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280話 戦乙女

冥界アビス・呪樹都市アルゼガ◇

 

半刻程案内を受けながら歩いてくると小国が視界に入ってきた。

樹木で覆われた森の中に形成されたそれは木々の上に家が建ち、木々の下は他種族の悪魔が跋扈している。

こんな小国が私の領土の近くにあったなんて初耳だ、あまり統治をしていないのが原因だろうか?

全て部下に任しているからな。

 

「ここが私の祖国です」

「木の癖に銃火器を扱うんだな」

「……確かに」

 

普通に木々が燃えたりしないのだろうか、悪魔領で生き残るためにはそれほどのリスクを背負わなければ生き残れないのも事実。

あまり強い種族でも無いからな。


「少し待っていてください。報告を先に済ませてきますので」


木々の合間から私の事を覗き見る悪魔が多数、そんなに私の事が気になるのだろうか?

まぁ?確かに私は大罪の悪魔でそれなりに名は通っているし容姿も整って……いやこの話はもうやめておこう。


◇◇


しばらくがして国内に案内、やけに視線が痛いがそんなに警戒しているのだろうか?

大木と大木の間に橋がかけられ、それを移動し街中を移動するこの国は利便性を捨てたのか?


「これが銃ですね。改良はされていますが」


手渡されたのは長い形をした金属製の銃だ。

狙撃銃などと言っていたか、本当にこんなので遠距離攻撃が可能なのだろうか。

遠距離攻撃と言えば弓と魔法くらいしか私は知らん。


「引き金を引けば撃てます。あそこの的を狙ってみては?」

「引き金……ここか?」


ーーバンッッ!


銃を見様見真似で構え、引き金を引く。

そうすると先端から弾が発射されそれとほぼ同時に的に穴が開き、私の肩に反動が来た。

これが銃、これこそが銃!

魔法よりも速度が高く魔力を消費せずに扱えてデメリットは音と反動、あとは残弾を確認する程度だ。

音は魔法で小音可能だし弾は空間魔法にでもぶち込めばいい、反動もそれ程大きいわけでは無いしこれは確かに有用品だ。


「これは良い……何個か譲れ」

「え……これ高いんですが……」

「かあったら私が駆けつけてやろう。だから譲れ。交換条件だ」


どこかの大国が気分一つ変えれば滅びそうな小さな国、そんな国に戦争があれば成す全て無く地図から消え失せてしまうだろう。

そんな場所に私が加勢してやればそれはどんな宝よりも魅惑的な報酬となる。


「い、良いんですか?! 大罪様がそんな……」

「最近は暇だし多分平気だ。それよりもこの銃とやらが欲しい。魔法は魔力の消費が激しいから好まない」


魔力量が少ないわけでは無いがどうしても後衛職のそれには劣るのが前衛職である私の悩みどころだ。

だがこの銃とやらはそれを解消してくれる良いものではないか!

暴食グラフェルとの戦いにも更に激しさが増すと言うものだ。

あいつはああ見えて遠距離主体で立ち回ることが多いからな。


「はぁ……分かりました。何丁か譲りますよ。狙撃銃以外の種類も」

「他の種類もあるのか! それは楽しみだな!」


新しい武器に胸を躍らせる大罪の少女、根っからの戦闘狂である彼女の目には銃火器は理想の詰まった新たな玩具。

ほぼ全ての武器を扱えるエフィナのような戦闘スタイルの少女に遠距離武器が追加された瞬間だった。


「待っててくれ暴食グラフェル、ギルド対抗戦とやらでお披露目してやろう!」

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