起承転結の起 ー4
ダンジョンに入ったが、ばらばらになってしまった四人。
力技で壁をぶち壊し、ライラと合流したのち絶体絶命だったシロハとも無事合流した。
残るは戦闘力の低いツワシのみ
次のフロアに行くと、桟橋と小さなボートがぽつり
「……次はなんだろうね、水系の魔物とかでそう」
「調べてみます」
ライラは二人の前に出ると、目を閉じて片手を目の前にかざした。
「空間調査」
このフロアの脅威を調べている後ろでおしゃべりしだす双子
「ライラはサポート系術士なんだねえ」
「お前使えないの?」
「うーん、自分のためになるものじゃないと覚える気にならなぁい」
そうだろうな。とクロハが相槌を打ったところでライラは二人のほうに振り返った。
「魔物がいた残粒子はありますが、どうやら誰かが殲滅したあとのようです」
「そういえば、私たちより先に誰か入ってたね」
「あー……。もう面倒だから、とっととボス倒してくれないかな」
三人は小船にのり、次のフロアへと漕いでいく。
なんのイベントもなく次のフロアにいくと、なにやら誰かが怒り心頭のようで金切り声を上げて叫んでいるのが聞こえた。
地上に上陸し、声のほうまで歩いていくと、双子は「うげー……」と嫌そうな顔を見せる。
きゃんきゃん吠えているのは、濃紺と桃色のツートンカラーのツインテール、黒いレースやひらひらがやたら強そうに見えるブラウス、血のように真っ赤なリボンがついた濃紺のショート丈ワンピース。分厚いブーツを履いた個性強めの女性だった。
「お知合いですか?」
「たまーにうちの町からよその町に野菜出荷しにいくんだけど、その街にすんでる頭おかしー女」
「一方的に絡んでくんの『あんたたちといると、ツーくんが腐るでしょ!』って。頭おかしーの」
「ツー君……って、あそこにいるのは!」
そのおんなの前で倒れているのはまさしくツー君ならぬツワシ。
そしてツワシと女の前に立っている……立っている? のは謎の生物だった。
「何あれ、きもいな」
いつもうっすら笑いを浮かべているシロハですら真顔になる謎生物
人間の二倍のサイズのあるヒトデみたいなもの。
さらにその背中にイソギンチャクみたいなものがくっついている。
「あれは……水系魔獣シースターガイですね。ただ……あんなに筋肉隆々なのは初めて見ました」
「水系って陸上にいたら干からびるんじゃないの?」
あふれんばかりの筋肉を見せびらかすように、メンヘラ女が何か言うたびに「んぬッ」と鳴き声を発してポージングしている。
「どきなさいよ、私がツー君のそばにいるんだから。どきなさいって」
女の右手がどす黒く靄に包まれると、そこから人型のお札を何枚も取り出し、自身の血を浴びせると、それらは大きな鬼となり現れた。
「いってるでしょう!」
彼女が手で指示すると、鬼はシースターガイを攻撃する。はたから見るとリンチだ。
しかし、耐えのポージングでピクリとも動かない魔獣には一切の攻撃が通っていない。
「シースターガイの防御力は魔獣の中でも高いですからね」
「へー」
「あ、あんたたち」
女と目があうと、女は迷わず鬼をこちらに差し向けてきた。
「ツー君を危険な目にあわせたわね! 死になさいよ!!」
「ええ?!」
「ね、頭おかしいでしょ」
クロハはモーニングスターを取り出すと、慣れた様子で襲い掛かってきたすべての鬼を左右にぶっ飛ばした。一撃も与えることもできずに壁に衝突し、大ダメージをおった鬼はもとの紙切れとなり地面にひらりと落ちた。
「きぃーっ! この野蛮人」
「どの口が」
「おまいう」
双子と女が罵り合っていると、ツワシの目が覚めたようで。少し苦しそうな声を出しながら起き上がった。
その様子をみてライラが心配の声をかけたが、それが女の癪に障ったらしい。
「よかった御無事で」
「ちょっと、あんた誰? あたしのツー君に馴れ馴れしいわね」
「え、私は……」
「死ねよ!」
左手から黒い靄を出すと、今度は黒い大きな蛇を召喚した。
それはぎろりとライラをみると大きな口を開けて襲い掛かる。
「防御展開」
「おいツワシ。お前のストーカーどうにかしろよ」
遠くからライラを守るべく魔法を展開するシロハと、ことの原因であるツワシを責めるクロハ。
