296話 問題解決は拳にて
「銀色世界・絶界」
誰もきついけど極めつけはこの絶界とか言う超強化版攻撃……!
範囲は闘技場全域だから魔法で本気の防御をしないと一瞬で退場、掠ったらそこからじわじわと凍結が始まって退場、おまけに上空に逃げても不可避。
ガードできてる私を褒めて欲しいよ、魔力消費凄そうだけど2回目だよ?
魔力切れしないの?剣士じゃないの?
「神成る聖槍ッ!」
ーーガギンッ
「弾速はそんなだね」
「一応強化盛り盛りの魔法なんだけどなぁ?!」
ちまちまと魔法を使っててても無意味、消耗戦で不利なのは剣士職のノエルちゃんだけど今の私は自己崩壊・崩壊纏を使っている状態。
一定時間が経って解除されれば反動が押し寄せてその時点で1発アウト、私の負けだ。
「つまり狙うは短期決戦一択ッ!」
「ボクもそれが良い。這い寄る冷気」
這い寄る冷気は私の背後から出現、速度自体はそれほど無いけど当たれば少しの間身動きが取れなくなる。
低級魔法だから魔力の消費も少ないよずるいよ!
ノエルちゃんは低級魔法の使い方が上手いから困るよ……
「さぁキョウカ選手は攻める攻める攻める! だがそれを防ぎつつ的確なタイミングで反撃するノエル選手、流石Sランクと言ったところでしょうか!」
「やっぱ厳しいなぁこれ……」
「前衛と後衛のタイマン。普通はこれだよ、蓮兎がおかしいの」
私の所属するギルド【ツクヨミ】はみんな前衛でも後衛でも戦えるような人材が揃っている。
シルヴィアちゃんはナイフ術、アルト君はスキル模倣、暴食さんや蓮兎君は言わずもがな。
もちろんエフィナさんも魔法は得意だしこのギルドは一芸だけじゃ務まらない……
「ちょっとだけなら平気だよね、一瞬一瞬」
「? どうしたの急に」
このままじゃ私が負けるのは確定している。
でもせっかくならせめて一撃殴らせろ!
「堕天化部分発動……! 片腕限定使用裏表!」
「ッ?!」
蓮兎君が創ってくれた大天の籠手裏表は通常時は絹素材の手袋なような見た目をしていて効果は単純に白魔法と神聖魔法の補助。
格闘術のスキルが組み込まれてるから多少は打撃にも補正は乗るけど真骨頂はそこでは無い。
これの真骨頂は【堕天化】を発動した時、その時の効果は魔法攻撃力を物理攻撃力に裏表させる事で形状も黒く硬い見た目に変化する。
その状態による物理攻撃力は【堕天化】と合わさり馬鹿になる。
「ッ……! 氷之舞発動──」
ーーバリィィンッッ!
ノエルちゃんが固有スキルを発動するよりも速く拳をヒットさせた。
【堕天化】+裏表+自己崩壊・崩壊纏による散々な威力上昇を掛け合わせればヒーラーの後衛職が出してはいけない火力となる。
これなら流石のノエルちゃんも倒せたか……な?
あ、あれめまいがして視界が……
「かはっ?!」
吐血、全身が痛いし殴った右腕が絶えず血を流し続けているし口からの吐血も激しい。
心音がうるさい、外の音が何も聞こえない、実況さんの声は?観客さん達の声は?ノエルちゃんは倒せたの?
分からない。何も分からない。でも、やれる事はやったよね私……
「こひゅぅこひゅぅ……かはっ!」
鏡花と同じく激しい流血、咄嗟にしようした場外を防ぐための氷塊に激しく衝突したノエルは血だらけだったが確かに立った。
鏡花が倒れて気絶、瀕死の重体で耐えたノエル、勝敗は……
「引き分けです!」




