花火見ようぜ(藍視点)
再び藍視点です!
「……は???? 手、繋いでる、よな……???」
人混みの中、翔太の後ろを歩きながら、俺の脳内は完全にパニックを起こして大爆破していた。
手のひらから伝わってくる、翔太の体温。
男の人の手って、こんなにゴツゴツしてて、大きくて、あったかいんだ。
さっき一瞬、翔太の胸に引き寄せられた時、心臓がドクンッ!!!って、本日最大級の不正脈を叩き出した。
もう不正脈とかのレベルじゃない。
心臓の中で爆弾が爆発したみたいな音がした。
「……あー、熱、上がってきたな、これ。絶対に風邪のウイルスが進化して新型になってるわ。早く救急車呼ばねぇと……」
自分の頬がマグマを通り越して太陽の表面温度くらい熱くなっているのを感じながら、必死に脳内で言い訳を探す。
じゃないと、翔太の広い背中を見つめてるだけで、涙が出そうになる理由が分からないからだ。
「おい、藍、足、大丈夫か? 下駄、痛くねぇ?」
翔太が少しスピードを落として、気遣うように振り返る。
その、いつもの優しい目が、やけにまぶしくて、胸の奥がギューーーッと締め付けられた。
「だ、大丈夫だし! 俺を誰だと思ってんだよ、これくらい余裕――」
強がって一歩踏み出した瞬間、
カキッ、と下駄の歯が小石に引っかかった。
「うわっと――!?」
バランスを崩して、今度は完全に顔面から翔太の胸板に突っ込む形になった。
「おっと、危ねぇ!」
翔太が両腕で、俺の腰をガシッと受け止める。
「……っ」
近い。保健室の時より、もっと近い。
お互いの鼻先が触れそうなくらいの距離で、翔太の黒い瞳が、まっすぐに俺を見つめていた。
周囲の屋台の灯りや、ざわざわした雑音が、一瞬で遠くへ消え去っていく。
「……藍」
翔太の声が、やけに低くて、甘くて、耳の奥をゾワゾワと震わせた。
「あのさ、お前、本気で言ったの?」
「え、な、にが……?」
「保健室で、俺ならいいって言ったやつ。……お前がどれだけ鈍感でも、俺、もう我慢できねぇんだけど」
手首を掴む翔太の力に、ぎゅっと男らしい強さがこもる。
(――ドォォォォォン!!!!!)
その瞬間、夜空に大きな音が響き渡り、大輪の花火が俺たちの頭上を鮮やかな金色に染め上げた。
光に照らされた翔太の顔は、いつもの冷静な幼馴染の顔じゃなくて、完全に獲物を狙う『狼』の目をしていた。
「っ……、あ……」
風邪のせいじゃない。不正脈でもない。
俺は、翔太のこの目に、完全に身体の自由を奪われていた。
作者もバグってます
次は翔太っすよ!