意識をもどしたばかりでまだぽやぽやしていたツワシは、ヘラメルをみてぎょっとした。
「ほえ? あ、みんな……え?! え、ヘラメルさん。どうしてここに」
「さん。だなんて、いつもいってるじゃない。ヘラメルって呼んで♡」
身をくねらせながら照れているヘラメル。
「何言ってんだあのおばさん」
「誰がおばさんじゃっ。あの馬鹿どもを始末できるように、レベル上げしてたの。ついでに不幸になる呪いの練習も」
「無駄に難易度あがったのおばさんのせいだったのかー」
蛇の攻撃をカウンターで押し返し、モーニングスターで撃破する。そして次の手を出そうとしていたヘラメルの動作で隙が生まれたのを見逃さず、シロハは遠距離魔法攻撃でツワシとヘラメルの距離を開けた。ライラはおずおずとツワシに声をかけた。
「ツワシさん、お怪我は」
「気分は悪いけど、怪我はないよ。ところで……だれ」
シースターガイのほうをみると「んぬ、んんんんぬっんぬぬ」となきながらポージング
「え、あ、そうなんだ」
「召喚士でしたね。彼……? はなんと?」
「えっと」
少し恥ずかしそうにしながら翻訳した。
「海底の底より、強く気高く美しく鍛え上げし我が身、さらなる強敵と対峙し、最強健美なる自身を高めるため修行にきた」
「んぬぬん」
「そしたら助けを求める声がしたから助けたって。あ、ありがとう」
ツワシと魔獣の対談を遠くで見ながら双子はひそひそ会話する。
「あの魔獣、いちいちポーズ決めないと駄目な生態してんの?」
「自分の筋肉自慢したいんじゃない?」
キレッキレのポーズを魅せていたシースターガイは、最後にピタッと決めポーズをしてとまった。
「んぬ!」
ツワシに向かって手を差し出すシースターガイ
「え、いいの?」
「なにが?」
嬉しそうな顔をみせるツワシにシロハが首をかしげると、少し興奮気味にツワシは「相棒になってくれるって」と報告したが、聞いておいて興味なさそうに「ふーん」と返すシロハ。
「じゃあ、えーとそうだな、名前は……『マッチズモ』よろしくね!」
「ズモ」
「そんな鳴き声だったっけ?!」
ふたりの間に光の祝福がなされ、絆が結ばれた。
「んぬっ」
「え、あ、いやあの人は邪悪な魔女じゃないよ。一応。邪悪ではあるけど」
「一言余計なんだよなアイツ」
「本人には聞こえてないからいいんじゃない?」
双子にいまだなお攻撃を仕掛けてくるヘラメルに少しうんざりしてきたシロハは杖を高く持ち上げる。
「もーめんどくさいからやっちゃう」
それをみてツワシのそばにいたライラを抱き上げて、シロハのすぐそばにかがむクロハ。それを見ても察しが悪くきょとんとしているツワシ。
「煌めき星」
突如杖から放たれる強い光の粒子。
それは天井を跳ね返り、あちらこちらに飛び回り当たったものを光で焼き尽くしていく。
「きゃあああ、目が、目がぁああ」
発光を直視したヘラメルはそのまま目を抑えたまま後方へとよろめき、船の尖頭にぶつかり水の中に落ちていった。
きらきらぱちぱち
いまだ止まらない閃光と爆音にライラは目を細めながら声をかける。
「シロハさーん、これいつ終わるんですか」
「んー10分から30分?」
「と、止められないんですかーッ」
思ったより長い。
必死で懇願するライラのほうを見るシロハの顔はとても清々しい顔をしていた。
「うん、無理」
クロハはライラとシロハを抱きかかえ、器用に閃光弾をよけながら次のフロアへと走り出す。
「ツワシ、次いくよーって。うわッきもッ」
「うわっ、シースターガイってそんな動きできんのか、びびった」
ツワシをお姫様だっこしたシースターガイ改めマッチズム。
方々から飛んでくる閃光を背中の触手で撃ち落としたり、触手を束にして傘のような形にして防いだり、防御力が考えているより高いようだ。
ただなんか走り方が、いやなんか、すべてがそこはかとなくキモイ。
「しかも足も速いのかよ」
「シースターガイは本来争いを好まない海底でじっとしている魔獣で、敵が来ると硬い身体で耐え、隙ができたら高速で逃げる、というのが基本ですから」
「ぬんっ」
ライラの説明に何か言いたげにマッチズムは声をあげた。
