334話 冥府の大地
◇数時間後◇
度重なる魔力の使用、極限状態での集中力を使い続けて疲労がもの凄いことになってる……
魔力も枯渇してて体力の消耗も激しい、もう一歩も動けないや!
「でも一旦成功、かな?」
色欲さんは気絶しちゃってるし蓮兎くんも私に魔力を渡しすぎて同じく気絶、暴食さんは端の方で女王さんと談笑してる。
結構女王さんも疲弊してたと思うんだけど大丈夫なの……?
流石始祖吸血鬼の再生力って感じなのかな、でもそれを嫉妬って悪魔は複製したんだよね……
ーーバタンッ
「私も寝ようかな……?」
そのままその場に倒れ込んで私も眠りについた。
結構頑張ったよね私、言葉通り魂すり減らした気がするよ……
◇Sランクダンジョン【黒薔薇の庭園跡】◇
黒薔薇の城跡、その正面入り口にある花園はとても鮮やかな色とは程遠い黒に埋め尽くされた庭園だ。
荒れ果て、蝕まれたこの庭園には剪定する者などおらずあるのは生命を蝕む瘴気と深淵に続く大穴だけである。
そしてそこに佇むのは1人の悪魔と闇。
「時間切れって何なのさ、そんなに私が殺すのが不満? あぁ気分悪い、鬱ってきた」
「命令に従え嫉妬、残りの大罪は数少ないのだ。慎重に動くのは当たり前だろう?」
「ッチ、せめて本体で来いよ」
闇に纏われたその傲慢であろう悪魔の姿は一切目に見えず、ただそこに存在するのは闇だけだった。
分身体などを用意しているのかこの場に本体はいない。
「リスクを減らすのは当たり前だ。もしこの場にお前をつけてきた者がいたらどうする? その者がお前の力を凌駕していたら?」
「私より強くてもあんたなら勝てるでしょうに、何それいじってる? 鬱るぞ?」
そう言いながら歩き合う2人、その先には深淵に包まれた大穴があり、その下には冥府の大地がある。
悪魔の巣窟、神も侵略できなかったほどの闇に覆われた未知の世界、人類には、いや生命にはまだ到達が早いと謳われた正しく地獄だ。
「もう用事が終わったなら私は帰るから、それで良い?」
「あぁもちろんさ、暴食と契約を結んでるあの人間の能力についても大体把握した。それにあの神聖魔法を使う女、面白いじゃないか」
くふふ、と小さく笑いを漏らす闇、それはその後ゆっくりと周りの瘴気と同化するように飛散した。
1人庭園に取り残された嫉妬はため息をつきながらもその大穴に自ら足を踏み入れ、落ちていった。
暗い暗い闇の中に。
「宮戸蓮兎、次にあったら殺す」
そう言った次の嫉妬の視界に映ったのは世界の終わりのような漆黒であり、世界を燃やす炎の光であった。
悪魔は殺し合い、炎は生死を問わず全ての悪魔を燃やし尽くし、暗闇はどこまでも広く続いている。
これが冥府の大地であり日常、それに慣れている嫉妬は指を鳴らして部下を召喚、馬車に乗って巨大な城のある方向に消えていった。




