333話 魂のお医者さん
「蓮兎くん?!」
「座標設定ミスった……!」
ーードォンッ
ん……ん?急に上から蓮兎くんが降ってきてそれでぶつかって……何で降ってきたの?
今日って晴れ時々蓮兎くんとかの天気予報だったっけ?
「蓮兎くん急に降ってきて……」
「あ、そうだよ早く色欲の所に!」
「え、あ、うん! ……ッきゃっ?!」
急に蓮兎くんに抱き抱えれて距離を詰められる、分かってる分かってるんだよ?
これはスキルを発動させるために、2人で素早く色欲さんのところに行くためのって……
でもちょっぴり照れちゃうよ?
◇紅染まる血の孤城◇
突然に蓮兎くんから色欲さんが負傷した事を聞いて、慌ててやってきた。
どれほどの傷か聞いてなかったけど何これ、魂が傷つきすぎてる……
蓮兎くんを治した時はまだ魂が形を保ってて破損が多いくらいの印象だった、でも今の色欲さんは原型がほぼ……
「ん……? あぁ私から蓮兎くんを奪った女か」
「奪っ?! い 今ふざけてる場合じゃないですから!」
何でそんなに余裕そうに喋れてるのか全然わからない、痛くて痛くてたまらないだろうに……
いいやダメだ、私が絶望してたら治せるものも治せなくなる、私が出来ないと現状治療ができる人はいないんだ。
「ちょっと痛いかもだけど耐えてくださいねッ!」
「ふふ、それは頑張らないとね」
現状私ができるベスト……!
まずは神聖魔法で見た目だけでも治療、蓮兎くんの治療で学んだのは魂は体の形に引っ張られる事、だから外側だけでと治せば気休め程度にはなる。
その気休めが大事、でもやっぱり魂の欠損となると普通の新生魔法でも消費魔力が……!
「蓮兎くんちょっと魔力貸して、前やってたでしょ? オルグス大迷宮で」
「魂変換して魔力渡すやつな、任せとけ」
ーーポワァン
魂を吸収とかあんまり慣れないけど今そんなこと言ってる場合じゃないもんね、我慢我慢……
よし、これで片腕の再生は完了したけどまだ片足と細かな傷が残ってる、細かい傷は最悪放置でも大丈夫。
魂の形が引っ張られるだけで確定するわけじゃないから本当に目立つ傷だけを治して早く魂本体を治療する。
「ッ……これ本当にどうやって喋ってたの……」
目立った傷も痛々しいけど細かい傷が魂にひび割れを起こしてそれが連鎖してる。
ゆっくり丁寧に私が出来る全力の原初の白を雫のように垂らしながら魂の傷を物理的に塞ぐ……!
ーージジジッ
「ッ! まだ意識があるからか大罪だったからなのか抵抗力が強い……蓮兎くん固有スキルで鎮められたりしない?」
「魂の安定化……? いつも俺がやってるのその逆なんだけどなッ!」
魂を操る蓮兎くんなら魂の位置をその場に固定化なんてきっと簡単だよな、うん危なかったそれが無理だったら集中力千切れるところだった……
でも今でも十分精密作業、本来目に見えない魂を認識してそれに超高密度の魔法を垂れ流して傷口を塞ぐなんて結構言ってる事無謀だよ?
「かはっ!」
「色欲さん?! い、今ミスっちゃいましたか……?」
「平気平気……ガンガンやって良いよ。我慢は慣れてるから」
「それじゃあ遠慮なく……ッ!」
魂の理解度だけで言えば私よりも圧倒的に蓮兎くんの方が上、でも私にしかできない事はある。
それが魂の治療、でも私は逆に魂の理解がそれ程進んでいない。
魂だけで保存されてた期間があると言ってもあれは感覚的な理解、蓮兎くんが魂を使って戦ってきた経験は精密な感覚、今必要なのはそれだ。
だから今からするなら蓮兎くんと超高速で念話しながらの治療、私は高速思考とかの固有スキル無いんだけど脳細胞を活性化とかで無理かな……?
「ふぅ……絶対に痛いけど……! 自己崩壊・崩壊纏一点集中……!」
ーーグググ……ッ
地面に爪を立てて痛みに耐えろ、私より辛いのは色欲さんだ……!
これなら蓮兎くんとの高速思考にも耐えられるし動体視力が極限まで極まった今なら単純に魂を目で捉えやすい……!
『……本当にそれ平気か?』
『平気に見える?! 無理、無理だから早く済ませるッ!』
頭が割れる、いや裂ける?あぁ別に何でも良いから早く手を動かせ私!
痛いし辛いけど思考は冷静、手元も目先も冴えてるんだからそんな痛み我慢しろ……!




