明るい色のワンピース。
アルバンは寮に戻って、自分の部屋のランプに火をともす。図書館にこもって勉強していたら遅くなってしまった。
アカデミアで3年生になるための進級試験も何とかなった。3年次の専攻コースの希望を出しているのは小児講座だが、希望者が多く、倍率も高い。
寮母さんから手紙を受け取ってきた。
いつもの母からと…デボラ先生。
ささっと着替えて、ベッドに腰を下ろして、先生の手紙を開く。
フールの学院に通った一年も先生と文通をしていたので、もう3年になる。
いつも…近況というより業務連絡のような文章が綺麗なブリア語で書かれている。
ふむふむ…
春まで予定していた今回の家庭教師は先方の都合で年内で終わったらしい。
学院に行かずに、商業専門学校に行くことになった教え子のために、今は靴屋のオヤジさんに頼んで、その子の家を探している…。
くすくすっ、と、アルバンは笑った。
デボラ先生はいつも、自分にも他人にも興味が無さげだが…どうも根はお人よしのようだ。靴屋のトマは先生に貰った真新しい辞書を大事にしているし、その後の南部の屋敷からはオレンジがいまだに届く。そう言えば、オペラのチケットがまた届いたと書いてもあった。
僕は、先生に最初の靴をプレゼントされた。
今はずい分背も伸びて、5足目の靴だが、最初の靴はまだ飾ってある。
いつか…。
アルバンはベッドに寝転がって、先生の手紙をもう一度読む。
いつか…僕が自分で稼げるようになったら、一番初めに先生に明るい色のワンピースを贈ろう。




