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BA  作者: ボトムズ
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2/3

弁天堂

 翌日、僕の夢を叶えんために弁天堂本社にやって来た。


 受付に自分の名前を伝えると。


 「話は伺っております。担当の者を呼びますのしばらくおまちください。」

 

 20代の若い女性社員が電話を取って、担当の者を呼び出した。


 どうやらあのメールは正真正銘本物だったらしい。疑いが晴れ、期待に胸を膨らませる。


 


 しばらくすると担当のものが現れ、客人を招くであろう応接室につれていかれた。

 待っていたのはスーツに身をつつんだ、どこにでもいる普通の男性だ。


 「お待ちしておりました。山口隆様。」


 そう言って、名刺を渡された。

 "浜島光明”という名前が書かれている。


 「お忙しい所わざわざ足を運んでいただき、ありがとうございます。」


 僕のことを知っているなら、暇なのわかってるくせに。心の中でつっこむ。


 挨拶や交通費うんぬんは手短に済ませ、本題にうつる。


 「只今我が社開発しているバーチャルアドベンチャーについては、先日のメールでもお伝えした

  と思います。」


 浜島さんは神妙な顔つきできりだした。

 

 そのメールの内容とは、バーチャルアドベンチャーを開発したはいいが、テストプレイ中にログアウ トできなくなり、そのテストプレイヤーをゲームの中に入って助け出してほしいということだった。

 本来なら自分たちで解決しなければならないことだ。

 しかし、どんなバグが発生したか知らないが、 外からの干渉を一切拒絶する。さらに、ゲームの中 に入って救出を試みたが、難易度が高すぎて満足に調べることができない。みたいな内容だった。


 メールの内容を思い出し、状況を整理できた僕の様子を見て、浜島さんは話しを続けた。

 

 「このゲームはテスト段階であったため、バグの修正などがされていなかったのもあって、

  何かが原因で普通の人がクリアできないような難易度にされてしっまたのです。」


 難易度か・・いったいどれくらのものなのだろう、スライムがラスボスなみに強いとかだったらさすがにクリアで きないが。

 っていうか、どういう種類のゲームなんだろう。聞いてみよう。


 話の途中でこちらから話題を振るのは、少々失礼だが、一応客人という立場なので許されないことではない。

 

 「話の途中で悪いんですが、一つ伺ってもよろしいでしょうか」


 すると、浜島さんは少し関心したような顔をした。 僕みたいな人間は社会常識が欠如してそうな人間が、物腰低 く、なお且つちゃんとした言葉使いができるからであろうと思われる。

 まったくどいつもこいつも職業や趣味で人を判断しおって。と心のなかで負け犬のように遠吠えてみる。

 

 「どういった種類のゲーム何でしょうか」

 

  単刀直入に聞いてみた。

  別に今聞かなくても、追々説明されることだろうと思ったが、どうしても今知りたい。


 「それにつきましては、4つのシナリオが用意されています。」


 「アクションホラーゲーム、恋愛シミュレーション、女性用恋愛シミュレーション、ファンタジー風RPGの4つの  シナリオです。」


 なるほど、アクション、ギャルゲー、乙ゲー、ファンタジーってことね。


 「今回はあくまで、BAのハードウェアのテストということで、ゲームの内容に関しては、簡単なものを組み込んだ

  だけとなっております。」


 つまり、BAの動作確認がしたいから、ゲームの内容に関しては、適当だということだろう。

 それにしても、アクションとファンタジーは分かるとして、どうしても疑問な点がひとつある。


 「アクションホラーゲームとファンタジーは分かるとして、なぜ恋愛シミュレーションが女性用と男性用で二つも  作られているのですか」


 いくら適当とはいえど、同じジャンルのゲームを組み込むには理由があるはず。


 「それにはふたつ理由があります。

  一つ目は、BAでの性別互換機能のテストを兼ねること。つまり、女性にも男性にもなることが

  できる機能のテストをが目的です。」

 

 それって、恋愛シミュレーションでなくてもいいのではないだろうか。

 まあ、細かいはよくわからないので、何ともいえないが。


 「そして二つ目の理由が・・・愛ですよ」


  え??

  今までの浜島さんとは何が違う。

  身を乗り出し、目が輝いている。

  まるで、自分の大好物をみつけたかのように。


 「そう、この世で最も素晴らしい感情とは愛。ギャルゲーや乙ゲーとは

  まさにそれ。そして・・・・・・・・・」


  僕はあまりの豹変ぶりにあっけにとられてしまった。

  スイッチがはいったように、恋愛シミュレーションについて熱く語り出す浜島さん。

  現実主義な人かと思っていたが、意外と理想主義者なんだな。


  この後ギャルゲー論だが、恋愛論だが知らないが、くだらない話に10分ほど付き合わされた。

  結局の所、ギャルゲーと乙ゲーを組み込んだ理由は、ただ自分が好きだからという理由が大半だということが分  かった。適当だな。



 「すみません。恋愛シミュレーションになると自分の世界にはいりこんでしまうもので。」


  どうやら我に返ったらしい。先ほどのように落ち着きを取り戻している。

  よほど、好きなんだろうな。


  

  この後元の緊迫した表情に戻り、今に至る経緯やらゲームの内容についての説明を受けた。

  どうやらこの事件は今の所、公にされていないらしい。

  人の命に関わるようなゲームを作ったとなれば、責任を追及され、ゆくゆくは倒産するだろう。

  すると、何万という従業員が路頭にまようことになる。

  

  事故を隠すために、ゲームをクリアしてほしいとのことだった。

  

  

  



 「この度はわざわざ足を運んでいただき誠にありがとうございます。

  今回の事件は全て私の責任です。あなたの腕を見込んでのお願いです。

  どうか、部下を助けてやってください。」


  浜島さんは、深く礼をした。

  16才の少年に命を賭が掛かるようなゲームを依頼する。常識ではとても考えられない。

  もし、死ぬようなことがあれば、家族はなんて言うだろう。

  まあ、僕なんかいなくなったって悲しみはしないだろう。

  どうせいらない命なんだ、人を助けて死ぬようなら、立派なもんだろう。


 「もちろん、そのために来たんですから。」


  浜島さんは、顔を上げた。


 「ありがとうございます。本当にありがとうございます。」

 

 心からの感謝に思えた。

  


 


  

  

 

 


 


 


 

 

 


 

 





 


 

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