「自分は腑抜けた仲間とは違うっていってる」
「ねーえ、なんかやだ。もふたんにもどしてよぉ」
生理的に拒絶反応がつよいらしいシロハは嫌々と首を横に振った。
「ダンジョンにいる間はマッチズムといるつもりだよ、誰かさんと違って守ってくれるし」
「やっちゃえシスター」
「今は無理」
煌めき星をかいくぐり、次のフロアにたどり着く。
先ほどの爆音とは違い、静まり返ったフロアに四人は一息つき、ふと上を見上げた。
「……なんか、すごーく禍々しい扉だね」
殺意高めの装飾がされた、天井にまである扉からはすごい圧を感じる。
クロハに抱えられたままのライラは興奮気味に手をパチパチと鳴らした。
「ボス戦前の扉です。やっとたどり着けましたね」
「倒せるかな……自信ないんだけど。ここから帰る道とか、ない?」
ツワシは弱気な声をだし、帰り道を探すが、このフロアには目の前にある扉しかない。もちろん帰るためのアイテムなんぞ持っているはずもなく
クロハは足で扉を蹴破る。
「いや、まってえ?! ココロの準備させて?!」
ツワシの叫びもむなしく、クロハはお構いなく入っていく。
そして目の前に立ちふさがるソレは町でみた巨大な魔モノだった。
「ギガンデス……魔法攻撃はありませんが、そのパワーは桁違いですから、みなさん掴まれないよう気を付けてください」
バリバリと何かを食べていたギガンテスは、突然現れた来訪者に不快感を覚えたようで、憤怒の雄たけびを上げながら立ち上がった。
その手にもつ巨大な白い何かの骨を振り回し、一掃しようとしたようだが、クロハは後方に下がり攻撃をよけ、抱えていた二人を下ろす。
「ほげええ」
一方ツワシはマッチズムに後ろに放り投げられ転げていた。
「いてて、はっ……マッチズム!」
「んぬ」
耐えのポージングで巨人の攻撃をその身で受け止める。が、勢いを殺せずそのまま回転しながら飛んでいき、岩だらけの天井に突き刺さる。
「きゃははは、ホームラ~ン」
「笑うなんてひどい、性格悪すぎだよシロハ! あぁ~マッチズム~大丈夫かなあ」
どすんどすんと足を鳴らしながら突進してくるギガンテス。
シロハは杖を構えクロハと敵にそれぞれ魔法を放つ。
「超強化付与、超弱体化付与」
突進してきた敵にクロハはモーニングスターをぶん回し、力技でぶっ飛ばした。
しかし、後ろに倒れ尻もちついただけでダメージは通っていない。
クロハは首を傾げた。
「あれ、もしかして、私って弱い?」
「いえ、普通はギガンデスと力勝負で勝てませんからね?」
ツワシは何かを思いついたように言った。
「シロハ、あれは? さっき使った技! 高威力爆発魔法だったら倒せるんじゃないの」
「……」
「ちょ、え、シロハ? おーい、ねえってば、さっきの技使ってよ、ねえ」
まるで聞こえてないかのように無視するシロハのかわりにクロハが答える。
「あれ、一日一回」
「なんでムダうちするのさーッ! てかオリジナル技なのにそんな限定的なの?!」
「うるさいなぁ! 呪文じゃなくて術式タイプだから自動でも組むのに半日かかるのッ!」
二人が無様にきゃんきゃん吠えているとギガンデスは立ち上がる、そして近くにあった大岩をぶん投げてきた。わめいていた二人仲良く飛び上がってびっくりしたあと、あわあわと回避行動に移る。
一つだけでなく、そのあとを猛追するように岩をどんどんぶん投げてくるギガンテス。
「うぎゃああ!? ライラあのゆっくりする女神の魔法はーッ」
「ごめんなさいーッ」
防御展開しながら叫ぶシロハに、頭を抱えながら近場の岩の後ろに退避するライラは「同じく一日一回限定です」と返した。
そんな二人にツワシは「他になんかないのー?!」と発言すると、二人は首を横に振った。
「シロハ魔法使いなんだからなんかあるでしょッ」
「私の攻撃魔法対象広範囲ばっかりだから、ああいう耐久力高い系に撃っても魔力もったいないもん」
「もったいぶってる場合かッ」
岩がどんどん地面をえぐっていく。直撃こそしていないが、振動が荒々しく次の行動に響きそうだ。
「シスターどうにかしてー」
「ういーっす」
シロハの懇願を聞き、特によけることなく仁王立ちしていたクロハは軽い返事をして走り出した。
