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278話 一方その頃

◇水上國リフィネア・冒険者ギルド◇

 

「ギルド対抗戦?」

「そう。まぁ私達は勇者"パーティ"だし関係の無い話かもしれないがな」

 

私達はあくまでも勇者パーティとして名が通っている、だからギルドでは無いので3ヶ月後に控えるこの大会に参加するのも不可能だ。

観客として赴くのは良いかと思って今話したわけだが。

 

「いいじゃないか! 俺たちも参加しよう」

「……今話を聞いていたのか光義? 私達はギルドでは無くパーティだ」

「ギルドとパーティって結構違うんじゃ無かったでしたっけ? うろ覚えですけど……」

 

雅の言う通りギルドとパーティは別物、パーティは冒険者数人が集まりギルド攻略などのために集まった言ってしまえば即席のメンバー構成が多い。

そしてギルドは一つの目的のために皆が協力、賛成して成る信頼関係の築かれた団体、パーティとギルドは別物だ。

 

「でも俺たち絆ももうあるだろ? 元々同じクラスで関わりもあったんだ。3ヶ月もあればギルド作成も可能だろ」

「作成は……い、一応可能ですね」

「ほら! 白谷も賛同するよな?」

「え、あ……はい……」

 

光義は人の考えることが分からないのか馬鹿なのか、いや両方の可能性が高いか。

白谷の性格上そんなに詰め寄られて喋られたら断るはずが無い、確かにギルド作成は可能かもしれないが一応、と言っていたし作ったところでランクをBまで上げなければ参加資格は無い。

3ヶ月でBランクに昇格するのは正直今の私達の実力で可能かどうか怪しいところもある。

確かに今まで困難を乗り越えてここに立っているが鏡花さん達と初めて会った大罪との戦い。

あれば本気では無かったらしいが私たちはギリギリだった。

 

「私達なら行けるよ! 今まで頑張ってきたもん!」

「ほらどうだ美穂! 多数決だ!」

 

光義の考えに雅も賛同、まだ装備の更新もレベルもそれほど高いわけでは無いし実力面に不安は残るが……

 

「……分かった。ギルドを作ろう」

 

1人だけごねていては話が続かない、正直ギルドを作ること自体には賛成寄りではある。

ただ対抗戦に出場するのが怖い、勇者としての力は民にとっての希望の光となっている。

光義にその気は無いのだろうがそれでも力を誇示し続けなければ信頼は途切れる。

魔王を討伐すると言う名目がある以上下手な事はできない。

 

「魔王……そう言えばどんなやつなのかあまり詳しく知らないな」

 

文献や転移時に転生神から少し聞いた程度の知識しか無い。

倒しても次の時代には悪意を持ったものが選ばれ魔王になり、世界を壊すことだけを考える傀儡となって人類を脅かす脅威、勇者の持つ力に弱く歴代でも勇者が勝つ事で幕を終えた事が記録上全てだ。

魔王のスキルについては不明な点が多く元々の素体が持っていた固有スキルと魔王になった際に発現するものがあるらしい。

今世の魔王は双方とも不明だ。

 

「何を考えてるんだ? いいから早くギルド作ろう! 職員さんに言えばいいのかな?」


そう言って駆け足でギルド職員の方にギルド創設をしたいと言い、創設の条件である最低人数を満たしている事から作成が認められた。

そんなに簡単に作れるものなのか……ランク上げが大変なだけなのだろうか?

 

「ギルドの名前どうしようか?」

 

◇2ヶ月後・ギルド【ツクヨミ】◇

 

対抗戦まで約1ヶ月、俺はと言うと暇を持て余していた。

武具は作り上げたしダンジョン攻略も少しはしたがいかんせんランクが低くレベルもステータスも上がらない。

SやAランクダンジョンなんてそんなに量があるわけでは無いのは知っていたが短期間にSランクダンジョンを攻略しすぎたのかもしれない。

【紅染まる血の孤城】から始まり最近はエフィナがいた【善良なる英雄眠りし墓】を攻略、めぼしいダンジョンは攻略し尽くしてしまった。

まだ水上國リフィネアには【精霊樹の森】などあるがそこまで行くのは遠いしまたネアに捕まるかもしれない。

 

「模擬戦でもするかぁ? 暇だ暇」

「マスター武具についてなのだが……ん? 何を暇そうにしている」

 

ソファに座りながら黄昏ていたらシルヴィアが扉を開けて自室から出て、俺に話しかけてきた。

暇な理由なんて聞かないでくれ、理由が無いから暇なんだ。

 

「それで武具についてって?」

「マスターが創った超電磁砲レールガンに耐えられる物なのだが2セットあるが1つ判定で平気なのか?」

 

対抗戦初日、個人戦の時は持ち込める武具やアイテムは1つまでなんだったか、そして俺が創ったのは2つ判定なのかってことか?

確かグローブとかのやつもセットで1つ判定だったし平気だと思うけどな、ダメだとしても1つでも十分強い。

 

「平気だと思うぞ? 急にどうしたんだよ」

「副マスターが疑問がっていてな、副マスターに創ったのも2セットなのだろう?」

 

暇だからって理由で鏡花のも創ったあの籠手か、いや〜暇つぶしで創ったにしては良すぎる性能かもしれないな。

【堕天化】を使用した時専用の拳武器を作ろうと思ったんだが楽しくなって効果を盛り盛りにしてしまった。

その効果は【反転】!通常時は城魔法や神聖魔法の補助で反転すると……ここからはギルド対抗戦のお楽しみだ。

 

「ちょっと俺も体動かすかな、シルヴィア付き合ってくれよ」

「私は後衛……いやマスターもだったか。前線で戦うタイプの変態だから忘れてしまう」

「変態は余計な?!」

 

ギルドメンバーから変態と称されるギルドマスター、それは世間体としても威厳としてもどうなのだろうか。

いや威厳はもう皆無だとは思うが。

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