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215話 馬鹿な罪と無知の勇者

この場は大罪と大罪のぶつかり合いと冒険者と怒り狂う死霊のぶつかり合いで場は混沌カオスな状況、この状況で急に敵が消え失せ場にさらなる混沌を生み出していた。

その混乱を作った張本人の憤怒ラースは再び始まった暴食グラフェルとの戯れ合いで忙しい、そんな場所で動いたのは色欲ヴィオラだ。

 

「はいは〜い注目〜! みんな落ち着いてね♡」

 

その一言で混沌は収まった。

 

「それ洗脳とかそんなのじゃないんですか?! 良いんですかそんなこと!」

「私の【色欲】に洗脳なんて効果は無い。……まぁ魅了ならあるけどね♡」

「は、はぁ……」

 

諦めたように鏡花は発言をやめ、顔を手で覆い隠してため息をした。

色欲ヴィオラの大罪になった時に貰い受けた固有スキル【色欲】、その効果の中に【魅了眼】の表記があるがそれを使ってこの混乱を沈めたのだろう。

もちろん支配や洗脳のような絶対的な力では無く対象の自身への好意を一気に上げるという効果なので元々何も感情がなければ意味は無さない。

だがわざとなのか趣味なのか今の色欲ヴィオラの服装は修道服の清楚なデザインでは無く胸元が大きく露出し憤怒ラースが恥じらいで顔を隠すほどに破廉恥、そんな服装をしている色欲ヴィオラに健全な男子……いや同性までも魅了する。

 

「流石に私の魅了にかからない人なんてこの場には──」

「どう言うことだ?! 急に敵が消えて……?!」

 

色欲ヴィオラの発言はすぐに撤回、1人……いやパーティ全体を含めて4人の例外が存在した。

悪魔達の扱う力に絶対なる耐性を持つ光の者、勇者だ。

 

「何で急に敵が……? ッ! その人……いやその悪魔は元凶ッ!」


光り輝く剣に金色や青で装飾された軽装、短い黒髪は日本人である証拠でもあった。

今更だがこの勇者達は日本から来た転生者、本来ならばこの世界で順調に旅を続けて魔王を倒し平和に帰還するなりこの世界で自由を謳歌する者。

だがそれは幸か不幸か魔王より遥かに上の存在である七つの大罪が動いている現時点ではその夢は叶わない。


「私が元凶? 私は断じて元凶では……! あるかもしれない」


勇者の言葉を否定しようとした憤怒ラースだが自分のやった行い、何者かに支配されてたとはいえ王都を襲撃したのには変わりない。

他の大罪ならば「私は悪くない。支配されてたから」と言い訳をしていたかもしれないが憤怒ラースの性格は嘘を嫌い誤魔化しもしない。

簡単に言えば馬鹿で正直、暴食グラフェル談だ。


「待て待て光義みつぎ、この悪魔ひとが敵なら味方であるはずの【ツクヨミ】が話している理由がわからない。何か事情があるんじゃないか?」

「理由……? だ、だが美穂みほ! こいつは王都を襲撃した張本人だぞ?! 敵を信用するのか?!」


光義と呼ばれた勇者を引き止めるのは美穂と呼ばれた刀を腰に収めた剣士、同じく黒い髪、勇者との違いは長さくらいだ。


「まともな人がいた……良かった……!」

「わ、私か?!」


鏡花はやっと話が伝わりそうな人が来て嬉しいのか美穂に近づき固い握手を交わす。

困惑しながらも美穂はその握手を受けた。


「それでこの状況は何なんだ? 私たちは雑兵を相手していたからあまり状況が分からないんだ」

「話の前に名乗れ! 私は七つの大罪序列3位、憤怒ラースだ!」

「そーだそーだ先に名乗れ〜! 俺は名乗らん!」


腕を組みながら何故か上から目線で勇者パーティに名乗れと言う憤怒ラースさん、それに何故か便乗……いや悪ノリでのってきた暴食グラフェルさんが同じことを言い出す。

あんまり言わない方がいいんだろうけど暴食グラフェルさんが隣にいると際立つ……

なんて言うか……憤怒ラースさんの胸元がね……?


「確かにそうだった……よし俺も名乗ろう! ほらみんなも話の前に名乗ろう!」


勇者パーティ……いや多分光義さんだけかもしれないけど憤怒ラースさんと同じくらいのお馬鹿さんなのかもしれない……

先行き不安だなぁ、でも話が通じそうな人がいて助かった!

ありがとう美穂さん!

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