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黄色のパンプス。
過呼吸気味のデボラを落ち着かせようと、アルバンは客間のベッドに座らせて、手を取って背中をさする。あの男に握りこまれた右手首が、真っ赤になっている。
「デボラ…。大丈夫だよ?息をゆっくり吐いてごらん。」
「……」
いつもと違う装いと濃いめの化粧。視線は…僕を映さない。足元を見ている。
黄色の、趣味の悪いパンプス。
呼吸が落ち着いたデボラの足元にしゃがみ込んで、その靴を脱がせる。小指と親指の付け根が赤くなっている。叩きつけたい衝動にかられたが…大きな音はデボラが嫌がるかも、そう思って、そっとごみ箱に捨てる。
デボラの両手を取って…顔を見上げるが…視線を合わせようとしない。まるで何にも見えていないみたいだ。
「デボラ?僕は待つよ?ね?ゆっくりでいいからね。」
冷えたデボラの手をさすりながら、僕はそう何度も言った。