岩を回避しながらギガンデスとの距離をつめ、モーニングスターでがら空きのその足を突く。
すると雄たけびを上げながら、まるで箪笥の角に足をぶつけた時のようなリアクションでもだえるギガンテス。
ツワシは同情的な目を向けながら「痛いんだよねえアレ」と呟く。
「基本物理攻撃『複数打撃』そいそいそいそいそーいぅおらあ」
パワースキルを上乗せしてこれでもかと打撃を与えると、やっとダメージが通り、ヒビが入った音が響いた。一点に猛攻撃を受け降参したようにうめき声をあげたギガンテスは逃げ出した。
「ここで死んでいけ」
モーニングスターを天高く持ち上げると、殺意高い棘のついた鉄球が真っ赤に熱していき、マグマのように揺らめいだ。
「血飛沫欲して輝け明星」
モーニングスターの球体部分が天井へと空高く飛んで行ったと思ったら、こんどはそれはメラメラと加速しながらもどってきた。どんどんおおきくなっていくそれはもはや隕石
「悔い改めよ『懲罰ノ光輪』」
それは迷うことなくギガンテスに向かい、直撃した。
「わお」
シロハの間抜けな声と同時に、ものすごい余波がその場にいた全員を襲う。
すると、もろくなった天井が崩れ落ち、油断していたシロハの上に落下した。
「ほわああッ」
とっさのことで対処が遅れたシロハは身を小さくして衝撃に備えたが、いつまでたっても重みを感じず、そろり……と目をあけると、マッチズムが天井を受け止めていた。
先ほどの衝撃で天井から抜けられたらしい。
「ず、ズム~」
「まーた名前を勝手に変えてるし」
「うるさいな、なーんもしてない無能は黙っててよ」
「ひどいッ」
天井をよこに押しのけたマッチズムは紳士的に、しゃがみこんだシロハに手(?)を差し出した。
「いいやつだね、きもいけど」
そういいながらその手を取ろうとしたシロハだが、あることに気づく。
ごつごつとしたややひらべったい体から続いている手に当たる部分の先っちょから、五本指の代わりと言わんばかりにウニョウニョと揺らめく触手。
「無理」
炎でその身を一瞬で炙る。
恩を仇で返した後、何事もなかったようにシロハは立ち上がりクロハのほうに歩いていく。
「マッチズムーーーーーー!!」
クロハは悲鳴を聞いて後ろをみる
「何してんの」
「ちょっと生理的に無理だった。てへ」
ギガンテスだったものは小さなホコリのようにチリとなってきえていった。
すると目の前に魔法陣が現れる。
「これ触れば帰れるのか」
「あ、みてみて、あれ。たっからばっこ~。魔石もみーっけ、ちっせ」
シロハの指差すほうをみると宝箱が出現していた。
その横に落ちている小さな魔石もすかさず見つけ回収に行く。
「もらっちゃおーっと」
るんるんで開けにいくシスターについていこうとしていたが、さっきから背後がうるさいのでそちらを見るクロハ。
燃やされて煙を上げているマッチズムに号泣しながらくっついているツワシが見えた。
「シスター。何級魔法つかったの」
「えー? 無意識で放ったから……中級かなあ」
ぱかっと宝箱を開けている。
誰かを待とうという考えはないらしい、箱の中身に興味もなかったのでマッチズムのほうへいくとライラがすでに近くにいて声をかけていた。
「私が治します。ただ、魔獣を治したことはないのでうまくいくかわからないのですが」
「お願いします先生、うちのこを、うちの子を助けてぇ」
「先生じゃなくて聖女だろ」
錯乱しているツワシを押しのけ、ライラの横に立つ。
「……なんで、ナイフもってんの」
「今から治癒をかけますが……私、ほかの聖女と違う方法でしか癒せないんです」
ツワシとクロハは顔を合わせて首を傾げた。
「引かないでくださいね」
そういった後、手の平をナイフで思いっきり切り裂き、その血をマッチズムに浴びせた。
きゃーっと絹を引き裂く悲鳴をあげたツワシの首を握って黙らせながらクロハは静かにその様子を見守る。
血でぬれた手で祈りのポーズをとると、黄金の光がマッチズムの全身を包み、やけどを負っていたその体がみるみる元通りになっていった。
光がきえると、マッチズムは「ぬん」と元気よく立ち上がり、サイドチェストポーズを魅せた。
ぴくぴくと筋肉も喜んでいる。しらんけど。
