331話 無尽蔵の嫉妬心
「貴方が蓮兎? 思ってたよりも弱そうな見た目なのね」
これ、何が起きてるんだ?
俺には理解ができない、いや理解するのを拒んでいると言っても良い。
確かに大罪の中では1番弱いと言っても良いレベルの実力、でも俺は今だに正規法で色欲に勝てる実感が湧かない。
固有スキルの性質上そうなんだろうが……でも理解をしたく無い。
「ッ……レイヴ、スキル詳細」
「スキルの強制不発、スキルの劣化複製、個人の複製……確認できたのはそれだけ」
「分かった。じゃあ後は任せろ」
最優先は色欲の保護、それに嫉妬の無力化も並行して行わなければならない。
レイヴが不可能だったなら相応の拘束を施さないとおそらく不可能、なら俺ができるなら物理的な拘束では無く黒魔法による超弱体化だ。
思考は常に冷静に、怒りは怒りで別の思考でしろ、並列的にスキルを使え……!
「思っていたより冷静、そんなに色欲の事は気にしてないのかな」
「悪いな、そんな挑発には乗らないッ! 暴風穿風!」
ーーグルワァンッ!
荒れ狂う3つの暴風、操作性と攻撃性の両方に優れたそれは3方向からの槍撃を試みる。
スキルの不発化とやらのスキルには流石に何かしらの条件があるはずだ。
それを探れ、こいつの固有スキルは何だ?
その3つのスキルが固有スキルなのか、それとも【嫉妬】による効果なのか……!
「原初の黒、魂ノ採集ッ!」
「デバフ系、陰湿だね」
「そりゃどうも。じゃあ崩れてくれ」
「変態ッ……!」
即接近からの嫉妬の腹部に手を当てる、もちろん変態などでは無く俺の発言から分かるだろうが最大出力フルバフの錬成、それを分解に使う。
ーーギギギギッ!!
今までに無いほどの錬成反応の拒否反応……!
こっちが攻撃してるはずなのに拒否反応だけで腕が吹き飛ぶようなこの感覚、でも無効化されてるわけじゃ無い。
表面上だけを見るならそんなに外傷は無い、だが強がってるけど臓物ぐちゃぐちゃミックスなんだろう?
「ほら我慢しないで泣き叫んでみろよッ! 錬成強めちゃうぞッ!」
「色欲と仲良いからか知らないけど貴方も変人、いや変態なのね」
「さっきからラストって誰だよ! 俺は色欲しか知らないねッ」
錬成による攻撃は有効、スキルの無効化とやらも放出する系統では無いなら平気だと信じたい。
俺に対してまだ発動していないのは単純に発動するのに何かしらの条件があるから、ならその条件は何なのかになるがそこは戦いの中で模索するしかないな。
「錬金術師、ここまで成るのに苦労しただろうに、なのにここまで成り上がって……あぁ鬱だ。私にそんな向上心は無いのに、本当に」
「褒めてるのか貶してるのかどっちだよ! 良いからぶっ飛んでろよッ」
「かはッ……?!」
臓物ぐちゃぐちゃにしてからの【天脚】による轟脚、集中して腹部に攻撃を当て続けた。
外部も内部もまともな再生技が無いならそのまま苦痛に顔を顰めながら死に絶えてくれるとありがたいんだが……
「ふぅ……ふぅ……それ女性に使う技じゃ……無いッ」
「それ全員言うよ、性別関係ないと思うんだがな。それよりその再生、レイヴのだろ? 劣化複製ってそれか」
「貴方の錬成も奪っちゃうよッ!」
ーージジジッ
嫉妬が発動した錬成は俺に満たない程の微弱な錬成反応。
世間一般的な錬金術師と比べれば単純に魔力の総量のおかげで高いかもしれないがそれでも俺に比べれば弱い。
初めて使うスキル、それに劣化した複製なんだろう?
「ほらどうした、錬成してみろよ。今の雑魚技がそれじゃないだろう?」
「あぁ鬱……鬱鬱鬱! 本当に癪に障る……!」




