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292話 不意の模倣

◇◇

 

やってきたのは闘技場の近くにある小さな飲食店、名前は【小道の林檎店】と言う場所でアップルパイが美味しいらしい。

そしてそこにやってきた俺たちが見たのは暴食グラフェル憤怒ラースが一緒にアップルパイを食べている姿だった。

 

「いやさ? 予想はしてたよ予想はな? でも何で一応敵の憤怒ラースと飯食べてんだよ」

「知らん。俺は勝手に連れてこられただけだ。あと憤怒こいつの奢りだから好きに食え」


勝手に連れてこられただけって……

攻めた先に説明を……ってあれ、俺が勝手に遮断して聞いてなかっだけだったりする?

まぁ一旦いいや、奢ってくれるなら話は変わる。

 

「よし好き放題食うか」

「了解したマスター」

「私も食べる! アップルパイ美味しそ〜」

「ちょ?! 私人間界の金はあまり持ち合わせが……」

 

何か言っている憤怒ラースは無視して俺、シルヴィア、鏡花は普通に遠慮無くメニューから注文する。

アルトは少しあわあわしているがラミアに言われて同じく頼むことに、後ちなみに鏡花はちゃんと外出許可は簡単にもらえたぞ。

 

「せっかく奇襲しようと思ったのに……」

「バレバレだけどな」

「ッ?!」

 

なんか驚いているけど暴食グラフェルから聞いた性格上何の前触れもなく襲ってくる事はしないだろうと断定、そして直近に戦い好きな性格に合いそうな大会がある。

そんなの食いついてくると予想するのが自然だ。

 

「今更ですけど憤怒ラースさんが敵なんて信じられたいですよね、良い人そうなのに。いや良い悪魔そう……?」

 

アルトが呟く。確かに今までの大罪の第一人称はヤバい奴の印象が多い、暴食グラフェルも最初はやばいやつに話しかけられたって感じだったし色欲ヴィオラは初めの印象は良いものの凶変、そっからおかしい。

強欲グリードは何か記憶あやふやだけど俺嫌われてて気がする。

それに比べたら憤怒ラースの第一印象は暴食グラフェルと仲のいいバカな奴、まぁ本当の最初は俺気絶してたから分からないけどな。

 

「もちろん敵だ! 私はお前を殺して暴食グラフェルを大罪に戻す!」

 

何と名指しの殺害予告を目の前で胸を張ってされたわけだが何故だろう。

大罪で俺よりも強い相手に言われているのに全然怖くない、何か見た目も言動も子供っぽいところがあるからなのか?

 

「俺は大罪に戻らん」

「戻す!」

「戻らん」

「戻す!」

「戻らん!!」

 

会話だけを聞けば小学生同士のじゃれ合いの会話、だがそれを行なってる本人たちは世界でも有数の実力者で七つの大罪第七柱と三柱だと言う事を予想できるものは少ないだろう。

だって目の前にいるこれも困惑してるもん。

 

「てか憤怒ラースお前ギルド対抗戦に乱入するのか?」

「ん? そうだな、その形になると思う。急にどうしたんだ暴食グラフェル

「いや別に、ただの事実確認」

 

ーーガタンッ

 

「そんな事よりだ! 何故そこの男から死んだはずの強欲グリードの力を感じられる!」

 

急に立ち上がりテーブルを叩いて話題を切り替える憤怒ラース、テーブルを叩いたのが悪いのか暴食グラフェルに頭をぶっ叩かれて少し沈んだが、ちゃんとショックなんだなそれ。

 

「僕ですか……? えっと多分スキルを【模倣コピー】してるからでしょうか?」

「スキルの【模倣コピー】……? 何だそれ!」

 

アルトに食いついて手を握って無理矢理めっちゃ振っている。

 あれ鏡花にやられた事あるけど痛いよな、腕ぶんぶんされる奴。

 

「私のスキルも【模倣コピー】できるのか?」

「まぁ出来ますよ」

「凄いなこれ! やってみろ!」

 

何と意図しない場所で大罪のスキルを獲得してしまったアルト、これにて【暴食】【強欲】【色欲】【憤怒】の大罪のスキルを獲得できることになった。

【色欲】はいいとしても他が強すぎないか……?

やっぱりアルト無双始まっちまうか。

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