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279話 ここは地獄

冥界アビス・怒号飛び交う熱砂丘◇

 

皆が水を求め叫び声が鳴り虚空に虚しくその声が消え失せるこの砂丘、そんな場所に軍服を着た1人の悪魔が愉快に悪魔殺しを楽しんでいた。

 

「私の領土で争いをする者は誰であろうと敵だ」

 

ーーピチャッ

 

刀に付着した血を薙ぎ払いう。

それにしても最近争いをする者が遠い気がするが気のせいか?

まぁそれは良い、悪魔は生来争いを好む傾向にある。

それよりも地上で行われるギルド対抗戦と言ったか、あれに私も参加したいのだがどうすれば……?

 

「ギルドなんて持っているはずも無い。そもそも人間以外は参加して良いのか? 亜人は良さそうだが悪魔は?」

「助け……ッ?!」

 

ーーグチャリッ

 

「今私が話しているだろう?」

 

これだからゴミは困る。悪魔ひとが話しているのに自分の命を優先して、だから私に頭を踏み潰されてしまうのだ。

悪魔の争いは多くなったが質が1000年前と比べて格段に落ちているな、魔王とやらは何をやっているんだ?

所詮地上に逃げた愚か者に過ぎないのか、悪魔ならばこの冥界アビスで統治をすれば良いものを何故地上に城を作るのか理解に苦しむ。

 

「そうだ今度銃とやらに触れてみなくてはな。おいそこの悪魔、何を逃げている」

「ひっ! え、えっと……」

「今私は機嫌が悪い。そこで質問だ。銃というものを知っているか?」

 

銃、この服を着ていた異世界人が持っていた魔法とは違う飛び道具の事だ。

あの女は確か軍人とでも言っていたか、その時は何を言ってるんだと思って服を貰うだけに留めたが……

あの女は生きて……いや人間の寿命は100年ほどだったか、もうとっくの昔に死んでしまったか。

中々に良い奴だったから惜しい人材だった。

 

「い、一応私の祖国に銃という武器は最近導入されましたが……」

「よし。なら案内しろ、そうすれば命は取らん」

「え?! で、でも……」

「案内しろ。良いな?」

 

その悪魔は結局了承、こいつの種族はなんだろうか?

人形に限りなく近く体が木製、花が体のあちこちから咲き誇っているのを見るに呪木族トレントの上位種らへんの悪魔だろう。

ずっと私の機嫌を伺い怖がっているが……

 

「なぁお前、私ってそんなに怖いのか?」

「へ……?」


確かに私は戦場では鬼などと称される事もあるが、普段は領地で争い事をしている者を屠る程度、それに七つの大罪第3柱の憤怒だ。

憧れの的になってもおかしくはないのではないのか?

 

「それにほら、容姿は悪くないだろう? す、少しはほら、可愛いとか……」

「……」

「な、なんだその目は! 私だって乙女だぞ?! 自分の容姿を気にして何が悪い!」

 

最近は本当に憂鬱だ、大罪の皆から一人称を変えた事で揶揄われたり今もこうして醜態を晒している……

いっその事ここでこの悪魔を殺してしまえば誰も見ていないし証拠隠滅になったりしないのか?

私だって女性だし容姿を気にしても良い立場だ、暴食グラフェルに比べればそれ程スタイルがいいわけでは無いが……

 

「いえ大罪様もそういう事を気にするんだな、と少し」

「笑うな……! 良いから案内を続けろ。次笑ったら本当に殺すからな……!」

 

別に暴食グラフェルからは可愛いと言われた事はあるし他の人の自分に対する評価なんて気にして無いし……

男に興味は無い、女にも興味は無い、色恋自体に興味が皆無な私だし容姿を気にしてもしょうがない無い。

でもまた暴食グラフェルに会うなら少しは容姿を気にした方が……

 

「……い、いいからさっさと歩け!」

「私が今悪いですか?!」

 

その日の砂丘では顔を真っ赤にした悪魔の少女と脅されながら道案内をする悪魔が目撃された。

目撃者が言うに保護者と娘かと思ったと言う。

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