202話 英雄の末路
朝食を軽く済ませてから私はギルド【ツクヨミ】のギルドハウスに案内されることになり暴食グラフェルさん、シルヴィアさん、アルトさんと一緒に向かうことにした。
◇ギルド【ツクヨミ】ギルドハウス◇
「おい元凶達が来たぞ!」
「あんたらのせいで私の息子が……!」
「俺の家はどうしてくれるんだ!」
ギルドハウスに着くと鳴り響くのは住民の怒号。
壊れたのは広い王都の1部、だかどその1部の中で傷ついた住民は死んだ研究者では無く蓮兎君に向く。
蓮兎君がいなければこんな災害は起きなかったのではないか、何故名指しされていたのか、何か関係があるのか?
など様々な身勝手な考察が広がり一夜にして王都の敵と蓮兎君はなってしまった。
それが飛び火して今私たちにも降りかかっている。
「でも蓮兎君がいなかったら──」
「だからどうした? お前らだけで亜天使達を屠れたか? 俺たちが倒してなかったら被害はさらに悪化していた。逆に感謝しろ、被害は最低限に抑えたからな」
私が反論する前に暴食グラフェルさんが言い、集まっていた民衆を無視して私たちを率いてくれた。
何この悪魔ひとかっこいい!
惚れちゃうのんなの……かっこいい女性って良いよね、私には無いからなのか憧れちゃうな。
「僕たち外出れなくないですか……?」
ギルドハウスに戻り扉を閉めた瞬間にアルトさんが恐怖に震えながら呟いた。
確かにこのまま【ツクヨミ】の批判が増えていけば私たちは外に出た瞬間に街全員の敵のなって外出、いや滞在自体が危ういかもしれない。
まだ正式にはギルドメンバーじゃ私は無いけど急に副マスターってことになったし……
急に責任重大でびっくりですよ。
「俺たちがいなかったらまず襲撃は始まって無い、これは間違いだ。強欲が手を貸したのは事実だが時間をかければ実現してたからな、時間が早まっただけだ」
それは正論だ。
でもそんなので納得する人がいったいこの王都に何人いるだろうか、早まってなかったら自分の子供は生きていたかもしれない、自分の家は無事だったかもしれない、そんな言葉は絶えず湧いてくる。
「しばらくは王都の機能は停止するだろうな、それまで耐えれば何とかなる。多分」
「ノープランですか……」
アルトさんはこれからくるであろう民衆からの罵詈雑言を想像したのか気分が悪そうだ。
でもその顔は絶望しきってはいない、余程仲間を信頼してるのだろうか、絶望の中にも希望が見える。
「その話は一旦置いといてだ。今更だがギルドマスターの蓮兎の代わりに宣言しよう。ギルド【ツクヨミ】にようこそ、俺たちは歓迎する」
「よ、よろしくお願いします! 僕のことは呼び捨てで構いません。副マスター!」
「私も呼び捨てで構わない、よろしく副マスター」
急に副マスターと言われて少し照れ臭いけど気分は明るくふわふわと浮いている。
あまり良く無い状況なのは分かっているけどこの世界に来て初めて出来た友達、蓮兎君とは元々友達だからノーカンね?
私は今日、今この瞬間からSランクギルド【ツクヨミ】の副マスターとして、1人の仲間として共に歩んでいくんだ。
そう考えたら胸が躍った。
ぶっちゃけると物凄く楽しみ、久しぶりの戦いとかで力を発揮できるか分からないけどそこは努力でカバーしていこう。頑張るぞ!
「まぁ初めは戦いに慣れてもらうけどな、オルグス大迷宮の時の戦い方は酷かった……」
「あんな経験無かったからだし! よ〜しもう勉強するぞ!」
「ギルド管理もよろしくな〜」
あれ、もしかして復活してすぐで知識が浅い状態での副マスターって普通に無理なんじゃ……?
い、いや頑張れ私!蓮兎君の代わりになれるように副マスターをこなすんだ私!
「えっとまずは……現状の戦力確認をしよう!」
皆でステータスを見せ合いお互いの弱点を補うために……ってのは建前でみんなのステータスを覗きたい……!
暴食さんとか絶対強いよ〜、シルヴィアちゃんも強そうかな?
アルト君は……どっちだろうか。




