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49. 王都のお茶会

ログインができず、投稿が遅れてしまいました。

お待たせして申し訳ございません。


 王宮の副料理長が訪れてから、二日後。

 私は王都にあるアルティス侯爵家のお茶会に招かれていた。


 お招きくださったのは、アルティス侯爵夫人レティシア様と、侯爵の母君であるマチルダ叔母様だ。


 「お招きいただきありがとうございます」


 「お会いできて嬉しいですわ」


 「よく来てくださったわね」


 レティシア様とマチルダ叔母様は私を温かく迎えてくださり、他の招待客の皆様へ紹介してくださった。


 「皆様、ブラッドレイ辺境伯夫人がいらっしゃいましてよ」


 マチルダ叔母様の言葉に、すでに席についていたご婦人方が一斉にこちらを向いた。ほとんどが私より年上の方だ。


 「まあ、あの方が辺境伯夫人?」


 「想像していたより随分可愛らしい方ね」


 口々に話す声が聞こえて、私は気後れしそうになったけれど、どうにか笑顔を作って皆様にご挨拶をした。


 「ア、アンジェリーナ・ブラッドレイです。よろしくお願いいたします」


 「まあ、初々しいこと」


 私のぎこちない挨拶に、皆様はにっこり笑って私を見た。

 私がこういった場に慣れていないことを、皆様お見通しのようで、ますます恥ずかしくなる。


 すると、奥の席に座っていた、緑色のドレスを着たふくよかなご婦人が突然立ち上がり、私の方へ歩いてきた。


 「ブラッドレイ辺境伯夫人」


 「は、はいっ!?」


 私と背丈が近いその方に声をかけられ、私は思わず背筋を伸ばした。


 次の瞬間、ご婦人がガシッとわたしの両手を力強く握った。


 「まあ~!あなたが辺境伯夫人ですの!?お会いできて嬉しいですわ!」


 満面の笑みを浮かべてそう言いながら、ご婦人は握った私の手を上下に振った。


 「あ、あの……?」


 「ああ、失礼いたしました。私はヴィクトリア・ダンヴェルと申します」


 私の手を離したご婦人が名乗ったお名前に私は驚いた。

 ダンヴェルですって!

 

 「もしや、ダンヴェル伯爵夫人でいらっしゃいますか?」


 「ええ!先日は素敵な贈り物をどうもありがとう!」


 ダンヴェル伯爵夫人は嬉しそうに頷いた。


 「いただいた甘味ですが、家族で取り合いになるほど夢中になって……あっという間になくなってしまったわ」


 「まあ。そんなにお気に召してもらえて嬉しいです」


 私たちの会話に、他のご婦人方も興味深げに身を乗り出された。


 「あら。あなた、話題の甘味を贈られていたのね」


 「うらやましいこと」


 「隣の領地の特権でしてよ」


 ご婦人方の言葉に、ダンヴェル伯爵夫人は得意げに鼻を鳴らした。


 「辺境伯夫人から、お土産に話題の甘味を頂いていますの。皆様でいただきましょう」


 レティシア様がそうおっしゃると、ご婦人方から嬉しそうな声があがり、私も案内された席に座った。

 やがて、テーブルに赤豆のペーストを使ったお菓子が運ばれてくる。


 私の隣にはレティシア様が座っていらした。

 レティシア様は、銀の髪と青い瞳が印象的な美しい方だ。


 「ようやくお会いできましたね。アンジェリーナ様」


 思わず見惚れるような微笑を浮かべてレティシア様がおっしゃった。


 「私もお会いできて光栄です。……あの、体調はもうよろしいのですか?」


 レティシア様は数ヶ月前に第二子をご出産されたばかりだ。

 もうお茶会に出られるほど回復されたのかしら。

 そう思って尋ねると、レティシア様はにっこり笑って頷かれた。


 「ご心配ありがとう。屋敷の者の助けもありますし、お茶会にも出られる体調に戻りましたわ。よろしければ、後ほど子供たちにもお会いしていただけますか?」


 「ええ!もちろんです!」


 その後は、ご婦人方に赤豆のペーストについて質問されたり、社交界に出る際のアドバイスなどをいただいているうちに、お茶会はお開きになった。


 他の皆様が帰られた後、私はレティシア様のお子様に会わせていただいた。


 三歳になるご子息と、生後数ヶ月のご息女は、お二人ともレティシア様の髪色とアルティス侯爵の瞳の色を受け継いだ、可愛らしいお子様たちだった。


 特にご子息はとても人懐こく、見様見真似で私をエスコートしようとしてくださるのが微笑ましかった。

 赤豆のペーストもとても気に入ってくれているそうで、たどたどしい言葉でお礼を言うのが可愛らしかった。


 「アンしゃま、またきてね」


 帰り際、少しはにかみながら手を振ってくださったご子息の姿を思い出し、私は温かな気分で別邸へ戻った。



 「おかえりなさいませ」


 帰宅した私をステファンとメイサが迎えた。


 「ええ。留守をありがとう。何か変わったことはなかった?」


 そう尋ねると、二人の顔が僅かに曇った。


 「実は、奥様がお留守の時に、来訪者がございました」


 「まあ。どなたかしら?」


 「フェルナー伯爵です」


 その言葉に、私は息を呑んだ。



次回更新は10月27日(火)20時です。

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