228話 焼き鳥と姫
◇水上國リフィネア・王宮 入り口◇
やっと王宮に辿り着いたと思ったら兵士が門の前で何か話してるけどなんなんだろうか?
何か話して……あ、こっち来た。
「すみません……ネア様はまた家出というか行方不明というか……」
「えっとこの国のトップですよね……? 平気なんですかそれ?!」
「ダメですよ……ただあの人言うこと聞かないので」
言い方的になんとも行方不明になってるってことだよな、なんで国として保ててるのか分からないレベルでえぐいんじゃ……
「発見次第また連絡しますので今日はお帰りしていただいて結構です。すみませんお手数をおかけしまして……」
「いや兵士さんは悪く無いですよ、なんと言うか……大変ですね」
「はい……」
世の中には大変な人もいるんだな、今その現実を知った。
まぁそれは一旦置いておいて謁見は即終わったわけで何をしようか、まずシルヴィア達と合流してから何か食べたいよな?
米とか食べたいけど焼き鳥の匂いがうまそうすぎたんだよな……
「どうしよっか?」
「俺は腹が減ってんだ。いいから飯食いに行くぞ」
急に予定が空いて戸惑う鏡花と腹が減って機嫌が悪くなっている暴食、俺もどうしようか迷い中だよ!
でもまぁ先にシルヴィア達に連絡が先か。
『予定外のことが起きて謁見は中止になった。そっちは今なにしてる?』
『今はヤキトリ? と言うのを食べている。城門近くで見かけた店だ』
『りょーかい、俺たちも今向かう」』
高速で会話を終わらせその内容を鏡花達に連絡、そのまま俺たちは来た道を戻ってシルヴィア達がいる店に向かった。
◇◇
「マスター早かったですね、マスターの分もありますよ!」
「サンキューアルト」
店に着くなり焼き鳥を喰らい出す暴食を横目に俺はアルトから渡されたネギマを食べる。
久しぶりの焼き鳥……マジで美味い……
「美味いじゃろ? 妾も良く来ておるのじゃ!」
「流石ですね! 突然話しかけられた時はびっくりしましたよ〜」
仲良さげにアルトと会話をしている女性、この世界には珍しい黒髪ロングの髪型をしていて品のある青い着物を着ている。
誰だろうか?
「その人は?」
「この人はネアさんです! どこで食べようか迷っていた時にこのお店が美味しいと教えてもらいました!」
ネア、ネアか……
俺の記憶が間違ってなければネアってこの国の女王の名前じゃなかったか?
ネア・リリフィアだったよな確か、いや流石にそんなことないよな!
国の姫様が城を抜け出して焼き鳥なんて食べてるはずがないよな!
「お主が【吸魂】か、思っていたよりも普通の青年なのじゃな。てっきりもっとサイコパスみたいな見た目かと思っておったよ。ほら、魂食べるらしいし」
「初対面でいきなり人にそれを言うかよ……てか一応事実確認だけしたいんだけど──」
ーーピタッ
俺が言葉を発する前に口を塞がれた。
「お主が言いたいことは分かる。だが今は気分がとても良い、その事は一旦黙ってお主も焼き鳥を食べるといい。ここは妾の奢りじゃぞ?」
「……」
口を塞がれたまま焼き鳥をお勧めされる俺、何この状況意味不明だと思うんたが?
大国の姫に口を押さえられながら焼き鳥を勧められてるのはこの世界で俺だけだと思うんだが?
「奢りって本当ですか?!」
「あぁ食え食え! 王都セイクリッドからわざわざきてくれたんじゃろ? ここくらいは奢らせてもらう!」
上機嫌でビールを一気飲みする姫、俺はその光景を見ながら兵士の人大変なんだろうなぁと思いながら焼き鳥を食べた。
やっぱりネギマは美味いよね。
「ちょっと光義! いきなりお店に入ってどうしたのよ!」
入り口から聞こえた声は勇者パーティの1人、佐伯美穂のものだった。




