55話 打ち砕かれるは花園
ーーボトッ
女王の上半身が地に落ち傷口からウネウネと蠢く蔓が再生を試みるがその思いは打ち砕かれ、叶うことは無い。
ーーパリンッ
多大な負荷に耐えきれなかった呪刀が刀身から折れてしまう。
その刀身は黒い輝きを失い魔力となって空に消えてしまった。
『やった──いや、流石に今ふざけるのは酷か』
「配慮に感謝するよ──あれ?」
何か視界がグラグラして……デジャブじゃね?
あ、俺ぶっ倒れてる。流石に今回は不味いな、さっきみたいに精神世界的なのに飛ばされる前に死ぬぞ?
『安心しろ、それは進化の合図だ。しばらく寝るだけで体に害は無い』
「進化? あぁ契約したから魔人? になるのか」
ーーバタンッ
でも今寝るのは不味いな、まだ灯火達は戦ってるし……早く参戦しないと……
クッソ眠くなってきた──
◇オルグス大迷宮・40層◇
長らく夢の世界に旅出ていた蓮兎が鏡花の膝上で目を覚ます。
眠りにつく前の体の痛みや不調感は無く正に絶好調だった。
そんな蓮兎を見て嬉しくなったのか鏡花は優しく微笑んでいる。
「ん……おはよう、皆んなは? 女王は本当に死んだ?」
「蝕葉の女王は無事撃破! それに伴って他のヴァインドールとかも動かなくなっちゃったから案外平気だったよ!」
寄生花の力が失われてただの死体になったのか?
後で2人の魂を吸収するとして……女王の素材で新しい刀作れるかな?
結構気に入ってたんだけどな、呪刀首狩り!
これを機に探検も新調するかぁ!
「心配したんだよ? 3日も寝てるから──」
「は? 3日?」
「うん」
俺は3日も寝てたのか?
進化による弊害とかなんちゃら言ってたけどまさかここまで何て思ってなかった……
『ん? あぁ起きたのか』
『もう少し労ってくれても良いぞ?』
『ん……遠慮しとく』
こいつはいつも変わらないな?!
まぁ変わらない日常ってのも中々良いものか……
あれ?俺中々良いこと言ってるんじゃね。
『それは置いといて3日も寝てたってマジ?』
『マジマジ、言っただろ? 進化するって、人間なんかの貧弱な生物が悪魔の血が混じった魔人になるんだからそりゃ代償も少なからずあるだろ』
魔人、それは神代の時代、それはまだ神々と悪魔達が争っていた歴史上最も多くの生物が死に絶えた戦争だ。
そんな戦乱な世の中で悪魔達は数を増やす為に必死でついには同族以外の人間にも手を出し始め産まれた亜人。
地上だと忌み子などと恐れられ教会の殺戮対象になる者達だがその魔力量や技術、一部だが継承された悪魔の性質を持つ最も悪魔に近い人間が魔人と呼ばれるようになった。
「進化か……」
「どうかした?」
「ん? いや何でも無い、それより死体はあるか? 魂を吸収する」




