大罪の契約
「簡単に言えばお前は生死の狭間を彷徨ってる」
「いやそれだけじゃ分かんねぇよ」
生死の狭間を彷徨ってる?てかここどこだし、俺が今こうしている間も灯火は1人で頑張ってるのか?生死の狭間ってことはまだ死んでは無いんだよな?ならまだ希望あるじゃん!ラッキー♪
「まぁこのままじゃ確実に死ぬだろうな」
「ダメじゃん!全然ラッキーじゃ無いじゃん!」
「このままじゃ、だぞ?ちゃんと人の話を聞け」
「このままじゃ…んなら俺が何かすれば生き返れるのか?いや厳密に言えば死んではないんだろうけど」
暴食は出会った時の様な狂気の笑顔を浮かべ蓮兎に提案を持ち掛ける。その提案を受ければ後戻りはできず生涯人間に戻ることは不可能だろう。
「俺と完全な契約を結んで悪魔になれ、人には戻らないがそれ相応の力が──」
「よし分かった。早く契約しよう」
「…は?少しは迷えよ、人に戻れなくなるんだぞ?完全に悪魔になるんだぞ?力が慣れるまでは魔人だけど」
「それがどうした?仲間が必死に戦ってるんだから関係無いだろ」
今の蓮兎にとって自分の安全など二の次だ。ただ仲間の為に少しでも役に立てる方を選ぶ、既に自分のせいで2人が寄生され死に絶えているのだからもう犠牲は増やさない。これが今の蓮兎の答えだ、何度質問を返しても同じ答えが戻ってくると断言しよう。
「はぁ…分かった分かった。じゃあ契約な?契約に伴って色々強化があるけど説明は──」
「要らん、早く契約して戦線に復帰する」
「だろうな、なら手だせ」
スッ
言われた通りに手を差し出す。そうすると暴食は一度舌舐めずりをした後に自分の手首を切り裂きその後に蓮兎のも切り裂く。少し顔を顰める蓮兎など気にせず傷口を擦り合わせ血と血を混ぜ合わせ、詠唱する。
「これは汝と我を結ぶ契約 生涯終わる事無き永続の印 ここに誓おう 我は汝の為に 汝は我の為に 大罪の契約」
黒と赤の眩い光が放たれたと思えばそれは双方の手首の切り傷に消え同時に切り裂かれたはずの傷は癒えていた。体に異変は無く、強いて言えば手の甲に牙とベロが記された紋様が浮かび出ている事だけだ。
「何だこれ」
「暴食の証…だったかな?これをするのは初めてだから忘れた。確か契約の証拠とか眷属の証とか…まぁ簡単に言えば魔力でできたタトゥーだな」
「げっ、人生初のタトゥーがこれかよ…まぁデザインは悪く無いが」
あっとこんな会話をしてる場合じゃ無かったな、でもどうやって現世に戻るんだ?ここがどこかとかの疑問もあるがそれは後回しで良いだろう。兎に角戦線に復帰しなくては!
「言おうとしてることは分かる。すぐ戻してやるから頑張ってこい」
「任せとけ!俺にできないことなどあんま無いッ!」
「ふっ、雑魚のくせに生意気なやつだな」
小さく笑いながら蓮兎を揶揄った後すぐに魔法を発動。そうすると蓮兎の足元に魔法陣が現れ眩い光を発しながら蓮兎の体を包み込む。
◇オルグス大迷宮・40層 ボス部屋鏡花の膝の上◇
「ん…ここは?」
「起きた!大丈夫蓮兎君?!治療は施したけど完治はして無くて…」
体に問題は…無いな、手の甲の紋様も消えてるし夢だったのか?いや今俺が目覚めてるのが何よりの証拠か、ならば俺がすべきことは加勢だろう。そうと決まれば即行動!
「俺が気絶してたのってどのくらい?」
「えっと5分くらいかな?灯火さんが女王を引き付けててここは私と快君が頑張って寄生された2人を止めてる!」
5分…女王の猛攻を1人で5分?それやばくね?!バフは──掛け直しするとして武器は万物切断と相性の良い刀だけで良いし…よし!準備完了即突撃ッ!
「すまんがもう行ってくる!」
「ふぇ?!あ、うん!行ってらっしゃい♪」
蓮兎は縮地を使いすぐさま鏡花の視界から姿を消す。そして蔓の前に現れ即抜刀、蔓の3本を両断し灯火に加勢する。
「遅れたな、ひとまず下がっててくれ。鏡花達を襲ってる寄生野郎達を頼んで良いか?」
「…分かった。無事を祈るッ」
灯火は仲間を信頼し治療と守護の為に前線を降りる。これによりこのフィールドは蝕葉の女王と大罪の悪魔を主人に持つ者の一騎討ちだ。
「さっきは良くもやってくれた?お返しやるよッ!暴風穿槍一点集中!」
3つの暴槍は1つに集約され更なる威力を誇るSランクに匹敵するほどの魔法と成り、女王を穿ち喰らおうと進み出す。されどその健闘は虚しく5本の蔓に受け止められ4本は穿つが5本目の蔓にその野望は塞がれた。
「だがそれで十分だ!」
「ナニ?!」
一瞬の隙に縮地で距離詰めを行い、自分は抜刀の姿勢に入る。これにより放たれる一撃は大地切り裂く鋭剣、狂風纏う剣、神之命、神怒、万物切断の恩恵を受けた抜刀と成る。
「動クナ──ッ」
「遅いんだよぉッ!」
シュパンッ
大地、暴風、神、勇者、愚者の力を借りた一撃は見事女王の首を切り裂き呪刀の恩恵も受けた抜刀は地上で使えば天を裂き、地を破り、空を消し飛ばすほどの一撃と成るのだった。