「わああああ、ライラありがとうー。相棒の命の恩人だよお。血をかけて回復ってちょっと怖すぎだけど本当ありがとうー」
「お望みならこいつぶちのめすけど」
「い、いえ。大丈夫です」
ツワシがよけいな一言を言ったので首を締めあげられていると、るんるんとしながらシロハがやってきた。
「魔法のローブだったからもらうねー。ちょうど穴あいちゃったとこだったからラッキー」
「ごほごほ、シロハはマッチズムに謝れよッげほ」
ツワシが正論を言うと、シロハはマッチズムのほうを見た。
「あれ、治ってる。ライラの女神の治癒ってやつー? よかったね。ごめんごめん」
「そりゃそんなんじゃ一生召喚士にはなれないよね」
「さ、さあ。喧嘩しないで、ここからでましょう」
魔法陣に触れると目の前の景色が切り替わった。
どうやらダンジョンに入る前の扉の目の前に立っているようだ。
「なんか、どっと疲れた」
「ディーのところにもどろう」
四人はディーのいる休憩場所までもどると、タオルで頭をふいているディーの姿が見えた。
こちらをみるなり、砂時計をだし鼻で嗤った。
「初級ダンジョンで2時間半もかけたの?」
「いろいろあったのよ……本当に、いろいろ」
ライラのしみじみとした声と遠い目に不思議そうにしていたが、シースターガイを見て一瞬だけびくりと体を揺らした。
「びっくりした。そんな筋肉隆々のシースターガイをはじめてみた」
「普通のシースターガイを見たことアンの?」
「あるよ。海辺のエリアいくと浅瀬で日向ぼっこしてるときあるし」
「きもちわるそうな絵面」
シロハの真顔に否定はしないディー
ツワシはマッチズムの腕らへんをぽんぽんと叩いた。
「今回はありがとう、異界でゆっくり休んでて」
「んぬ」
マッチズムの姿が消え、かわりに現れたのはラムダ。
心配そうな顔でツワシに抱き着き、短い両手でぺちぺちと頬を叩く。
「心配させてごめんよ~」
「さてと、初めてのダンジョンどうだった?」
ディーは魔法でぬれた頭を乾かしながら感想を聞いてきたが、そんなことよりも気になったのかシロハが彼に問う。
「なんでぬれてんの」
「待ってる間にお風呂はいってた」
滝のほうを見る双子。
「行水?」
「まさか、俺はお坊ちゃんだよ」
自分で言うんだ。というツワシの小声を無視して、ディーは指を鳴らすと猫足のバスタブが出てきた。
「水と火の魔法を絶妙にコントロールしてお湯をうみだすんだよ。コツいるけど慣れたらできんじゃない?」
ツワシはちらっとシロハを見た。
「できるの?」
「普通は一つの属性しか発生させられないのに、できるわけないじゃん」
「なーんだ、自分は天才だって言ってたけど、やっぱり自称だったんだ」
ヘラヘラしていたツワシの髪の毛は次の瞬間氷に閉ざされた。
「わーっ冷たいっ僕の頭がーーーー」
「何故いつも余計なことを言うのか」
クロハの言葉に苦笑いを浮かべながらライラも同意の意味を込めて静かに頷いた
ふとクロハはツワシから何かがこぼれたのを見つけ拾い上げる。
「宝石?」
ツワシに声をかけたがシロハとぎゃあぎゃあ言い合っていて聞こえていないようだ。
後で渡せばいいか、と収納空間に放り投げる。
「発動に二つの属性を生み出すんじゃなくて、魔法を発動する前に組み込むんだよ」
頭を乾かし終えたディーが説明を再開する。
「炎つかったあとに氷魔法を使う感覚の違いはわかるよね。わからないと話にならないんだけど」
「それぐらいわかるよ、温度違うし」
((温度……???))
攻撃魔法を使えないクロハとツワシは頭の中に?をいっぱい浮かべた
「じゃあ炎の魔法を繰り出す直前の熱を待機させたまま水魔法を発動するんだ。魔法を混ぜ合わせるイメージをしたらできやすいかも」
「むむむ……」
シロハは杖を構え試してみるが……小さな火がぽっぽっぽと小刻みにででいる。
それを見てツワシがぽつり
「すかしっぺみたい」
ぶっしゃあーっっとツワシは強烈な水圧に流されていった。
「余計なこと言うから……」
ディーにも呆れられるツワシであった。
ちょこっとどうでもいい補足、略して ちょこどー
懲罰ノ光輪 は魔法ではなく、武器に付属された固定スキル。
一日一回限定。




