要因で止まりやすいという欠陥があります。なので恐らく関節に何かを入れればすぐに動きは止まるはずです」
「わかった」
それだけ言うとその男性隊員は車内に備え付けられていたロッカーを開いて何かのランチャーの様な物を取り出し調整を始めた。
(しまった、名前を聞くのを忘れた)
堀河がそう思って話しかけようとした瞬間、車両が急停止し体が前につんのめった。
「到着した!」
運転席の隊員が大声を上げると、隊員たちは車両後部の扉を開いて次々と降りていった。
この車にはキャビン以外に窓がない。
そのため堀河は一瞬自分も降りようと思ったが、コンソールのインターフェースにビデオカメラの表示があったことを思い出してそのアイコンをクリックする。
フリー効果音素材のサイトで聞いた覚えのある軽快な音と共にウィンドウが立ち上がり、車両の屋根に取り付けられたカメラによって撮影された現場の様子が映し出された。
つづく
専門家でも何でもないので技術的な話とか警察の話は突っ込みどころ満載だと思います
ジャンルってアクションで合ってるのかなぁ…




