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309/317

309話 開幕、千鬼夜行

◇◇


休憩から3時間が経過、つまりはもう作戦を開始する時間帯となった。

現在は【無魔の巨森樹】の山、山と言ってもそんなに大きいわけでは無くどちらかと言えば丘に高い。

ここからはダンジョン全域を見渡すことができる。

そして発見できるのはまず2つの痕跡、これは【アイアンメイデン】と【魔導研究会】の拠点だろう。

残りの2つである【六花】と【勇者の集い】のギルドは視認できないがそもそも人数が少ない分当たり前として割り切るしか無い。


「アルト、頼んだぞ」

「はぁ……ここまで来たら頑張りますよ」


スキルを発動するアルト、俺、暴食グラフェルは準備満タン、隣で待機している鏡花も全員にバフかけを完了している。

エフィナはスキル発動後に即奇襲のために別で待機、シルヴィアは既に狙撃ポイントで身を隠しているしラミアも同じ場所で待機させている。


ーーバッ!


丘の上から全てを見下ろし、心地の良い風に吹かれながら両手を広げた。

今日はいい日だ。風もあり、暑すぎず寒すぎないちょうど良い温度、初日に足りなかった暴れたい欲を今ここで存分に発散させるッ!


「さぁ! 今日も生を謳歌しようか!」

「分かりづらい合図ですね?!」

「ッチ、厨二病がよ」


ーーズズズズッ


俺の合図(?)と同時に発動されたのは3つのスキル。

まず1つは俺とアルトの発動した【百妖夜行】、これは言わずもなが魂を媒体として死霊を操り出すスキルだ。

そして2つが暴食グラフェルとアルトが発動した【創兵】、錬成のようなもので混ざりに混ざったスキルだかなのか魂の無い兵なのに自我を持って独立するスキルだ。

そして最後にアルトが発動した【有象無象】、これは俺のスキルと似ているが違う点は数に特化している点だ。

これは1つの魂から複数の死霊を作り出し、粗悪な魂を素材としてその名前の通り有象無象を作り出す。

総勢1000に登るのかは知らないがここに千鬼夜行の開幕を宣言しようッ!


「蓮兎くんすごい笑顔……楽しそうだね!」


俺は今そんな笑みを浮かべているらしい。

いつもは無自覚だが今回は自覚している。

それは何故か、とてつもなく今楽しいからだ!


◇ギルド【アイアンメイデン】野外拠点◇


テント内で休息を取っていた【魁蕾】は外の異変に気がつき、テントの外に出た。

そこには団員が叫び、死霊が跋扈する自学絵図。

モンスターは出ないダンジョンなのでは無いのか、これは何者かの襲来なのか、ギルド側のミスなのか、そう思考を巡らせる間にある者のの声を聞いた。


「さぁさぁ諸君! 俺は……まぁ知ってるよな。【ツクヨミ】のギルドマスターである蓮兎だ! 今さっき死霊プレゼントを配布したから存分に楽しんでくれたまえ!」

「あいつ……! 総員準備しろ! 【ツクヨミ】を今すぐに潰し──」


ーーギィィィンッ!


「あれ、気づいちゃった? 初手で仕留めたかったのにぃ〜」

「……お前は確か【ツクヨミ】の」

「覚えてるんだ? むさ苦しい男には別に覚えてもらわなくても良いんだけどなッ!」


腹部に鋭い蹴りをしながら離脱、並大抵の者ならこの蹴りだけで臓物が吹き出すほどに致命傷となっていた。

だが【魁蕾】は以前と余裕の構えをしている。


「ねぇそれ舐めてる? 私結構強いよ?」

「舐めているのはそっちもだろう」

「……バレちゃったか! まぁ良いよ、なら本気出してあげるから」


エフィナは聖剣を二刀流に、【魁蕾】は武具を取り出しそれを操る。

双方本気となった。

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