286話 可愛いらしい天使
◇◇
「久しぶり、って程でも無いか?」
「暴食か。対抗戦でと思ったのだが予想より早かったな」
別にいる事自体は想定内、だが確かに予想よりも遭遇するのが早想定よりも早すぎる。
今の俺1人で何とかなる相手では無い、だからと言ってこのまま放っておくのも愚策っちゃ愚策、どうする?
「今ここでやり合っても良いが……それはお互いに望まないだろう?」
「まぁな、お前がそれで良いなら俺もそうしたい」
「正直に言えば今すぐにでも新たな私を見せたい……だが本気でやり合えるまで私は待つ! 偉いからな!」
えっへんと胸を張る憤怒、まぁ張る胸はそんなには無いわけだがそれは一旦置いておいてやるとしよう。
それで何だ?成長したって何の話だ。
腰に納めてる銃の事なのか固有スキルでも獲得したのか、こいつのバカ具合から予測するに多分前者だな。
「まぁだから一旦鏡花……だったか? その試合を見ようじゃないか」
「試合ぃ? お前見る方にも興味あったのかよ。自分がする方じゃ無いと嫌なタイプかと思ってたぞ」
「もちろん自分が戦った方が楽しい。だけど見るとも少しは好きだぞ? それに鏡花とやらは少し興味がある!」
鏡花もまた嫌なやつに目をつけられたものだな、憤怒のお気に入り=毎日でも戦いたいとか好敵手とかそんな感じだし。
俺も何かと苦労することが多かった、今思えばマジでこいつ戦う以外の娯楽をしてなかったな。
「ほらほらもう始まってしまうぞ!……観客席に続く道知っているか?」
「……お前やっぱバカだな」
何で俺が憤怒を案内しないといけないんだ。
◇観客席◇
「さぁキョウカ選手の猛攻が止まらない! 可愛い天使の見た目をしてるが実力は既にSランク級なのかぁ?!」
ギルド【アイアンメイデン】のメンバーであるグリム・カフィートは実況の言う通り試合直後から防戦一方だった。
開始と同時にバフ掛けを完了した鏡花はそのまま神聖魔法による弾幕を開始、威力が桁違いの鏡花の魔法に成す術も無く自前の大盾で防いでいるだけだ。
「これが……! 本当にまだ駆け出しなのかお前!」
「駆け出し? あぁそっか。登録したのってそんなにまだ時間経って無いのかな?」
私が生き返ってから経ってすぐにギルド登録をしたわけじゃ無いし他の人視点からするの急にルーキーがSランクギルドに所属したって感じなのかな。
勇者さん達ほどじゃ無いにしろまだ冒険者なって半年も経って無いなら十分駆け出しなのかな?
「そろそろ降参とかどう? 無抵抗の相手に魔法撃ち続けるのはなんか良心が……」
「俺は全てを受け切る……! その意思が崩れることは無い!」
降参の意思は無いっぽいしこのままじゃジリ貧で勝てるけど試合のテンポ悪くなっちゃうし早く倒しちゃった方が良いのかな?
貫通特化の神成る聖槍なら盾も貫通したりして倒せないかなぁ
「神成る聖槍! えっと……4個くらい!」
ーーギィィィ!
聖槍と大盾は少しの間拮抗、そして盾を貫きグリムさんの脇腹を突き破る事で私の聖槍は勝利した。
あれ絶対に痛いよね……ちゃんと試合が終わったら治してあげないと!
「かはッ!……これが壁か……」
「第四試合! サクラギ・キョウカ選手の勝利! こんなに可愛い天使なのに恐ろしい力です!」
グリムさんは血反吐を吐きながら地面に手をつき、敗北の味を噛み締めていた。
実況の人それにしてもテンション高いよね、あと公の場で大々的に可愛いとか言わないでほしい……!
照れちゃうから!私普通に照れちゃうからぁ!




