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第二話 「掲示板」

 依頼ならついさっき掲示板に貼りましたので、そちらを確認してくださいねー、と言われて掲示板に。


 掲示板は面積が恐ろしく広く、横幅は多分7メートルくらいはあるし、縦幅は、二階まで貫通しているせいで最早一階からでは上が見えないほどだ。

 そんな掲示板に、依頼内容が書かれた羊皮紙が所狭しと貼られているのは、僕としてはあまり喜ばしいことではなかった。

 僕と同じ冒険者が、掲示板にズラリと並び、依頼を食い入って見ているのは中々壮観だ。

 二階まで登るのも些か面倒なので、屈強な肉体を押しのけて手近な依頼を掲示板から破ってとる。

 勿論、クラス指定・『銀』以上という表記は見逃していない。

 依頼内容を見ると、端的に『ゴブリン退治』とだけ書かれていた。


 ゴブリンは蛮族のうち最も種類と数が多い種族で、全身が爛れた緑色の皮膚に覆われている、人間の子供くらいの大きさの小鬼だ。

 体の大きさの割に力は強く、腕を掴まれるとその握力で骨まで砕かれるという。

  小賢しく、また多く群れて行動するため、そこそこの経験を積んだ冒険者が四から五人程度のパーティーを組んで一つの群れを潰すのが一般的。

 侮ると『銀』クラスの冒険者でさえあっさりと全滅してしまうことから、冒険者の最初の壁との呼び声の高い、厄介なやつだ。


 ふむ、と顎に指を当てて悩む。

 腕は、申し分ないと自負している。その尺度だけで計るのなら、一人でこの依頼を受けても問題はないのだと思う。

 が、僕には経験というものが著しく欠如している。

 一人で行くのは無謀だ。死んだら、取り返しがつかないのだから。

 何せ、緑色のキノコも、瓶詰めの妖精も持っていない。

 死体を持って帰ってくれる人も居ないので、蘇生もままならないのだ。


 誰か、居ないだろうか。

 貴族という立場の都合、周りの人が冒険者……という事はない。

 仲間を見つけるのなら此処で、初対面から関係を築く必要がある。


 しかし、周りは荒くればかりだ。

 気の良い人達だろうというのはわかるのだが、いきなり話しかけられて仲間にして、なんて言葉に首を縦に振る人は中々いないだろう。


 一度カウンターに戻り、愉快な受付嬢さんに顔を出す。


「これを受けたいんですが……仲間が欲しいんです。誰か、適した人はいないでしょうか?」

「はい! あー、確かにゴブリン退治は一人だと苦しいかなぁ……そうだ!」


 ポン、と手を打つ受付嬢。


「一人、凄く適任な子が居ますよ! 女の子なんですけど、大丈夫ですか?」

「あ、えっと……まぁ、拘りは無いですよ。間違いとかは起こさないつもりで」

「なら、是非是非、その子の所に行ってみて下さい! ゴブリンくらいなら、あの子がいれば二人でなんとか出来ますよ! 何せ、彼女は一流の斥候ですからねっ」

「成る程……えっと、その子は今、何処に?」

「そうですねぇ……今の時間なら、丁度魚市場にでもいるんじゃないでしょうか?」


 受付嬢のその言葉に、僕は言葉を失った。

 ……何で、よりにもよって『あの』魚市場に?

Q.また遅刻したな?

A.すいません。死にます。本当に申し訳ない


Q.何で異世界に魚市場?

A.次回説明しま……待って切らないで

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