227話 お待ちのあなた
◇◇
「ん……! 疲れたな、座ってただけだけど」
「海だ! 海だよラミアちゃん!」
馬車旅は終わり今からは海上を移動する。
水上國リフィネアは完全に陸から隔離していて移動手段は船しか無い。
大型の魔導船に今から乗り込む最中だ。
「船酔いとか大丈夫でしょうか……」
「平気だろ、アルトは船乗ったことあるのか?」
「無いですよ! だから心配なんです……」
俺もこんなでかい船は初めて乗るけど大丈夫だろうか、どうしようアルトを見てきたら俺も不安になってきた……
「白魔法に酔いを治す魔法あるよ? 使う?」
「流石天使、やる事が神」
「流石鏡花さんです! やっぱり天使なんですね!」
「えぇ?! 急にどうしたの2人とも!」
分かりやすく動揺と照れる鏡花、実際酔いを治すとか日常生活で欲しい魔法ランキングベスト10位くらいにはランクインするくらいのだろ!
「あ、あのもしかしてSランク冒険者の【吸魂】様でしょうか……?」
突然兵士みたいな格好をした人に尋ねてきた。
この人は……船を守る警備の人かなにかなのかな?
「そうですけど……どうかしましたか?」
「お待ちしておりました。国にたどり着いたら使いを用意しますので王宮まで護衛します」
何それそんなの知らないんだけど?!
お待ちしておりました?王宮まで護衛?なんのことを話してるんだ……
『言ってなかったか、お前が6日後に攻略するSランクダンジョン【善良なる勇者眠りし墓】はこの国にある』
『……は?』
日本食食べたいとか理由で来たけど来るのは確定で少し予定が早まっただけだったのか……?
場所を知ってて言わないとかマジで性格終わって……あ、これも聞かれてんのか?
まぁいいや、バーカバーカ!
『後で"お話し合い"しような?』
『やめろ、静かに殺気を込めるのを今すぐにやめろ』
その後は特に問題なく船に乗り込みしばらくの間船の旅を楽しんだ。
そして待ちに待った瞬間がやってくる。
◇水上國リフィネア・地上街◇
船から見えていたが青で統一された城壁に中央に聳え立つ大きな城、見た目はファンタジーな王都の城とは少し違いどちらかと言うと日本の城に近い見た目をしている。
街中は所々日本にいるような感覚を覚える家があったり武器屋があったりと割とこの世界では異質とも言えるような街並み、マジで日本だ。
現代の建築ってより昔の方が近い、京都とかをファンタジーに改造したっぽいって言えばいいのかな?
とにかくテンションは右肩上がりになっている。
「見てみて蓮兎君! あれ焼き鳥だよ! 日本語で書いてあるよ!」
「ん? 本当だ日本語!」
この際に来た時に言語は全て理解、読めるようになっていたがこの世界初めての日本語に少し興奮気味だ。
てか焼き鳥の匂いとか久々に嗅いだぞ……
腹減ってきたな、まずは腹ごしらえか!
「お待ちしておりました【吸魂】様、王宮で姫がお待ちです」
「……そうだった忘れてた」
完全に街並みに興奮して頭から離れていたが俺は今王宮に招待されているんだったな、腹ごしらえとか言ってる場合じゃ無いよな……
この国に滞在するんだし遅れたらまずいよな……
「俺、鏡花、暴食で行くからお前らは自由にしててくれ、頼んだぞシルヴィア」
「ッチ、俺もかよ」
「お姫様……どうしよう緊張しちゃうよ!」
そう言いながらも兵士の護衛がつきながら王宮に向かった。
あっちはシルヴィアがいれば平気だろう。
アルトは実力はあるけど性格が難点だからな、何かあったとしてもシルヴィアが命令を出せば難なく切り抜けられる。
「早く謁見とか終わらせて飯食いたい……」
独り言を呟きながら長い長い王宮に向かう道を歩き続けた。




