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お祝い。

珍しくデボラが悩んでいるようだ。

いつもと何ら変わらない表情だが、なんとなく、わかるようになってきた。


アンジェリーヌは届いていた封筒を開いてから微動だにしないデボラに声をかけた。

「どうしたの?デボラ?」

「あ…おば様…」


デボラが見せてくれたのは、エメ侯爵家の蝋印付きの招待状。

嫡男殿の婚約式に呼ばれたようだ。5月か。いい季節だ。


「…私は貴族籍でもありませんし、たまたま家庭教師をしていたお嬢さまの婚約式…おめでたいですが…5月はもう次の赴任先に行っていますし。」


エメ侯爵家と言ったら、侯爵家の中では一番格上だ。すごいところと知り合いになったな。アンジェリーヌは招待状を見ながら驚いた。


「そうねえ、じゃあ、婚約式はご遠慮して、お祝いを贈ったら?」

「お祝い、ですか…。」


お、悩んでる、悩んでる。いい傾向だ。


「ほら、アルバン君が休暇でだんだん帰って来るでしょう?あの子の母君に何が良いか聞いてみたら?あの方は顔が広いから。」

「……はい。」


デボラはさっそくアルバン君に手紙を書き出したようだ。


背筋をきちんと伸ばして机に向かうデボラ。


もう、少女と呼べる時期は過ぎてしまった。今年で21歳になる。







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