297話 ブーイング
「引き分けです! ルノア選手とキョウカ選手も同時に巫女様の加護の発動、ちゃんと確認とったので! 目じゃ追えませんので!」
そのあとしばらくは会場にブーイングが広がった。
◇◇
それから数時間が経ち、試合数は残り3つ程度となってしまった。
簡単な結果は佐伯がエチルに敗北、魁蕾はそのまま勝ち進み、現在準決勝だ。
「方やSランク冒険者【魁蕾】! 第二試合ではシルヴィア選手を討ち果たし圧倒的な力を見せました! そして方やSランク冒険者【六花】の副マスターであるエチル・フィレーナ選手! 第一試合第二試合両方を1分程度で終わらせた最強の神聖魔法使いです!」
ーースッ
「私棄権します」
「「「「……は?」」」」
突然エチルが挙手、その後の発言に会場は皆同じ言葉を同じタイミングで発した。
全てを圧倒的な力で屠ってきた両者の戦い、見どころがあると思っていたのもあるし賭け事をしたいた者も多くはないだろう。
「え、は? えっとエチル選手の棄権で敗北……?」
実況も突如の出来事で驚いたのかさっきまでのハイテンションとは打って変わって本当にこれ言ってることあってるのか?と不安がりながら喋っていた。
「魁蕾でしたっけ? 私シルヴィアさんとはお友達なの。対抗戦では容赦はしないわよ?」
「ふんっ、望むところだ。雑魚が群れたところで変わらん」
両者の見解を述べるエチルと魁蕾、そんな事は知らずに会場は再びブーイングの嵐が巻き起こっていた。
棄権も立派な作戦、だが観客からしたら面白くないだけなのだから。
「それじゃあ決勝頑張って」
それを言い残してエチルはその場を後に、控え室に戻っていった。
決勝は【魁蕾】とルノアのギルドメンバーの1人、あまり見る価値も無いし俺たちも鏡花、シルヴィア、ラミアを外出してギルドハウスに戻るか?
あくまで明日が本戦だ。
『てかエフィナお前どこ行ったんだよ。戻ってくるんじゃないのか?』
『ん……もう食べられにゃい……』
『……』
何でこいつ寝てんの、てかそれ現実で言うやついるんだ創作の中だけかと思ってたはその寝言!
はぁ……念話の位置からしてからギルドハウスだよな、ならまぁいいか?
勇者との話は解決したのか?後で質問攻めにしてやろう。
「帰るぞアルト、残るならそれでも良いがどうする?」
「そうですね……僕は残りますよ。じっくり観察します!」
実に勉強熱心でいいことで、アルトの性格が1割でもみんなにあればこんな破茶滅茶なギルドになってないんだけどな。
まぁメンバーが濃いメンツ多いししょうがないのか?
大罪の悪魔に死んで生き返った勇者、元殺し屋に死を経験した転移者……
あれ、思ってたより濃い?
「分かった。成果を期待してるぞ?」
「はい! 任せてかださいマスター!」
今日もアルトはいい子です。
◇ギルドハウス【ツクヨミ】◇
アルトを除くメンバーが集まった。そして明日はギルド対抗戦本戦、地味で嫌だと言う人もいるかもしれないがこれは避けられない。
「明日の対抗戦に向けた作戦会議をするッ!」




